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終・島巡り⑥

 

 一重に応用と言っても色々ある。例えば、いつだったか企画倒れになってしまった『魔方陣を複数同時に扱う』というのもその一つだろう。或いはルカが最初に話してくれた『オリジナルの魔法』も挙げられるかもしれない。しかしこの二つは今の実力的に無理があることはわかっている。そのため俺は別の応用を考えた。

 今俺に出来る魔法の応用と言えば――それは『魔法のコンビネーション』である。ただ魔法を同時に使用出来ないため必然的に二段階、三段階に分けての合わせ技の様になってしまうが――これが俺の出した結論だった。

 ここまでが解答を作る上での言わばプロット、後はそれを形にするのみである。しかしこの作業が一番大変で、魔法を使うにもどれとどれをどう使うかが問題であり、いよいよここからが本当の頭の使い所なのだ。

 しかしゴーレムはそんなことを考える時間など与えてくれるはずもない。とすれば、今一度視界から外れ、一分でも良いので静かに考える時間を自ら作り出さねばならない。が、ゴーレムの他にルカという二つの瞳が残っている。これをどうにかしない限り目的は達成出来ないだろう。

 一応その対策を色々考えてみたが、上手く行きそうな方法は一つしか思い浮かばなかった。しかもあまり使いたくない手段である。だがここで立ち止まるわけにはいかないのだ。ルカには申し訳ないが――否、ゴーレムに与する敵として気にかける必要は無い。ここは敵として相応のダメージを食らってもらおう。

「ルカ!」

「だから、質問は受け付けないよ」

「違う、そんなんじゃない!」

 ルカは怪訝な表情でこちらを見返した。よし、それでいい。気になってくれた方がきっとダメージも大きかろう。

「何よ……」

 言うぞ、言ってしまうぞ。後は野となれ山となれだ!


「パンツ見えてるッ!」


 見えてないけども、この角度からじゃ無理なんだけれども。しかしローブ姿のルカには効果覿面だったようだ。

「なッ!?」「ゴッ!?」

 ってゴーレムゥゥゥウ! 何だその反応速度は! 無駄にはえーぞッ! ルカとほぼ同時って! っつか首すげー回んな! ほぼ一八〇度じゃねぇのそれ!? グルッて行ったぞグルッて! ってか中二かッ! 下ネタに並々ならぬ激情を燃やすお年頃かッ!

 散々ツッコミを入れたさせてもらったら少し落ち着いた。それにしても僥倖である。今の一言でルカは自分の裾を必死に抑え、ゴーレムはアホみたいに腰を屈めており、全ての瞳が俺から視線を外したのだ。

「キャーーーーーッ!」

 彼女には悪いがしばらく悲鳴を上げといてもらおう。俺は素早く身を翻し少し離れた場所にある茂みに身を隠した。

 まだルカの悲鳴が聞こえている。よしよし、ここからは静かに、クールダウンして、解答を作り上げようではないか。

「さて……と」

 まず何から考えるか――やはりどうやったらゴーレムに効率良くダメージを与えられるかを考えるべきだろう。今のところ主だったダメージは与えていないと感じられる。となると表面への魔法は効果が薄いのかもしれない。だったら内側から……等々、色々考えてみた。

 ルカへのダメージは案外大きかったようで時間も一分以上取れた。お陰で解答も大分形作れたと言えよう。しかし予想以上にダメージが大きかった分、ルカの怒りも予想以上のものになってしまった。俺から言わしてもらえば自業自得なのだが。

 それにつけても――。

「奴を探せ、このウスノロがッ! 見つけ次第踏み殺せ!」

 というのは如何なものだろう。仮にも女性なのだから言葉遣いはもっと丁寧であるべきだと思う。

 怒り狂う彼女を尻目に俺は最後にもう一度自らの考えを、ここから飛び出しゴーレムを倒すまでの筋書きを纏めてみた。そして確信する。

 これでイケる、と。



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