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ありふれたひとつのラブレター

作者: 来々


 僕の初恋を話そう。


 こう僕が言うと、君はいつも頬を膨らませて、

 「他の女の話なんてしないで!」

 と言って僕の口を塞いでしまう。


 でも、僕は君に聞いて欲しいんだ。初めて繋いだ女の子の手の柔らかさ、初めてしたキスの味、初めてしたSEX。


 本当に好きだと思えた君だから、知って欲しい。

 僕があのときどう思ったか、その女の子はどんな子か。

 でも考えてみたら、声に出して言うのは少しばかり恥ずかしいね。いつも君が止めていてくれてよかったよ。いざ言うとなったら、僕の顔は真っ赤になって、君を正面から見ることなんて出来なかっただろう。今だって頬を上気させて、手の汗で紙をグシャグシャにしながらこれを書いてるんだから。

 大丈夫?ちゃんと書いてあること読める?汗で字が滲んだりしてない? なんて、今聞いた所で遅いのだけれど。

 兎に角、これから書くのは、僕の初恋の物語。大切な君にだから伝えたい、僕の歩んできた恋愛の軌跡。

 





 僕がその初恋の人と初めて出会ったのは、高校二年生に上がって直ぐの事だった。

 遅いでしょ?自分でも自覚はしてるんだ。でも、その日までの僕は、誰かを好きになるなんて、面倒だとしか思えなかった。バカだったんだ。真面目に恋愛した事なんかないクセに。

 だから、その日も特に変わった事はなかった。いつもと違うのは、学年がひとつ上がって、教室が一階から二階になったぐらい。

 でも、それが重要なことだったんだ。

 何故なら、その二階になった教室の、僕の席の右隣に、その人は座っていたから。

 僕が教室に入ったときには、その人はすでに席について、難しそうな本を読んでいた。

 「隣の席だね、これから一年間よろしく」

 何気ない気持ちで声をかけた僕に、本を閉じてこっちを向いてから

 「こちらこそ、よろしくね」

 って言ってくれた。彼女は何気ない普通の仕草だったんだろうけど、そのときの笑顔が本当に素敵で、僕は直ぐに恋に落ちちゃったんだ。



 それからは、その人に毎日話しかけたよ。彼女はあんまり話す方じゃなかったけど、僕のくだらない話に一生懸命について来てくれた。

 あんまりいっつも二人でいたから、いつから付き合ってたのかわからないけど、兎に角僕らは付き合うようになった。特に毎日が変わったわけじゃないけど、僕はずっと浮かれてたよ。


 初めてのデートは本屋めぐり。

 「君らしいね」

 って僕が言ったら、恥ずかしそうに笑ってくれた。

 帰り道で手をつないだときの感触、本当に覚えてる。僕の手は今以上に汗ばんでたよ。


 何回もデートして、キスするようになって、夏祭りの後に初めてSEXして。

 なんだか笑っちゃうくらいベタな恋愛だなって思うよね。でもひとつだけ言ってない言葉があるんだ。



 


 もうわかるよね、僕の初恋の人。

 別の人の話なんかじゃないよ。君が、僕の初めての人。


 「好きです」


 もっと早くに言えたら良かったのにね。でも、このくらいが僕達らしいかな。

 以上で告白終わりです。こんな僕でよかったら、結婚してやって下さい。

 はじめましてとこんにちは。来々と申します。今回は、タイトルの通り何処にでもあるありふれた恋愛をテーマにしてみました。完全なる自己満足になってしまいましたが、呼んで頂いた方が少しでもほっとしてくれたら嬉しいなと思います。

 では、次回こそがんばります

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― 新着の感想 ―
[良い点] 他人の話だと思わせてその人だってすごいですね [一言] いつもいつも感動させられます
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