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島巡り②

 

 では戦闘を始める前に改めて装備品の確認といこう。


・武器:見習いの杖

・防具:体操着

・アクセサリ:なし


 まぁこんなものだろう。しかしこの短時間で装備品は随分とレベルアップしたものだ。後は中身が追い付くだけである。なんて悠長な事を考えているうちに一匹のゴブリンが襲い掛かってきた。

 おのれ、空気を読まないザコキャラめ。ショッカーですら変身シーンは見守っていたのに。しかしというかやはりというか、これがリアルなのだろう。

 ゴブリンは俺の身長を越えてジャンプをすると棍棒を思い切り降り下ろしてきた。

「あっぶね!」

 咄嗟に杖で攻撃を受け止めた。にしても重い。こんな小さな体のどこにこれ程のパワーが有るのか。スライムに続きゴブリンにまで驚かされた。

「おいおい大丈夫かい?」

「心配してくれるんだったらちっとは手伝ってくれ」

「疲れるからイヤ」

「だったら静かにしててくれ」

 言って俺はゴブリンを一度押し退けた。ふむ、武器を出しといてもらって正解みたいだな。もし武器が無かったらきっと腕で受け止めていただろうし、そしたらきっと俺の腕はペキョッと折れていたはずだ……オーマイガッ。

「ほら気ぃ抜かない」

 ルカに言われてハッと視線を前に戻すと二匹目が飛びかかって来ていた。

「ぬぁ~んっ」

 なんとも間抜けな声を出してしまったがこれも辛うじて防いだ。しかしどうしたものか。このままでは防戦一方になる気配がする。しかも攻撃に転じるチャンスが掴めない、なんて事にも。ならば。

「これでどうだ!」

 俺は地面を思いっきり蹴りあげ砂埃を巻き上げた。やはり攻撃の機会を無闇矢鱈と与えるべきではない。

「せこっ!」

 せこいとか言われても気にしない。ゴブリンは突然の出来事に軽いパニックを起こしたようである。ここぞとばかりに俺は一匹のゴブリンに殴りかかった。

「うおら!」

 杖がゴブリンの脳天に直撃する。よし、なかなかの手応えだ。

「ギャギャッ」

 ダメージを受けたゴブリンは悲痛な叫び声を上げる。するともう一匹のゴブリンが仇討ちと言わんばかりに攻撃してきた。力任せの棍棒アタック。俺は防ごうと杖を戻したが間に合わず、スライムに引き続き再び脇腹を痛打された。

「グハッ」

 ヤバい。殴られた。ドゴッて鈍い音もした。これは完全に肋骨を持って行かれたのでは、と思いきや意外とそうでもない。痛いことは痛いが、耐えられない程ではなかった。

「……こ、これが防御力?」

「はい?」

「なんだかこれイケそうな気がする!」

 ルカが色々な意味で「大丈夫?」と聞いてきたが大丈夫。システムはオールグリーン――ただ単に防御力の素晴らしさに若干テンションが上がっているだけだ。

「ギャギャッ! ギャギャッ!」

 先程俺に一撃叩き込んだゴブリンが再び攻撃してきた。しかし冷静にそれをかわすと体を一回転させ渾身の力で後頭部に杖を叩き込んだ。どうやらなかなかのダメージらしく、ゴブリンはよろめきながらその場に跪いた。ふむ、ダメージは着実に与えられている様だ。

「ぬるいわっ!」

 一応言っておく。変なテンションなのだ。ってあれ? デジャヴュ?

「何変なこと言ってんの? ほら、さっさとトドメを刺す」

「わ、わかってるよ」

 テンションが上がっている時の冷静な言葉ほど冷たく聞こえる言葉はないだろう。俺は若干心が萎えつつも杖を持ち直しトドメを刺したのだった。

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