聖書のカインとアベル
カインとアベルは、アダムとイヴがエデンの園を追われた後に生まれた兄弟である。
カインは農耕を行い、アベルは羊を放牧するようになった。
ある日、二人は各々の収穫物をヤハウェに捧げる。
カインは収穫物を、アベルは肥えた羊の初子を捧げたが。
ヤハウェは、アベルが差し出した供物に目を留め、カインの供物は目を留めなかった。
これを恨んだ、カインはその後、野原にアベルを誘い殺害する。
その後、ヤハウェにアベルの行方を問われたカインは。
「知りません。私は弟の番人なのですか?」
~~と答えた。
しかし、大地に流されたアベルの血はヤハウェに向かって彼の死を訴えた。
カインは、この罪により、エデンの東にあるノド(נוֹד、流離いの意)、の地に追放されたと言う。
この時ヤハウェは、もはやカインが耕作を行っても、作物は収穫出来なくなる事を伝えた。
また、追放された土地に住む者たちに殺される事を恐れた、カイン。
彼に対して、ヤハウェは彼を殺す者には七倍の復讐があることを伝えた。
カインには、誰にも殺されないために、カインの刻印をしたと言う。
カインは、息子エノクをもうけ、ノドの地で作った街にも、同じ名をつけた。
アベルの死後、ヤハウェは、アダムとイヴに、アベルの代わりとして、セト(セト)、を授けた。
セトは、アベルの生まれ変わりとも解釈される。
両親。 アダムとイブ。
長女。 ルルワ。 アクリマ、カルマナ。
次女。 アワン。 アクレミア、クェリマ、ジュメリア、バルビラ。
長男。 カイン。
三女。 アズラ。
次男。 アベル。
三男。 セト。
⭐️ ルルワとアワン達は、教派によっては名前が変わる事がある。
アベルの姉であり妻であるルルワは、アダムとイヴの娘たちの中で最も美しく、母親よりも美しいと説明されている。
しかし、カインはルルワと一緒にいたイヴの子宮の中で、ルルワを憎んでいたと伝えられている。
ルルワという名前は、美を意味する。
また、真珠や月の宝石という意味もある。
一方、カインという名前は、双子の妹を憎んでいたことに因んで、憎む者を意味した。
アベルは、カインに取ってのルルワと同様に、双子であり妹たる、アクレミアを持っていた。
イスラム教とラビの伝承によると。
彼等と彼女等の父親である、アダムは考えた。
そして、ルルワはアベルと結婚して、アクレミアはカインと結婚する事を提案した。
ルルワを、アクレミアよりも魅力的だと思っていたカインは、この提案に反対した。
ルルワの双子・兄弟を納得させるために、アダムは、神意を伺うためにと。
彼に、神への捧げ物を供えさせたが、カインによる供え物は神によって拒絶された。
カインは、アベルを殺害すれば、ルルワが自分の妻になると考え、殺人を実行した。
アダムとイヴとサタンの対立によると。
ルルワは、カインがアベルを殺した時、その事を泣きながら、アダムとイヴに伝えた。
アダムとイヴは驚いて泣き叫びながら、アベルが殺された場所に行くと。
アベルの遺体に獣が群がっていた。
家族は大泣きした後、遺体を埋葬し、140日間喪に服した。
その時アベルは、15歳半で、カインは17歳半だった。
弟の喪が明けると、カインはアダムとイヴ達による許可なしで、妹である、ルルワと結婚した。
両親は、息子を一人失った悲しみに囚われ、カインがルルワに近づくことを制止できなかった。
⭐️ カインとアベルの名前。
カインとは、本来ヘブライ語で、鍛冶屋・鋳造者を意味する。
追放され耕作を行えなくなった、カインを金属加工技術者の祖とする解釈も行われている。
アベルとは、息=霊・命を意味する。
この説話を、遊牧民と農耕民による争い。
遊牧民の農耕民に対する優越性を正当化する話と、解釈する向きもある。