第四話−ハロウィーンパーティへの誘い−
さて、何に変身しようか?狼男がいいかな、それとも骸骨人間がいいかな。
おっと、馬鹿らしいことをする前に返信しておこう。
送信メール001
10/16(日)22:51
宛先:little-vegney@abchotmail.com
添付:×
件名:わかった。
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今すぐいく。
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ところが、しばらく経って、予想もしていない返事が返ってきた。
受信メール001
10/16(日)23:00
送信者:little-vegney@abchotmail.com
添付:×
件名:ちょっとまて
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いまじゃなくて良い。
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いまじゃなくて良いだと? じゃあ何かの予定なのか?
送信メール001
10/16(日)23:04
宛先:little-vegney@abchotmail.com
添付:×
件名:じゃあいつだよ!
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すると相手はまるで僕を見下すかのような態度を取ってきた。
受信メール001
10/16(日)23:07
送信者:little-vegney@abchotmail.com
添付:×
件名:その態度は何だ。
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目上の人に対する言葉遣いか。
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なんてえらそうなヤツなんだ……! 僕はついカッと来たので、こんなふうに送ってやった。
送信メール001
10/16(日)23:08
宛先:little-vegney@abchotmail.com
添付:×
件名:時間を教えてくれない
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そっちが悪い。
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すると相手は反省したのか、素直に日取りを教えてきてくれた。
性格がまったく読み取れない……。
受信メール001
10/16(日)23:12
送信者:little-vegney@abchotmail.com
添付:×
件名:
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10月31日でよい。
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……なんだ、今夜じゃなかったのか。
よかった。 僕は一安心して、その後すぐに眠りに就いた。
翌日。
「よっ、レンディ!」
僕が教室に入ると、男の子が後ろから肩を叩いて、調子よく飛び出してきた。
彼は、いたずらっ子のリップとケビンの、ケビンのほうだ。
顔は、そばかすだらけで、体がひょろひょろにやせ細っている。 僕とは違ってペタんとしている、あごの高さで切りそろえられたブロンドの髪だ。
「おはよう。 あれ……? 昨日のメールは?」と、僕。
「は? メール?」
あれ? おかしいな……
ケビンが怪訝な顔をするので、僕は
「え、リトル・ビニーっていうメールアドレスで僕にメール送ってこなかった?」
と、言った。
「そんなのしらねぇよ……お前、寝ぼけてたんじゃねーの?」
しかし、相変わらずケビンの態度が変わらない。
どうやらケビンは昨日のことを知らないらしい。
じゃあ昨日のメールは一体なんだったんだろう? ますます気になる……
そうこうして、1時間目が始まった。1時間目は国語だ。
勢いよく教室のドアを開けて国語の先生が入ってきた。そして彼の合図で、いままでガヤガヤとにぎわっていた教室が一気に静まり返った。
「よーし全員そろってるか?授業をはじめるぞー」
やはり、どんな学校にでも"みんなの黙らせるオーラを持った先生"はいるものだ。
しかし、意外な人物が授業中に話し掛けてきた。
僕がいつものようにノートと教科書を広げていると、なんと、後ろからジェシーがひそひそ声で話し掛けてきたのだ。
「今度私の家でハロウィーンパーティするの、よかったら来てね!」