アニシナベ族、七つの火の予言
アニシナベ族には、七つも火の予言と言われる話が伝えられている。
今から、ざっと千年以上も前。
アニシナベ族は、北米大陸東北部・大西洋沿岸地帯に広がる森と川と湖の大地で暮らしていた。
アニシナベは、人の数も多く、力がある一族だ。
ここら地方、一番高い山の頂から眺めて見えるところだが。
それらは、四方八方どこまでも、ことごとく全てがアニシナベの国だった。
カヌーを足の代わりに用い、冬になると犬ぞりを使って遠くまで旅をした。
暮らしはとても豊かで、いつも美に包まれていた。
その信仰は、輪の道と呼ばれ、夢やヴイジョンを通して、知恵や力を自然に受け継いでいた。
人々は、スピリットによる道に従い、全て命ある者達と調和の中を、バランスをとって歩いていた。
命を差し出して、食べ物となってくれる動物たちや魚たちとも言葉を交わすことができた。
草や木々の話す言葉に耳を傾けて、病を癒す薬も得ていた。
不思議な力の存在と螺旋の神秘を理解していた。
この知識を利用する事で、いともたやすく空間を越えて長い距離を旅する事ができる者もいた。
アニシナベの国には、警察も法律も裁判所も判事も牢屋もなかった。
彼等は、輪の道にしたがって共に助け合う。
一族・共同体の幸福と健康がために持てる才能と技を惜しみなく使った。
狩人も猟師も腕の立つ者は、獲物をわけあうことを常とした。
女達は、みなで野や森に入って食べる物を採集し、それを一族の者たち全員に分配した。
最初に、創造主から与えられた指示にしたがっていた彼等だが。
輪の道にある中で、場所を得ている、あらゆる命ある者を愛し、讃え、尊敬した。
創造主による教えは、天地創造から始めに全ての人々に与えられている。
また、我々一人ひとりのハートに書き込まれていた。
アニシナベに語り継がれる歴史は、これまでに一族の元に、予言者が七人も現れた事を伝えてきた。
それら予言者は、一族の者たちが北米大陸東北部沿岸で、平和に暮らしていた時に別々に訪れた。
どのような未来がやってくるかについて、予言者たちは予言を残した。
予言は、それぞれが火と呼ばれる。
それぞれ火は、また未来とある特定の時代を示す物とされた。
それがために、七人からなる予言者が残した教えは、七つの火として知られている。
⭕️ 第一の予言。
始めに現れた予言者だが。
アニシナベ達が住む国に、最初の火時代が到来する日に起きる事を伝えた。
海岸の近くに村を作り、海で採れる子安貝を宝物としていた一族だが。
彼等は、いずれ、その土地を離れることになる。
また、子安貝の上に現れる御しるしに人々が従う時がくるだろうと。
一族は、西方にある見知らぬ土地へ、亀の形をした島を探して長い旅をする事になると。
その島は、大地による浄化と関係がある。
一族は、長い旅の最初と最後に、そうした島を発見する事になっていると。
旅の途中では。
一族は、二つ大きな甘い水の海をつないでいる川と遭遇する。
その川を伝っていくと、さながら大地を切り裂くナイフがごとく、川幅は見る見る狭くなる。
また、川の深さはさらに深くなるだろう。
一族は、川を遡りながら全部で七度、村づくりを試みる事になっている。
また、旅が終わる時期は、水の上に食べ物が育つ姿を見つけた時だとされた。
もし、そのまま今居る場所に居続けて、旅に出なければだ。
多く苦難がのしかかってきて、一族は滅びる。
旅に出れば出たで、他の国々から狙われて攻撃を受けるだろう。
だから、いつでも戦えるように守りを固め、予め命名が体を鍛えるなど。
あらゆる、準備を整えておかなくてはならないだろうと。
⭕️ 第二の予言。
二番目の予言者だが。
彼は、甘い水から海の近くで野営をしている時に現れた。
そして、一族は道に迷う事になって、第二である火の時代が到来する事を知るだろうと伝えた。
さらに、時がきたら、一人だけ少年が、夢の中で正しい道に帰る道を見つけ出してくれる。
それで、未来へと続く道に戻ることができると。
⭕️ 第三の予言。
三番目の予言者が伝えたところでは。
第三である火の時代に。
アニシナベ一族は、自分達のために、あるような土地に通じる道を見つける事になると伝えた。
一族は、さらに道を西に向かい、やがて水のうえに食べ物が育つ場所にたどり着くだろうと。
⭕️ 第四の予言
四番目の予言者は、一人に見えて実は二人いた。
二人で一人の予言者は、第四である火の時代になると。
明るい肌の色をした人達が、到来すると伝えた。
アニシナベ一族に待つ未来は、明るい肌をした人たちが。
どのような顔をして、現れるかにかかっているだろうと。
彼等が、友好的な顔で現れるならば、素晴らしい変化の時が訪れるかもしれない。
昔ながらの知識に、新しい知恵が加えられる。
さらに、二つの人達は力を合わせて強力な国を作りあげる。
その後、さらに、二つも国家が強力な国には加わる。
そうして、全部で四つからなる国が、いっそう強力な一つの国を形作るだろう。
その人達が、知識と善なる意志さへ持ち寄る事。
それが、できるならば、皆は兄弟のごとくなるだろうと。
「しかし」
ーーと、四番目である予言者な別の一人が言った。
「その明るい肌の色をした人たちが死者の顔を持ってくるときにはくれぐれも用心しなくてはならない……友好的な顔と死者の顔は見分けがつかないくらいよく似ているからだ」
別の一人は、話を続けた。
「苦しみを引き連れてあらわれる彼等は、あなた方をからかい、見下すことだろう……連中のハートはこの大地に秘められた豊かさに対する強欲であふれている……そのものたちが真の兄弟か否かは、そのものたちに証明させればよい」
別の一人は、さらに話を続けた。
「くれぐれも頭から信用したりしてはならない……それが死者の顔かどうかは、川の水が毒となり、魚が食べられなくなることではっきりすることだろう」
ーーと、別の一人は話を語り終えた。
⭕️ 第五の予言。
五番目の予言者だが。
第五である火の時代に、明るい肌の色をした人たちが考えている生き方と。
自然に従う、人たちによる多くの国々と、自然なスピリットの道。
それら、二つとの間で、とてつもない戦いが起きるだろうと伝えた。
「この火が熱を失うころ、大いなる喜びと救済を約束する人たちがあらわれる」
第五の予言者は語る。
「人々が、それらの約束を受け入れて、昔から伝わる道を捨て去ることがあるかもしれないが、しかし戦いは何世代にもわたって続くだろう。
さらに、第五の予言者は語る。
「このときの約束は偽りの約束であり、それを受け入れたものたちは、ほとんどが滅び去る」
ーー、第五の予言者は語り終えた。
⭕️ 第六の予言。
六番目の予言者だが。
一族の者たちに伝えたところによればだ。
第六である火の時代になると。
第五である火の時代に、受け入れた約束が偽りであった事が、自ずから明らかにされるという。
「その約束に目を眩まさせられた者たちは、エルダーの教えから子どもたちを遠ざけることになる」
ーーと、第六の予言者は語る。
「孫や子が年寄りに逆らうようになり、エルダーたちは生きる目的を失い、多くが病の内に死にゆくだろう……それまでになかった新しい病気がひとびとの間に広まり、たくさんのものたちの人生がやがて悲しみと嘆きで満ちあふれることだろう」
そう、第六の予言者は語り終えた。
⭕️ 第七の予言。
七番目の予言者だが。
それ以前にやってきた六人居た予言者よりも年齢が若くて、その目には不思議な輝きが宿っていた。
彼は、その時がくれば、長く飲み水に毒が加えられ続けたためにだが。
その水で生きていた動物たちや植物たちが病に冒されて、死に始めるだろうと告げた。
森林の大半が。
草原の大部分が。
こうした、自然が失われ、空気内にある命の力が失われ始めると。
白の国が、赤と黒と黄による国々にもたらす、頭の道によってだが。
地球その物が、まるごと危険にさらされる事になるだろう。
そして、第七である火の時代になった時にだ。
幻の雲をかき分けて、新しき人たちがあらわれると予言者は伝えた。
彼等は、今一度自分たちの進んできた道をたどり直す。
また、細い道の傍らに打ち捨てられたままになっていた宝を見つけ出すだろうと。
失われていた物語が、彼等の元に帰ってくる。
最初に、創造主から与えられた根本の教えを彼等は思い出す。
また、輪の道による道中に力を見つけ出すことだろう。
その力を探し求める中で、彼等は酋長達へと導かれる。
そうして、新しき人たちも導きを求めるようになる。
だが、その時は既に、酋長たちは多くが、星々による網中、魂が進む道を歩きはじめている。
かろうじて、生き延びたエルダーたちは、昔の知恵を忘れ去っている。
そして、およそ力になる事などできないかもしれない。
中には、眠りこけたままの者も居るだろう。
見当違いの誤った方角を指し示す、酋長もいるだろう。
恐れる余りに、口をつぐんで黙したままの者もいるだろう。
しかし、中には、それまでに誰も知恵のことを尋ねてくれなかったから。
ーーと言う理由だけで、口を開かないできた、酋長たちも、居ないわけではない。
新しき人達は、酋長たちに用心しつつ近づかなくてはならない。
新しき人たちの任務は、たやすい物ではないだろう。
もし、この新しき人達が、あらゆる物による道中で、輪中で、心を強く保つ。
また、頼れる物を見つけたなら、その時には、もうエゴが発する利己的な声は不要となる。
そして、彼等も自らの内なる声を信じ始める事が出来るだろう。
夜といわず昼といわず、あまたの夢の中に知恵が再び見つけ出されるようになるだろう。
聖なる火が再びともされる。
このときには明るい肌の色をした人たちにもふたつの道の選択が与えられよう。
この人たちが正しき道を選べば、第七である火が第八、そして最後となる火をともす事だろう。
人々が皆、兄弟姉妹のように生きる時代。
最後である火の時代がおとずれるのだ。
もし、その人たちが選ぶ道を過ち、いつまでも頭の道にとどまり続ければだ。
今度こそ、ほんとうの破滅がもたらされる。
地球に生きる人たちは、さらなる苦痛と多くの死を体験することになるだろう。
⭐️ アニシナベ。
人々という意味。
カナダでは、オジプエ、オジブウェイと。
アメリカでは、チペアとも呼ばれるが。
自分たちで、自身らの事を話す時に、アニシナベと言う。
アニシナベには、ミクマック、マリシーツ、ペノブスコット、ワンパノアグ等の部族を含む。
北米大陸・先住民では、最大の言語圏アルゴンキン語族に属する。
元々は、北米大陸・東北部・大西洋岸。
ハドソン湾岸の森林地帯。
等々に、ウィグワムという簡易住居を建てて暮らしていたが。
後に、西方へと移住拡大して、現在は五大湖の周辺、主にはスペリオル湖辺りに暮らしている。
北米先住民の中では、ディネ、(ナバホ)、・ツァラギ、(チェロキー)、と肩を並べる大きな部族。
ビーズ細工で、さまざまな図柄を施した、ワムパムという帯と。
それぞれパターンの解読法を伝承する事で、一族による歴史を長く伝えて今日に至る。
⭐️ 予言者たち。
現在、アメリカ合衆国・南西部にある沙漠の中にあるホピ国。
ここには、彼等がキバと呼ぶ地下の聖なる礼拝所にだが。
いきなり姿を現した、アニシナベ族の事を語り継ぐ者がいる。
その人間は、ホピ族たちと、暫くは様々な話をした後。
ともに儀式を行い、そして壁の中に姿を消したと言う。
予言者達だが、北アメリカ大陸各地を旅するインディアンの人々。
彼等は、他の部族と出会う度に、情報交換や交流を行います。
そう言った中で、知恵ある酋長や祭司たちは、話し合いをします。
その中には、計算能力が高い人や、鋭い洞察力や勘を持つ人も居たでしょう。
或いは、神や天使に精霊カチーナのような存在が、彼等に予言を伝えた可能性も。
ホピ族の地下礼拝所であるキバに、アニシナベ族が現れた話だが。
旅する途中で偶然にも洞窟に入ったと、私は思ってました。
しかし、ズニ族・酋長によると、一部の神聖な場所は、ワープする事ができるとか。
また、幽体離脱で地下に、アニシナベの人が現れた可能性もあります。
⭐️ 水の上に育つ食べ物。
ーーとは、彼等にスピリットを与えるとされる、メノミン。
ワイルドライスのこと。
インディアン・ライスと呼ばれることもある。
日本名を真菰と言って、イネ科の大型多年草であり、川や沼や湖で成長する。
アニシナベ族・文化の中心にある聖なる穀物。
ヨーロッパ人がやって来る以前。
北米大陸・北東部から南東部の殆ど、至る所に沼地や湖に生えていた。
また、神さまの庭に咲く食べ物とも言われる。
東アジアでは、若芽などを食用としてきたが、日本では古くから薬草の一つとされる。
今も、特に神事に用いられていて、例えば出雲大社の巨大な絞め縄は、真菰で作られていたりする。
⭐️ 二つの道。
インディアン国に住んでいる、多くの伝統的な人たちだが。
明るい肌色をした人達による、二つの道を、こう理解している。
科学技術に至る道・精神性に至る道……と。
これは、ホピ族から伝えられた岩絵に書かれた道を示している。
道の真下に居る、弓を持つ人物は、マサウウであると言われている。
その反対側にある絵は、太陽と十字に見える。
もちろん、上下は。
上の三人と武器を持つ一人は、科学による破滅へ進む道。
下の二つある⭕️と、トウモロコシ畑と老人は精神による平和な道。
どちらに、人類が向かうのか今は分からない。




