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チェロキー族 天から降り落ちる空の家 蒸気に包まれる石の村

 物事の動きがスピードを増していくさまを見るようになる。

 その時、地球上で生きる人たちによる動きも増していく事だろう。


 孫たちの世代は、もう祖父母になる時間は無いかもしれない。


 男子も女子も親には成れても、子供たちを持つ時間はないかもしれない。


 時間の流れが、さらに速まるように見える。


 長老エルダー達は我々に警告を与えた。


 物事の速度が早くなっていくようなときには、お前達はスローダウンしなくてはならぬと。


 時代が早く動けば動くほど、我々はスピードを落とさなくてはならない。


 物事の動きが速くなるとき。


 その時には、地球が三回目に揺すられようとしている時期であるから。


 グレイトスピリットはこれまでに、二回この地球を揺すられた。


 第一次世界大戦も、第二次世界大戦も、我々が一つの人間家族であることを。

 我々ひとりひとりが兄弟であり、姉妹として、互いに挨拶を交わすべきだったことを。


 それ等を、思い出させるための出来事だった。


 地球が揺さぶられた後、共により集まって輪になるチャンスが、過去には二回我々には与えられたのだ。


 だが、我々はその機会をミスしてしまった。


 今エルダーたちは、地球が三回目に揺すられるときの御しるしについて話しておられる。


 あの人たちは長老エルダーたちが話す言葉で言うなら、空の家となる物をこれから造るらしい。


 1950年代には、すでにその話を耳にした。


 彼らは家を造り、その家を空に放り投げると。


 人間が空に永住するようになるのを見たら、グレイトスピリットが地球をまさに掴もうとしていることを貴方達は知るときである。


 そして、その時にはグレイトスピリットは、これまでのように片手ではなく、両手で地球をつかんで揺さぶることになるだろう。


 今度、つまり三度目にグレイトスピリットが地球を揺さぶるときには、その空の家から下の地球に向かって「灰のつまったヒョウタン」が落とされるのだ。


 エルダーたちによれば、その頃にはこの大地のうえにあまりにも広大でどこまで続いているかはとても見渡せないぐらいの大きな村ができていることになっている。


 そして、様々な予言によれば、その広大な村は、石の村とか、石の平原と呼ばれている。


 それらの石は大地から空に向かってのびていて、それぞれの石があまりにも高くそびえているために、村から遠くまではとても見渡せないのだそうだ。


 そうした村という村のそれぞれの中心には、ネイティブ・ピーブルがいるだろう。


 彼らは石の平原上をそれぞれがさながら、実のない貝殻のごとくに歩いている。


 長老エルダー達は、実のない貝殻・貝の抜け殻と確かに言った。


 それは、ネイティブ・ピープルたちが自分たちの伝統にたいする理解をすっかり失って、内側が空っぽになってしまっているということなのだ。


 彼らはこう言った。


 イーグルが月に舞い降りた後、石の大平原のなかに暮らす人たちの中から、その石の平原を離れて、昔ながらの生き方を学び、自分を生まれかわらせようとする物たちが現れはじめるだろう。


 なぜなら、そうやって新しい一日がはじまるのだから。


 だが、そこまでするのはほんの限られた数の人間に過ぎない。


 多くは、そのまま石の平原にとどまるだろう。


 エルダーたちが言うには、やがてそのときが来る。


 朝日が昇ってきた時には、そこに確かにあった石の村が、夕方には大地から登りくる蒸気に包まれているだろう。


 それはら立ちのぼる蒸気としてやって来る。


 多くの石の村の中心地が、瞬時にして蒸気に姿を変える。


 そのとき町に残っていた、ネイティブ・ピープルたちも、目を覚まして石の村から出て行かなかったがために、一瞬のうちに蒸気になってしまうだろう。


 エルダーたちは、地球が三回目に揺さぶられるときはそうなるのだと言っている。


 あまり見たくないような光景ではあるが、それでも生き残るものは生き残る。


 われわれは、それを生き延びるだろう。


 そして、それを生き抜いた後、そのときにもまた地球上に生きる人たちの間で輪を作ろうという試みが起こる。


 そして今度は、ネイティブ・ピープルも仲間に加わるために請願する必要はなく、はじめから輪に加わるように招聘しょうへいされることだろう。


 長老エルダー達に言わせると、その時までには人びとの我々に対する態度も一変しているというのだ。


 人びとは、我々をその輪の中に入れてくれるだろう。


 四つの方向に分かれていた、四つの色の人たちが互いの知恵を分けあうこともでき、地球にも平和が訪れる。


 その時が今迫りつつあるのだ。


 予言というのは、どんなものであれ絶対的なものではない。


 いつも可能性は常に残されている。


 1565年のときにみんなで集まることだってできたし、そうすれば偉大な文明を今ごろは築いていたかもしれないのだが、われわれはそうはしなかった。


 いつだってわれわれは、こうした予言の筋道にそって、ひとつに繋がることができた。


 これからだって、まだできるはずだ。


 われわれが人種や宗教に基づく不協和音をしずめることができるのなら、われわれもこの第三回目の揺さぶりを体験しないでもすむかもしれない。


 エルダーたちは言っている。


 その可能性は、ほんの僅かなものであるだろうと。


 この私の目から見ても、可能性は限りなく小さい。


 だが、もはや成す術がないかというと、そうではない。


 エルダーたちに言わせれば、われわれにできることは、その衝撃を和らげることであり、そうすれば被害はそれほどには酷いものにならないだろうという。


 ではそのために、われわれになにができるのか。

 それが、我々をもう一度ひとつにつなぐための教えを分けあうことなのである。

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