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女子ボートレーサーと市役所職員  作者: 池井 けい
第2章 国民健康保険課、坂口大輔(さかぐち・だいすけ)
20/60

20 ♡ジョーブ君はあなたなの?編

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【あらまし】(市役所業務エピソード。無料法律相談について)


 松島奈美は『夫が失踪した件』で市役所で行っている『無料法律相談』に行った。相談が終わり、市役所内を歩いていると、マスコット人形のジョーブ君に出会う。

 奈美は息子の海斗を倒したジョーブ君の正体を知るために後をつけるのだった……

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【主な登場人物】

松島海斗 子 社会科見学の時、市役所で倒される

松島奈美 母 松島海斗の母、海斗のことが心配

松島博之 父 松島海斗の父、3年前から失踪中

坂口大輔 28歳男 美浦市役所国民健康保険課職員

「無料法律相談」担当の弁護士

土江順子 以前松島奈美とソウルを旅行した友達

由利源吾 美浦市役所税務課職員

河津八郎 美浦市役所住民課職員

若石元気 美浦市役所住民課職員

伊織ママ 松島海斗の同級生伊織ちゃんの母

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【前書き】

●この小説には多くの数字が出てきます。そこで読者の皆様が読み易いように横書きとなっております

●多人数での会話も多いことから、誰が話しているのか、すぐにわかるよう会話の頭に台本形式で、氏または名を付けて表現しました

●この物語はフィクションです。実在の個人・団体、実際のレースとは一切関係ありません。ボートレーサーと市役所職員をモデルに、フィクションとして制作されたものです

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【01】 夫が居なくても離婚は出来るの?


 数日後の午後。

 松島奈美は美浦市役所に行った。奈美が市役所に入るとロビーで『血管年齢診断』という催し物が開催されていた。

 それを横目に、奈美は、くらし応援課に向かった。くらし応援課は、2階の隅のほうにあった。

奈美「今日、無料法律相談の予約をしてある松島ですが」

 くらし応援課の職員がカウンターで

職員「今、確認しますね」

 そう言うと、職員は予約簿を見始めた。

職員「はい、わかりました。では、今、相談室にご案内します」

 奈美は、案内され相談室に入った。部屋の中に弁護士がひとり座っていた。

弁護士「どうぞ、おかけください」

奈美「よろしくお願いします」

弁護士「『夫、失踪の件』ということで、承っておりますが、時間が30分と限られておりますので、簡単な経緯と相談内容を話してもらってよろしいですか?」

奈美「はい。3年前に夫が突然失踪し、消息不明になりました。失踪する前日までいつもどおり税務署に出勤し、いつも通り帰って来たのです。ところが翌日『今日から泊まりがけで税務研修があるから』と言って夫は出勤したのですが、帰ってきませんでした。

 数日後、税務署から「主人が出勤してない」と電話がありました。それ以降いっさい私は主人の姿も見てないし、声も聞いておりません」

弁護士「そうですか、それはご心配ですね。警察に届けは出しましたか?」

奈美「消息を絶って一週間後に出しました」

弁護士「すみません、口を挟んじゃって。それで?」

奈美「今日、相談したいことは、そろそろ離婚も選択肢のひとつと考えているのですが、相手が居なくても離婚は出来るのでしょうか? また、離婚出来るとしたら、どのような手続きが必要でしょうか?」

弁護士「わかりました。警察への捜索願が出され、失踪から3年が経ち、3年間まったく連絡も無く、手掛かりも無ければ離婚は可能です。離婚請求の裁判を起こすことになりますね」

 民法第770条1項3号で『配偶者の生死が3年以上明らかでないとき』には離婚の訴えを提起することができると定めている。

奈美「裁判ですか?」

弁護士「はい。弁護士に頼むと良いでしょう。ただし、そこからは有料になります」

奈美「もし、主人が現れたらどうなるんですか?」

弁護士「離婚が認められていれば、くつがえることはありません」

奈美「そうですか」

弁護士「はい。それと7年以上経過すれば家庭裁判所に申し立てをし、『失踪宣告』と言って、ご主人を法律上『死亡』とみなすこともできます」

奈美「そんなことも出来るんですか?」

弁護士「はい。省略して簡単に言えば、失踪から3年以上経過で『離婚』とするか、7年以上で『死亡』とするか、このふたつですね」

奈美「『離婚』と『死亡』の違いですね」

弁護士「ええ、それぞれメリット、デメリットがありますから、よく考えて決断されたら良いと思いますよ」

奈美「後者の『死亡』扱いにした場合、その後に本人が出てきたら?」

弁護士「また、夫婦関係が復活します。ただし、再婚した当事者双方が、前夫の生存を知らなかった(善意であった)場合に限り、再婚の方が優先されます」


 奈美の頭に大輔の顔が浮かんだ。

奈美(もし坂口さんと再婚したら、夫よりも坂口さんが夫として認められるわけね)

奈美「ふーん、いろいろ難しいんですね」

弁護士「なんでもそうでしょうが、細かく言えばキリがなく、とても複雑です」

奈美「いろいろとありがとうございました。また、相談するときは、先生にお願いします。もちろん有料で」

弁護士「わかりました。あせらず、冷静に考えてみてください」

奈美「はい」

 そう言うと、奈美は一礼して部屋を出た。

奈美(『離婚』にするケースと、『死亡』にするケースがあるんだ。やっぱり弁護士さんて、頭がいいんだな。私じゃ、さっぱり考えつかないわ)

 奈美は相談室を出て、市役所内の廊下を歩きながら、

奈美(再婚かぁー。私は、主人に出てきて欲しいの? それとも出てきて欲しくないの? どっちよ?)

 奈美は自問していた。


 奈美は、市役所出口へと向かって歩いていた。その時、市役所ロビーで『血管年齢診断』というイベントにマスコット人形が、立っているのを目にした。

 イベント会場の看板には『国民健康保険課』と書かれてある。

奈美(あらっ! このイベント『国民健康保険課』でやっているんだ。どこかに坂口さん居ないかしら?)

 奈美は、遠くから坂口大輔が居ないかと探したが見つからなかった。

 イベント会場で係員がマスコット人形に話しかけた。

係員「ジョーブ君、今日は終わりよ」

 その声で、ジョーブ君は通路を奥へと歩いて行った。

奈美(あいつだ、あいつが海斗を蹴飛ばして倒したんだ!)

 突然、奈美の心に怒りがこみ上げて来た。

奈美(どんな奴か、顔を見てやる!)

 自然と足がジョーブ君の後を追いかけて行った。ジョーブ君は、フロアーの端にある相談室に入った。奈美は、その相談室の前に立ち、誰かが出てくるのを待った。

 何分も経たないうちに、相談室のドアが開き、中から坂口大輔が出てきた。

奈美「えっ!!!」

坂口「あっ!」

 坂口大輔も驚いた。目の前に奈美が立っていた。

奈美「あなただったのね」

坂口「……」

奈美「あなたが海斗を蹴飛ばしたのね! 偽善者!」

 奈美の顔が鬼の形相に変わっていた。

坂口「それは、」

 奈美は、ツンと横を向き、出口へと急いで走って行った。坂口は、言葉も出ず、呆然と奈美の後ろ姿を見ていた。

坂口(終わった……)

 しばらくして、

坂口(すべてが終わった。でも、これで良かったんだ)

 

 奈美は市役所の自動ドアを出て、外を歩いていた。

奈美(偽善者め! いい子ぶって、自分が海斗を蹴飛ばしておいて、まるで自分が助けたようにふるまって。なにさ!)

 信頼してきた分だけ怒りがあふれ、自分の感情を抑えきれなくなっていた。涙が止めどなく道路に落ちた。


【02】 お子さんを倒したのは別の人物です!


 奈美が坂口大輔と別れて3か月が過ぎた。

 奈美のケータイに電話が入った。独身時代に一緒に韓国ソウルを旅行した友達の土江順子(つちえ・じゅんこ)からだった。奈美は、順子には、夫が失踪したことも話してあり、良き相談相手だった。

奈美「もしもし」

順子「土江です」

奈美「久しぶり!」

順子「元気?」

奈美「でもないの」

順子「いったい、どうしたの?」

奈美「いろいろよ」

順子「『いろいろ』か? なんか、訳がありそうね」

奈美「電話では、話せないわ」

順子「そうなんだ。複雑なのね」

奈美「うん。ところで、なに?」

順子「もうすぐ春休みでしょう?」

奈美「うん」

順子「どこか、安い海外ツアーが出たら、一緒に行かないかと思って」

奈美「子供がいるから無理よ」

順子「お子さんも一緒でよ」

奈美「でも、お金が無いわ」

順子「すべて、私が持つわ」

奈美「そんなの悪いわ」

順子「キャンセル便や、席が埋まらない便の超格安ツアーを探すから大丈夫よ」

奈美「そんなに安いの?」

順子「信じられないような金額になるわよ。その代わり、急な出発になるけれど」

奈美「そうかぁ~」

順子「仕事は、お子さんが居るから、休もうと思えば休めるんでしょう?」

奈美「まぁね。でも、どうしても休めないときもあるわよ」

順子「ねぇ、行けるかどうかわからないけれど、パスポートだけ取っておいてよ」

奈美「そうね。旅行も全然行ってないし、気分転換になるかもね」

順子「そうよ。人生楽しまなくちゃ」

奈美「わかったわ。子供の分も合わせてパスポートを取るだけは取っておくわ」


 翌日の夕方。

 奈美は息子の海斗を連れて、美浦市役所の住民課に、パスポートを取るため戸籍謄本を取りに行った。

奈美(市役所に行くのも気が重いわ。坂口さんだけには、会わないように気を付けなくっちゃ)

 奈美は市役所の住民課に着くと、国民健康保険課から自分たちの姿が見えないように細心の注意を払った。

 住民課窓口で、

奈美「戸籍謄本をお願いします」

受付「わかりました。番号札を持ってお待ちください」

 奈美と海斗は、国民健康保険課から見えないところに腰掛けて、呼ばれるのを待った。

 住民課の事務室で、戸籍担当の若石元気と税務課の由利源吾が多額滞納者のことで相談していた。

由利「ありがとうございました」

若石「どういたしまして。うまく追えるといいですね」

由利「ええ」

 そんなところに、窓口の職員が

窓口「誰か、松島奈美さんの戸籍謄本、出してくれる?」

河津「私、やりますよ。手が空いてますから」

 ベテランの河津八郎(かわづ・はちろう)が、戸籍証明書申請書を受け取った。

 河津が端末機に筆頭者の生年月日を入力し、プリンターから出力された戸籍謄本を見て、

河津「どれどれ、松島博之、松島奈美、松島海斗と」

 ひとり言を言いながら、内容を確認していた。

由利「どこかで聞いたような名前だな?」

 税務課に戻りかけた由利は、社会科見学での事故が数か月前だったので、すぐには思い出せなかった。そこで由利はロビーで待っている客を見渡した。母親と子が座っていた。

由利「あっ、そうか。税務課の前で倒れて、救急車で運ばれた子の名前だ」

 その言葉に、今度は河津が反応した。

河津「倒れたんじゃなくて、高校生に倒されたんですよ」

 河津が由利に言った。

由利「そうだったね」

 河津は、ちょうど税務課の反対側から、その事件を目撃していた。

河津「何か月も経つけれど、お子さんは良くなったのかな?」

由利「さぁ、どうでしょう?」

 河津がプリントアウトされた奈美の戸籍謄本を交付担当者に手渡した。交付担当が再度戸籍謄本の内容を確認して奈美の番号を呼び出した。

 奈美が待合席に海斗を残したまま交付窓口にやって来た。

窓口「これで間違いないですか?」

 窓口担当が戸籍謄本を奈美に手渡し確認してもらった。

奈美「間違いないです」

窓口「では、450円になります」

 奈美が会計皿に千円札を置いた。

 そのときに、河津と由利が横から入ってきて、

由利「すみません」

奈美「はい」

由利「私、税務課の由利と申しますが」

奈美「はい」

由利「以前、お子さんが社会科見学でここに来て倒されたとき、急いで救急車を呼んだ者なのですが、その後お子さんはいかがですか?」

奈美「そうでしたか。その節はお世話になりました」

 奈美が軽く頭を下げた。

由利「どういたしまして」

奈美「一時は記憶が無かったんですが、それも回復しまして」

由利「そうですか」

奈美「マスコット人形に蹴飛ばされて倒された日のことを除けば、すべて記憶は戻りました」

河津「えっ! マスコット人形に蹴飛ばされた。それは違いますよ!」

奈美「違うんですか?」

河津「お子さんを倒したのは別の人物です!」

奈美「えっ! それってどういうことなんですか?」

河津「ちょっと、あちらの戸籍相談窓口までお越しいただいていいですか?」

奈美「はい」


 奈美は、550円のお釣りと領収書をもらうと、海斗を連れて戸籍相談窓口に腰掛けた。カウンターの中の係員席には、河津と由利が座った。

由利「社会科見学の日のことなのですが、お子さんを含めたグループは、ちょうど私の所属する税務課に来ました」

奈美「はい」

 奈美は真剣に由利の話を聞き始めた。海斗は下を向いていた。

由利「社会科見学のグループは、あそこの税務課のカウンターの前に、集まりました」

 由利が、住民課戸籍の相談窓口から15mほど離れた税務課のカウンターを指さした。

奈美「はい」

 奈美が税務課の方を振り返った。

由利「全部で20人ぐらいのグループでした。そして、一番後ろに、国民健康保険課のマスコット人形ジョーブ君が立っていました。その、ジョーブ君のすぐ前にお子様が立っていたようです」

奈美「はい」

由利「そのグループの中の伊織ちゃんという女の子が、グループを代表して私に質問をしました」

奈美「伊織ちゃんね。頭の良い子です」

由利「伊織ちゃんが質問して、私と同僚の笹倉が答え終わった時でした」

河津「そこからは、私が話しましょう」

由利「お願いします」

河津「私は、その時、ちょうどこちらの住民課からその様子を見ていたのです。お宅のお子さんがどこに立っていたのか、私は知りません。ただその時の状況を話すと、そこの通路を高校生二人が全速力で走って行ったのです」

奈美「高校生二人が?」

河津「はい。税務課にはいくつかカウンターがあるのですが、一番奥のカウンターへ向かっていたようです」

奈美「はい」

河津「高校生二人は、まるで運動会の競争のように競って走っていました。ところが、社会科見学の子たちが通路をふさいでいました。高校生の内のひとりが、ジョーブ君を思いっきり突き飛ばし、通路をこじ開けて走ったのです」

奈美「ひどい!」

河津「当然、ジョーブ君は倒れました」

奈美「……」

河津「お宅のお子様は、ジョーブ君の前に立っていたようですので、ドレミ式に倒されたんだと思います」

由利「それ、ドミノ式です」

奈美「ふふふふふ」

河津「そうか、まぁいいではないか」

奈美「なんで、高校生は、そんな所を全力で走っていたのかしら?」

由利「それは、良いナンバープレートを取りたかったからです」

奈美「良いナンバープレートって、何ですか?」

由利「ちょうどその頃、税務課ではバイクのオリジナルナンバープレートを発行しまして、早い者から順に、在庫の中より好きな番号を選べるようになっていました」

奈美「……」

由利「それで、二人は競っていたのです」

奈美「その高校生二人の名前はわかりますか?」

由利「はい、わかります。ですがお教えすることはできません」

奈美「なんでですか?」

由利「未成年者ですので」

奈美「そう、わかりました。とにかく、悪いのはその高校生ってことですね」

由利「はい。いくら小学生が通路をふさいでいたとは言え、高校生が通路を歩いていればこんなことにはならなかったでしょうね」

海斗「学校に『廊下は歩こうね』って書いてあったよ」

 海斗が初めてしゃべった。

奈美「うん、そうよね」

河津「でも良かった。元気そうで。あのときは、おじさんびっくりしたんだよ」

奈美「私もよ」

 その後、少しして、奈美と海斗は市役所を出て行った。


 帰り道、奈美は考えていた。

奈美(私、大きな誤解をしていたんだ)

奈美(小学校から『ジョーブ君が海斗を蹴飛ばした』って聞いていたもんだから)

奈美(あれ、嘘だったんだ)

 奈美は、自分が坂口大輔に言った言葉を思い出した。

『あなたが海斗を蹴飛ばしたのね! 偽善者!』

奈美(なんて、ひどいことを言ってしまったんだろう)

 自分で自分を軽蔑し始めた。自己嫌悪にさいなまれた。


 奈美は家に帰ると、念のために伊織ちゃんちに電話した。

奈美「もしもし伊織ちゃんのお宅ですか? 海斗の母ですが」

伊織ママ「はい」

奈美「いつもお世話になっております。突然の電話ですみません」

伊織ママ「いえ、何かありました?」

奈美「実は、今、市役所に行ってきたのですが、社会科見学で海斗が倒された時、伊織ちゃんが税務課でクラスを代表して質問したって聞いたものですから」

伊織ママ「そうだったかしら?」

奈美「それで、そのときの様子を何かママが聞いているかな? と思いまして」

伊織「聞いたかも知れないけれど忘れちゃったから、そうだ、今ならまだ塾へ行く前で、

伊織が居るから電話口に出させますね」

奈美「ごめんね」

伊織ママ「ぜんぜん」

 電話から『伊織、海斗君のママが社会科見学のことで聞きたいって』と聞こえてきた。電話口に伊織が出た。

伊織「もしもし」

奈美「伊織ちゃん、ごめんね。塾行く前で忙しいのに」

伊織「……」

奈美「ちょっと教えてくれる? 社会科見学で伊織ちゃんが代表で質問したって聞いたんだけれど?」

伊織「はい。質問したよ」

奈美「その時の様子を、」

伊織「税務課のおばさんとおじさんに『税金のお仕事をしていて、何が楽しいの?』って聞いたよ」

奈美「すごい質問を考えたわね。ふふふふふ」

伊織「そしたら『楽しいことなんかあるわけないよ』って」

奈美「まぁ! それ、由利さんって方が答えていた?」

伊織「忘れちゃった。あっ、ちょっと待って。社会科のノートに書いてあるかも?」

 伊織はノートを取りに行った。

奈美(由利さんて、本当に正直者なのかも?)

 伊織は戻って来ると、

伊織「『田んぼの田』と『利用するの利』という漢字の付く人」

奈美「じゃぁ、由利さんだ。ありがとう。伊織ちゃん、すごいね。ちゃんとノート取っているんだね」

伊織「うん」

奈美「海斗が倒れた所を見た?」

伊織「ううん。見てない。海斗君、私の後ろにいたから」

奈美「そうよね。伊織ちゃん、ありがとう。」

 電話を切り、奈美は考えていた。

奈美(本当だったんだ。由利さんと河津さんの言うことで間違いなさそうね)

奈美(でも、なんで海斗は後頭部を打ったんだろう?)

奈美(高校生がジョーブ君を倒し、ジョーブ君が海斗をドレミ式に、間違った、ドミノ式に倒したら、海斗はおでこを打つはずじゃない?)

奈美(後頭部は打たないわ?)

奈美(あ~あ、気が重いなぁ。私、坂口さんを傷つけちゃった)

奈美(もう、坂口さんとは、二度と会えないな。会わせる顔がないし)

奈美(忘れよう、とにかく忘れよう。すべて忘れる、それしかないじゃない)

奈美(夫と過ごした7年間、坂口さんと出会ってからの1年間、すべて忘れるのよ。忘れることによって前へ進めるのよ)

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【後書き】

 たくさんの作品の中から本編をお読みいただきありがとうございました。m(__)m

 まだまだ未熟ではありますが、皆様に愛される作品となりますよう努力を重ねていく所存です。m(__)m

 読んでいただいた方々には「感謝、感謝」です。「本当にありがとうございました」m(__)m

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 「小説家になろう」及び「小説を読もう!」のサイト運営関係者の方々に、心より感謝申し上げます。m(__)m

 読む側も書く側も、すべてが無料というのはとても助かります。

 書く側から申しますと、いつでも編集や修正が出来、「アクセス解析」から「執筆バックアップ」まで、運営者側にやっていただいております。誠に至せり尽せりです。

 この「小説家になろう」及び「小説を読もう!」のサイトがいつまでも続くことを願っております。m(__)m

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