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終・代表選考会⑤

 

 プチ作戦会議が終了するとデュラン達に向き直った。

「作戦会議は終わったかい?」

「お待たせしました」

「フフ、少しはまともな作戦考えたろうね。生半可な作戦は身を滅ぼすだけだよ?」

 へ、言ってくれるじゃないミネルバさん。随分と安い挑発してくれちゃって。

「行くぞ」

 言って俺はアシュレイを一瞥した。するとアシュレイも小さく頷く。

「どっからでもかかってこいやぁッ!!」

 デュランは自らを昂らせる様に高々と吠えた。それは俺とアシュレイにとって格好の合図――身を低く構えると駆け出していた。

 今度はミネルバに目もくれず、視界にはデュランのみを捉える。するとそれに気付いたのかデュランはニヤリと笑い此方に向かってきた。お陰でアシュレイ達よりも先にマッチアップすることになった。

「へへ、おまえから仕掛けてきてくれるたぁ――嬉しいじゃねぇかッ」

「喜んで貰えて何よりですよっとぉ!」

 破力を込めた拳をデュランに向かって放つ。デュランはそれを避けず、交わさず、何事も無いかの様に受け止めた。

 しめたッ! 俺は破力を一気に解き放つ――迅衝波だ。デュランの掌と俺の拳――その僅かな隙間で破力が弾けるのを感じた、が――。

 デュランは不敵に笑った。そして俺の拳を握る力は一段と強くなった。

「そんな馬鹿な――って顔してんな」

「そう、見えますか?」

 拳は岩に嵌まってしまったかの様にびくともしない。

「なぁショウ――どうやってるか知りたいか? ん?」

 言ってデュランの力が更に増す。今にでも拳が砕かれてしまうのではないかと思うほどに。だが顔は至って平静を装って見せる。これぞ痩せ我慢。

「ンッ――え? ハハ、どうしたら教えてくれるんですか? ま、また交換条件?」

「クク……わかってんな」

「どーも――ッ」

 クソ、マジで動かねぇ。

「俺に勝ったら教えてやるってのはどうだ?」

「どーせそんなとこだろうとは思ってました、よッ!」

 俺は渾身の力を振り絞り両足でデュランの体を蹴り飛ばす。デュランは微動だにしなかったがその反動でようやく自由になれた。

「どうだ? この話乗るか?」

「――ツツ。えぇ? 乗りますよ。乗ればいいんでしょ?」

「おいおいなんだその口のきき方は。反抗期かぁ?」

 反抗期……反抗期ねぇ。ま、もしかしたらそういう時期が来てるのかもしれない。

「ハハ、だったら精々反抗させてもらいますよ!」

「ハッハー! ならこっちはガッツリ更正してやるよ!」

 デュランは言葉とは裏腹に嬉しそうに笑う。斯くして俺達は再び拳を交えたのだった。

『さぁさぁ戦いは俄然白熱してきましたが――解説のプリシラさん! この展開どう思われますか!?』

『まぁ……妥当だろうね。でももうちょい若い二人は頑張っていいかもねぇ』

『は、はぁ……あ、な、なるほど! 新人タッグには今後に期待ということですね!』

 戦闘中であるにも拘らずプリシラのまともな解説に驚きを隠せなかった。のはデュランも同じだったようだ。

 その後の解説によればアシュレイはミネルバとなかなかの勝負をしているらしく、俺としては彼がミネルバを倒すまでなんとかデュランを引き付けておかねばと身が引き締まる気持ちだった。

「ところでよぉショウ」

 デュランが何気無く口を開いた。ただ一応言っておくが俺は絶賛攻撃中である。

「――何す、か?」

「こう言うのもなんだが――ミネルバって奴ぁホントに頭良いと思うんだわ」

「いきなり何ですか?」

 俺は拳を突き出した格好で問い返した。

「アイツ――お前がこう来るって読んでたぜ?」



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