第82話 絶対神に拒絶された少女
メリシエルは、破壊されつつある高山にて、鉄槌を肩にしていた。
娘のアレクサンドラは、そのそばで、自分も鉄槌に抗おうとしている。
黒龍を加えてサリオンドレルの面々も、鉄槌に抗おうとしている。
魔法が使えるものは、この二人に、ありったけの拡声魔法を付与する。
アレクサンドラが、幼い声で叫ぶ。
「あらがえ! どうせ死ぬんだ! 立って死ね! 名に恥じぬ死を選べ!」
メリシエルが、それに続けて
「鉄槌を受け入れるな! 私たちにこの鉄槌を向けた、絶対神を呪いながら死ぬんだ!」
兵たちの中にも、鉄槌を担ぐ者たちが現れ始めた。
アレクサンドラ
「名を名乗れ! お前たちの誇りを示せ!」
メリシエル
「愛する人の名を叫べ! お前たちの大切な人の名を叫べ!」
アレクサンドラ
「忘れるな! 死んでもその名を叫び続けろ!」
メリシエル
「聞け! 絶対神よ! この中に一人でも、ただの一人でもお前の名を叫ぶものがいるか!」
しばし、沈黙。メリシエルは、鉄槌を抱えている。
絶対神に祈る者など、いない。鉄槌から加護の力が消えていく。
「私は、私に石を投げつけたこの世界を、愛している!」
それから
「絶対神よ! 何度でも、私は帰ってくる! お前のことを、許さない! 私の娘であり、母であるアレクサンドラの名にかけて、私はお前を許さない!」




