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第二十三話−約束−


 リトルにつれてこられたところは、僕の通っている、学校だった。

 それに見覚えがある。 この景色。 ……理科室の隣にある理科準備室だ!

 ふだんは入っちゃいけないことになっているから、しょっちゅう見れるわけじゃない。

 でも、覚えている。 1ヶ月くらい前、先生に準備室においてある鍵を取ってこいと、頼まれたときに入った以来だ。


 僕たちが出てきた扉を振り返って見てみると、それは用務員しか使わない掃除用具入れだった。

 僕たちは掃除用具入れの中にある隠し扉からあの神殿に入っていたのだ。


 それにしても、学校にくるまでの間、どうしてあんなに時間がかかったのかと思いきや、僕を遠くの見知らぬ場所につれてこられたんだと思い込ませるために、わざと遠回りをしてきたかららしい。 なんて手の込んだやり方だ。

 僕が彼に「ドッキリでしたってこと?」と聞いたら、彼は「そんなワケないだろ」といって激怒した。

 どうやら、僕がそう思うと本物の感情がすべて台無しになるからなんだとか。


 掃除用具入れのすぐ右脇には大きなガラス窓が張られていた。 窓越しには、すぐそばにまで迫っている掘り下げられた草だらけの地面の壁が見える。

 学校の一部分は、掘り下げられた場所に乗り出している。 その隙間を埋めるようにして理科室が建設されていた。 だから、窓から外に簡単に抜け出せるのだ。

 掘り下げられた底の地面に降りている階段が、窓の外をでたところにある。


 そこを伝って、僕たちは外に出てきた。

 こうしてみると、学校にも不思議な場所が隠されているんだと実感して、なんだか胸がワクワクしてきた。 もしかしたら……とか、実は……なんていう、子供が喜びそうな空想の世界が頭の中を駆け巡る。

 例えば、学校には、何か重大な秘密が隠されている、とかね!


 そんなことを想像しながら、ニタニタと笑って、リトルの後についた。(傍から見れば変な奴にだったに違いない)


 リトルの車は学校の門の前に駐車してあった。 濃い銀色の乗用車だった。


「帰るんだよね」


「もちろん」


 僕は、ふかふかのシートや最新式のカーナビに関心しながらリトルの車に乗り込んだ。

 リトルも車に乗り込むと、エンジンをかけて車を発進させた。

 最初、この車に乗ったとき、急発進させられたものだから、それを思い出してみれば彼が僕を気遣ってくれているようにも思える。


 僕がリトルの車に乗せられている間、彼は誰も信じないような身の上話を聞かせてくれた。


「それは大変だね」


「大変も何も、この時代にはDNA分析ゴーグルがまだないのか、と問いただしてやりたくなるくらいだ」


 リトルの話によると、一番最初にこの時代にきたとき、当時ロンドン郊外を騒がせていた銀行強盗と間違えられたらしい。

 だから、僕に会うまでの間、ずっと逃亡生活を余儀なくされていたというのだ。

 僕とはじめてあったときに、「今は忙しい」といったのも、そのせいだったという。


「昼も夜も無かったな。 この時代に降りついたのは、丁度午前2時ごろだった。 急に変な男に追いかけられてな。 そいつが、どこまで逃げても追ってくるんだ。 おそらく警察か何かだったんだろう……。 とうとう、駐車場にまでおいつめられた。 逃げ場はない。 だから、隠れて奴の背後を狙った」


「それで、どうなったの?」


「始末しておいたさ。 ま、気絶させたておいただけだがな」


 彼は軽快な口調でそう言ってのけた。 しかも、最後のところは笑いながら。 なんて恐ろしい男なんだ……。

 でも、ちょっぴり格好良い気もした。 僕にも、彼と同じくらい力があったらいいのにな……そうしたら、いくらケビン達にからかわれようと顔面に一発殴りこんでやれば、それであいつ等は僕にちょっかいを出さなくなる。

 それに、クラスの中でも権力のある集団に目をつけられたって、力ではこっちが勝っているのだから、変に手を出したりしてこなくなるはずだ。 向こうが、僕に降参したら、僕はクラスの中で大いばりできる。

 なんて愉快なんだろう!


「さあ、ついたぞ。 さっさと降りろ」


 僕の勝手な妄想を打ちのめして、彼は僕の家の近くで車をとめてくれた。


「冬休みはできるだけあけておけ」


「わかったよ。 送ってくれてありかどう。」


 そして”また今度ね”と言おうか、迷った。 また会うだなんて……

 でも、冬休みはあけておけといっているのだから、きっと冬休みに、また会うつもりなのだろう。


「……また、今度」


 とうとう言ってしまった。 お世辞のつもりだ。

 最後に彼は、僕に向かって静かに別れを告げた。


「ああ、近いうちにな」


彼は、車を発車させて僕を追い越した後、窓から手を出して、僕に向かって振ってくれた。

 僕は彼の濃い銀色をした車が、夜の町に消えてゆくのを、家の玄関先で、いつまでも見送っていた……






ここで、レンディ・クローズは一旦終了です。

現実世界を舞台にしたファンタジーというコンセプトのもとに書いてみました。

このお話の舞台になっているのは、一応、イギリスのイングランドですが、作者自身あまり詳しくないもので、資料等を探しながら物語を書くという感じで進んでしまいました^^;

ファンタジーなのに現実的な内容が多くてがっかりした人もいるんじゃないかと心配になっておりますが、第二部からはファンタジーらしい要素を取り入れていきたいと思います。それが魔術だったり、夢魔だったり。


しかし、ここまで続けられたのも、協力してくださった皆様がいるからです。感謝! そして、アドバイスしてくださった方々へ、ありがとう!

私にとって、お話を考える上で完全なオリジナルの話を作るというのは、少々なんがありまして、この作品を書く上でいくつか参考にさせていただいた作品があります。(もしかしたらバレていたかもしれません。笑)

しかし、できるだけ自分らしい表現を求めて頑張って書いていきますので、どうかよろしくお願いいたします!

第二部は、只今考案中です。

今まで以上に面白く展開できるよう、がんばりたいと思います><

でわでわ、次の機会まで。

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