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続・代表選考会⑥

 

「ぶっ殺したらぁぁぁぁあッ!」

 攻撃を交わされたことにマイルズは激怒した。ロイもすかさず追い討ちとばかりに攻撃を繰り出してくる。

 とは言え簡単に攻撃を食らう程お人好しではない。ロイの攻撃は落ち着いて交わすことができた。

「ちょこまかしやがってッ!」

 だって避けてますもの。

「死ねやぁぁぁあッ!」

 物騒な言葉を伴うマイルズの攻撃。しかし彼の攻撃も難なく交わした。よし、大丈夫。落ち着いて動きを読んでいけば避けられない攻撃じゃない。

「テメェッ! 何見てんだゴラァァァァアッ!」

 だって試合中ですもの――そう思いつつロイの攻撃を交わし、マイルズが振り下ろしてくる棍棒を半身ずらして交わす。

 そして交わしたついでに右手で棍棒を抑え、左拳による裏拳をマイルズの鼻っ面にお見舞いした。

 軽く弾ける音と伴いマイルズの頭が後方に大きく揺れる。すかさず俺は掌底を、今度は顎下から打ち上げる様に放った。マイルズは天を仰ぎそのまま仰向けになって倒れ込む。

『っとぉぉぉおッ、ここで流れるようなコンビネーションだぁッ! マイルズ立てるのかぁ!』

 出来ればそのまま寝ていてくれると助かるのだが。

「お、おい! 寝てんじゃねぇぞマイルズ!」

「お、おぉ。ク、クソッたれ……」

「……まだやりますか?」

「ったりめぇだろぅがぁッ!!」

 あ、ここはデュランみたくかっこよくは行けないみたいだ。

「うぉらぁぁぁぁあッ!」

 言ってロイが湾曲刀を掲げ襲いかかってきた。ロイはマイルズと違いパワーというよりスピードで勝負するタイプ――互いの間合いに入るのは一瞬だった。

 ロイの湾曲刀が俺の肩口に向かって振り下ろされる。それを先程マイルズの攻撃を交わした時の様に半身ずらして避けた。しかしスピードのあるロイはその一撃で終わることなく二撃三撃と立て続けに攻撃を繰り出してくる。アウトローを気取っているが流石にウチのギルドメンバー。実力はちゃんと兼ね備えているようだ。

 上位進出を狙う上で本当はあまり手の内を晒したくなかったが、この試合を一人で勝つためにも反撃の糸口を作るべく錬破動を使用することにした。今日この日のために新たに覚えた錬破動を――。

 その名も錬破動礎式三の型――纒雷(てんらい)。己が身に雷を纏わせ力と為す練破動である。

 素早く破力を丹田から全身に行き渡らせる。すると俺の体がにわかに青白く輝き始めた。そしてパチッと、言うなれば静電気の様な音を立てつつ僅かに体が帯電する。

「キ、キサマ何をした!?」

「いや、特に何も……」

「ウ、ウソつくな! 何で体が光ってんだよッ!」

「さぁ……何ででしょう。まぁ、何がどう変わったかは自分の体で感じてみて下さい」

「っざけんなぁぁぁぁぁあ!!」

 ロイが再び攻撃を始めた。しかし――。

「――遅いッ」

 あ、すいません。一度言ってみたかったもので。

 俺は瞬時にロイの背後に回った。そしてそのまま肘鉄をロイの背骨に向かって放つ。

「ク――ハァッ」

 ロイは言葉にならない悲痛な叫びを上げながら盛大に吹き飛んでいった。

「てんめぇぇぇぇえ!」

 そういえばまだマイルズが残っていた。背後に彼の気配を感じる。が――それよりも速く俺は移動を始めていた。

 これはおそらくマイルズの目には映らなかったのだろう。俺が自分の背後に立っているというにも拘わらずマイルズは目の前に向かって棍棒を振り下ろしていたのだ。

 もちろん棍棒は空を切り、勢いそのままに武舞台を叩き付ける。そしてその瞬間マイルズは後ろを振り返った。

「――クソッタレ」


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