第一章 終わり
翌日。というか後日談。
凛をいじめたグループは一年以上の入院を余儀なくされたようで、修多羅の怖さが尾を引いたのか相当なトラウマを抱えているらしい。余程のショックなのか二、三ヶ月ほどの記憶が完全に抜けており、凛をいじめたことも修多羅が修羅になったことも完全に忘れていた。
つまり、自業自得である。
崩壊した学校は言霊で5時間かけて直したが、色々諸々の負担で俺は再び学校で爆睡した。
「…ふが」
外を見ると再び夜。時計を確認すると短針は6時を指していた。
「やっと、起きたのね」
「…なんでいんだよ」
異能の暴走の影響で相当疲れているはずなのに、翌日登校とはさすが世界大会の覇者だ。
「それはあなたにも言えることじゃないの?」
「異能の反動で寝てたんだよ」
夜通し直す羽目になり、気づけば朝になっていた。帰って寝るのも面倒になり、朝から机で突っ伏していたわけだ。つまり、また1日寝通したわけである。
「あり・・・・がとう」
「は?何だ?」
「助けてくれてありがとう」
「当たり前だろ。凛じゃないけど、友達助けるなんて普通のことだからな」
会話をしていて気づいたが、どうやら修多羅は本を読んでなかった。どうやら、俯いて本を読むことをやめたらしい。
「お、仲良いねお二人さん!」
バーンと教室の扉を荒々しく開け、ポーズを取るのは凛だ。
「部活終わったからさ、遊びに行こうよ」
「ああ」「そうね」
俺たちは3人で帰る。
そこに化物などおらず、ただの友人3人で。