表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/144

終・島巡り④

 

 いよいよ試験が始まった。ルカの指示に従ってゴーレムが此方に向かってくる。その一歩ごとに大地が震えた。俺は一先ず距離を取り、敵の弱点を調べることにした。と言ってもそう簡単に弱点が見つかるはずもない――だからここはとりあえず特徴くらい把握出来れば十分だ。

 身長は三メートルくらいだろうか、大きな胴体に丸太を彷彿とさせる両腕と両足がついている。あんなもので殴られたり踏まれたりでもしたら軽く()けるだろう。

 しかし、その代わりスピードは皆無と言える。やはりあの体では俊敏に動くのは難しいのかもしれない。ということは蝶のように舞い蜂のように刺すヒットアンドアウェイ戦法が有効だと考えられる。

 ってなわけで挨拶代わりに魔法を一つお見舞いした。魔法はこの島に来て始めて覚えた炎弾(フレイムバウンド)である。

 魔方陣から姿を現した火球は一直線にゴーレムに向かって飛んでいく。そして狙い通りその頭部に直撃――大きな爆発音を響かせた。

 よし! どおだ! なかなかのクリーンヒットに俺は小さくガッツポーズした。

 ところが――。

「ンゴ?」

 ゴーレムが頭をポリポリと――さながら「今のは何?」と言いたげにルカに目をやっている。

 あれ? まさかノーダメ? 結構良い音立ててたと思うけど……。しかしゴーレムの顔から表情はわからない。もしかしたら何だかんだ痛がっているのかもしれない、が――。

「ゴ……ゴ……ゴ」

 うわぁ……普通に歩いてる。

「ルカ! こいつどうなってんの!?」

「問題に関する質問は一切受け付けておりませ~ん」

 くそぅ! 気分は試験監督ってか! 仕方ない。とりあえず効果の見込める魔法を使ってみるしかない。と、その前に一旦距離をとっておこう。

 俺はバックステップで十分な距離を確保した。そして考える。はたして何が効果的なのか、と。今使える魔法は回復系の魔法を除くと、先程初っぱなに使った炎弾(フレイムバウンド)、それと一緒に覚えた氷槍(アイスランス)、その後旅の途中で覚えた魔法が水砲(ウォーターカノン)雷撃(サンダーボルト)

 まずはアイスランス。尖った氷の塊を放つ魔法だが、ゴーレムの体に刺さることが出来るかと言われると甚だ疑問である。続いてウォーターカノン 。水を束ね大砲の様に打ち出す魔法だが……何となくゴーレムが濡れて終わり、みたいなことになりそうな雰囲気は既に醸し出されている。

 そして最後、否、もう最後になってしまったが三つ目のサンダーボルト。雷を集束し、極限にまで圧縮したものを放つ魔法だ。攻撃力で考えれば一番強いかもしれない。しかし、雷は落ちても地中に流れるとか聞いたことがあるので、そもそも土巨人と言われたあのゴーレムに効くのかどうかは怪しいとしか言えない。

 では逆に物理的な攻撃はどうか。いや、これは暗に「死にたいです」と言っているようなものだ。議論する前に即、棄却である。

 ふむ、流石最終試験。そして流石塾長。一筋縄では行かせてくれない。しかしあの塾長のこと、きっと上手くやればギリギリ倒せるような設定にしてあるのだろう。それも賢者見習いが賢者見習いらしく戦い、勝てるような設定に。

「さぁゴーレム! そいつをプチッと踏み潰してしまいなさい」

「ゴッ!」

 ん? あの妖精なんか物騒なことを言ってないか? 踏み潰してしまえ、とかなんとか聞こえた気がするが……まぁ、気のせいにしておこう。そしてゴーレムよ、お前もお前で「了解!」みたいにガッツポーズしてんじゃねぇ。 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ