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ソルフィンの探険  【先住民、スクレリングとの交戦 】

 ある夏。


 優秀な船乗りだった、アイスランドの若者ソルフィン・カルルセフニは仲間と共に40人で船に乗り込み、秋になるとブラッターフリーズへやって来た。


 ソルフィン達は、エイリークに気前良く取引に応じて、彼も寛大に礼を返し、2人は仲良くなった。


 そして、冬至の宴の準備の便宜を図ったことをきっかけに、エイリークは息子の未亡人グズリーズをソルフィンと結婚させた。


 その冬、ブラッターフリーズでは、ヴィンランド探検の話題が持ち上がり、春にソルフィンが行くことになった。


 この航海には、エイリークが他の女性との間にもうけた娘フレイディースと、その夫ソルヴァルズ。

 更には、エイリークのもう一人の息子ソルヴァルドも一行に加わった。


 一行の総勢は160人だった。


  ソルフィンの一団はまず、グリーンランド西部入植地へ向かい、後にビャルンエイ【熊の島】、と言われる島を目指す。


 2日間そこから南に進むと。

 大きな平たい岩のある陸地を見つけ、ここを、ヘッルランド【平岩の国】、と名付けた。


 そこから2日間航海し、進路を南東に変えると、また森に覆われた土地を見つけた。


 ここは、マルクランド【森の国】と名づけた。


 更に、ここの南東対岸に島を見つけた。

 その島で熊を仕留めたので、ビャルンエイ【熊の島】、と名付けた。


 そこから陸地に沿って長いこと南に進路をとると、岬を見つけた。

 その岬で難破船の竜骨を見つけたので、キャラルネス【竜骨岬】、と名付けた。


 また、右舷には驚くほど長い砂浜の海岸線が伸びており、その海岸線にはフルズストランディル【驚異の海岸】と名付けた。


 そこから陸地に湾が入り込んでいたので、そのうちの一つに船を進めた。



 そこで、ブドウの房と野生の小麦を見つけた。


 その後、とある入り江に船を進めて。



 入り江自体を、ストラウムフィヨルド【急流の入り江】。

 入口にある島を、ストラウムエイ【急流の島】。


 と名付けて、入り江に上陸した。



 そこで冬を越したが、食糧が不足する事態に陥いる。


 海岸に鯨が打ち上げられたので、解体して食べると、皆食あたりを起こしてしまった。


 次に北上するか、それとも南下するか。


 そこで、乗組員の一人。


 狩人ソールハッルルとソルフィンの意見が対立した。


 ソールハッルルは偽キリスト教徒で、もともと他の船員とそりが合わなかった。


 彼は結局、少数の仲間とともに船に乗り込み独断で北に進路を取ったが。

 そのまま、西から吹く向かい風に遭い、アイルランドまで流されてしまった。


 彼等は、そこで奴隷にされて生涯を終えたという。


 一方、ソルフィンたちは別の船でさらに陸地に沿って南下した。

 長いことら船を走らせると、川を見つけたので、そこにある河口に錨を降ろした。


 土地は非常に肥沃で、低地帯には野生の小麦畑が。


 森が見えるところには、ブドウの木が広がり、川は魚で溢れていた。


 森には、ありとあらゆる動物が数えきれないほどいた。

 彼らは、そこに半月ほどとどまり、家畜を育てて暮らした。



 先住民との遭遇。


 ある朝早く、革張りの船に乗った先住民スクレリングに遭遇した。


 その時は何もせずに逃げてしまったが、次に来た時に、彼等はソルフィンに交易を持ちかけた。


 先住民たちは特に赤い布を欲しがり、持ってきた革製品と毛皮と交換した。


 また、先住民はノース人の武器を交換したがったが、ソルフィンはそれを禁じた。


 そのとき突然、ソルフィンの飼っていた牛が突っ込んできて唸り声をあげた。


 それを聞いた、先住民は驚いて逃げてしまった。


 三週間後、彼らは武器を取り大軍勢でやってきて、攻撃を仕掛けてきた。


 激しい戦闘が始まったが、先住民は棒の先につけた大きな黒っぽい球体を投げつけてきた。


 未知の武器に遭遇したノース人は恐れをなし、みな一目散に岩場に逃げ去り、そこで戦った。

 しかし身重だったフレイディースは踏みとどまり、仲間の死体から抜き身の剣をひったくり、胸をあらわにし、その剣で胸を叩いて威嚇した。


 これを見た先住民は恐れをなして逃げだした。

 この戦闘でノース人には2人、先住民には大量の死者が出た。



 ソルフィンの帰還。


 ヴィンランドは肥沃な土地だが、先住民の攻撃に晒されるわけにもいかないので、ソルフィンは故郷に帰ることにした。


 ヴィンランドで、さらに5人の先住民を殺したのち、ストラウムフィヨルドに戻ってきた。

 一説によれば、ビャルニとグズリーズという名の船員と100人の仲間は共に、ストラウムフィヨルドにとどまったという。


  ソルフィンたちは北上し、キャラルネスを過ぎて西方へ船を進めた。

 左舷に陸地が見えたが、ずっと荒涼とした原野が続いた。

 更に進むと川を見つけ、その河口に船を入れて南岸に錨を降ろした。


 ある朝突然、見知らぬ男がソルフィンたちのいる川辺に走りこんできた。

 その男は脚が一本しかなく、恐るべき速さで矢を射掛けてきた。

 エイリークの息子ソルヴァルドがその矢を腹に受け、ほどなく死んだ。


 一本脚の男はすぐに逃げ出し、ソルフィンたちは追いかけたが結局逃げられてしまった。


 それから北に船を返し、三度目の冬はストラウムフィヨルドにとどまった。

 最初この地に到着した冬には、ソルフィンの息子スノッリが生まれていた。


 この時には、三歳になっていた。


 グリーンランドへ帰る途中、マルクランドで先住民の子供二人を捕まえ、言葉を教えて洗礼を受けさせた。

 二人の話では、先住民には王が二名いて、人びとは岩穴や洞窟に寝泊まりしているという。


 更に、彼らの住んでいる土地の真向かいには、白い服を纏い、布切れの着いた棒を携え、大声を張り上げる人々が住む土地があるという。


 さて、一行はグリーンランドに到着し、その冬はエイリークのもとで世話になった。

 その後、二度目の夏を迎えたときに、ソルフィンは妻子をともなってアイスランドの故郷へと帰った。


 ソルフィンの息子スノッリの一族は、その後、司教を三人輩出したという。

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