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各神話の出来ごと

《1》 兄弟・姉弟の儀式。



 1 カインとアベル達による、どちらが花婿に相応しいか、儀式で神に対する供物を捧げる。

   

 2 動物と暮らす人々・農耕に励む人々。

  

 3 スサノオ・アマテラスの誓約うけひの儀式。


 4 ポセイドン・アテナによる、都市アテナイに対する地名の名付け対決。


 5 イシュタルは、エレシュキガルから冥界の女王と言う地位を奪おうとします。



 【解説】


 カインとアベル達は、父アダムに神様にどちらが、アワン(ルルワ)、に相応しいか聞いて貰います。


 ホピ族の心優しき人々も、神様に対して儀式を行い、祈り続けます。


 同じく、スサノオ・アマテラスも誓約うけひを行い子を成します。


 ポセイドン・アテナの対決ですが、これも儀式による物です。


 イシュタルとエレシュキガルの対立も、人々が豊穣を祈願しての儀式とも考えられています。



《2》 遊牧&狩猟の民族~~農耕民族の対立。



 1 カインとアベルは、族長であり司祭である。


 2 動物と近しい人々・農耕で富める人々。


 3 田んぼを破壊する、スサノオ・高天ヶ原を汚される、アマテラス。


 4 アテナイで対決した、ポセイドン・アテナ。


 5 冥界に下る、イシュタル・対峙する、エレシュキガル。


 【解説】


 農耕民カイン・遊牧民アベル。

 富める人々・少数の人々。

 アマテラス・スサノオ。

 アテナ・ポセイドン。

 イシュタル・エレシュキガル。


 カインとアベルは、それぞれの民族の族長であり、ホピ族の富める人々と少数の人々も、農耕民・遊牧民の対立を象徴しています。


 アマテラスとスサノオも同じですが、遊牧民たるスサノオから手を出す部分だけ他の話と違います。


 ポセイドンは、スサノオと同一神らしく、元は海神ではなく、陸や火山の神だったと。

 また、彼もアテナとアテナイの地名を巡って対立します。


 聖書では、遊牧民族であるユダヤ人が書いたので、男性が女性を選ぶ話と成っています。


 また、wikiでは遊牧神ドゥムジと農耕神エンキドゥのどちらかを女神イナンナ(イシュタル)、が選ぶかと言う話が類話に上げられますが。


 ウガリットや中東だと、イシュタルとエレシュキガルと言う、兄弟ではなく姉妹の対立が類話だと私には思えます。



《3》 殺人や暴虐を働く人々。



 1 カインの殺人。


 2 戦争する人々。


 3 高天ヶ原でのスサノオによる暴虐。


 4 乱暴なポセイドンの暴虐と罰。


 5 バアルによる、ロタン(リヴァイアサン)、の退治と、他の神々との対立。



 【解説】


 カインの殺人は、農耕民族の族長・司祭が行う生け贄の儀式であり、ユダヤ遊牧民族にとっては禁忌の行為でした。


 遊牧民は、男女・同性が性的に乱れるのを嫌いますが。

 それは性的に乱れたら、子供が増えてしまうからです。


 子供が増え過ぎると、遊牧民は食料に困ります。


 故に、一夫一妻制なのです。


 また、セックスし過ぎると、不衛生と言った考えもあったのでしょう。


 それに対し、農耕民は祭りとして、乱交を行うので人口が多く、余った子供を儀式で生け贄に捧げるのは常でした。


 それ故に、ユダヤ遊牧民族は、子供を生け贄に・乱交に乱れる人々~~を嫌ったのです。


 カインによる、アベル殺害。

 富める人々の戦争。

 スサノオによる、高天ヶ原での暴虐。

 ポセイドンによる、都市への攻撃と罰。

 バアルによる、他の神々との対立。


 これ等は、古代にて行われた、農耕民と遊牧民の戦争を意味します。



《4》 被害に合う、二人の女性。



 1 カインに拐われた、アワン(ルルワ)。

   息子アベルを殺され、娘を拐われた、イブ。


 2 ホピ族を含む攻撃を受けた、女性達。

   驚いて、ソツクナングの所に知らせにきた、蜘蛛女コクヤングティ。


 3 ウケモチを刀で殺害する、ツクヨミ&スサノオ。

 スサノオの馬投げで驚き、陰部を機織棒で貫き自害する女を悲しむ、アマテラス。


 4 ハデスが、四頭馬車クアドリガで、コレーを連れ去る。

   馬に変身した、ポセイドンから暴行される、デメテル。


 5 イシュタルは、エレシュキガルから死の視線を向けられるか・鉤爪へ吊るされるかで、死んでしまいます。

   また、エレシュキガルも理由は不明ですが、病に伏せてしまいます。


 【解説】


 カインによる、アワン(ルルワ)、誘拐。


 他の話と違いますが、ソツクナングの所に逃げてきた、蜘蛛女コクヤングティ。

 彼女は、戦争を起こした人々に襲われそうになっていたのかも知れません。


 屋根の上から皮を剥いだ馬を投げる、スサノオですが。

 それに驚いた、機織女は自ら自害します。


 この四者の女性ですが、相手にアッと言う間に、拉致・強姦・襲撃ーーされてしまいます。



 《5》 隙を突いて、敵を攻撃・女性を襲撃する。



 1 カインは、アベルを殺された、アダム・イブが悲しむ隙を突いて。


 2 村同士の戦争で、ホピ族は直ぐに戦火に巻き込まれる事に成りました。


 3 スサノオは、屋根に隠れて皮を剥いだ馬を投げます。


 4 ポセイドンの馬に変身してのデメテルに対する、乱暴狼藉。


 5 エレシュキガルから一瞬の隙を突かれた、イシュタルは殺害されます。


 【解説】


 カイン・スサノオ・ホピ族の神話・ポセイドン・エレシュキガル~~これ等の話では、人々は戦争しながら強姦をしたでしょう

 

 また、機織女の機織棒は男性器を意味しているでしょう。



《6》 悪神を倒して、女神を救う冥界神。



 1 カインの悪行から、アダム・イブ夫妻を救う、神ヤハウェ&大天使ミカエル。


 2 戦争を始めた人々から逃げてきた、蜘蛛女コクヤングティを救う、ソツクナング。


 3 ウケモチを刀で斬り殺す暴虐を働き、アマテラスから嫌われてしまう、ツクヨミ。


 4 四頭馬車クアドリガに乗って、コレー(ペルセポネー)、救う、ハデス。


 5 ナムタルを倒して、エレシュキガルを妻にして冥界神となる、ネルガル。

   アナトの用意した罠である少女に近付いて、奇襲を受ける、モート。



 【解説】


 日本神話のウケモチを切り殺し、アマテラスから嫌われる、ツクヨミですが、それはスサノオが行ったとも。


 ギリシャ神話では、コレーを誘拐されたので、デメテルが怒り、ハデスが非難されます。


 ホピ族の神話・聖書~~等では、神は自分が直接救うか部下を使って、女性を救ったり連れて行ったりしますね。


 しかし、5のウガリットの神話では悪神を斬り殺してから冥界の女神を妻にしたり、また女神の策略で少女が使われたりした。


 これらの話が混ざり、ツクヨミによる、ウケモチの殺害。

 ハデスによる、コレーの誘拐に話が変化したと思われます。


 ツクヨミによる、ウケモチ殺害は少女を救う話が、悪神ナムタル殺害と混同されたのでしょう。


 宝物を身体から排出する少女が殺されてしまう、ハイヌウェレ型神話のウケモチ殺害神話ですが。

 同じような神話が、マリンド・アニム族のマヨ儀礼にあり、豊穣の儀式として少女が殺害されます。


 これが、上記下記のハデス・モート達による、生け贄にされた少女救出の元であると、私は思います。


 ハデスによる、コレーの誘拐された話・・・。


 これは、生け贄にされた少女を救うモートの話&エレシュキガルを妻に貰う話~~が混同された物かと。


 因みに、ハデスは、フィニキュアの冥界神ムト(モート)、と同一視されてました。


 ハデス・ポセイドン達は、どちらも馬を使い、コレー&デメテルを襲います。

 ハデス・スサノオ達も、アマテラス&機織り女を襲います。


 この二人は、同一人物ですが元々の話が似ていた為に、日本では混同されたと思います。



 また・・・コレー(ペルセポネー)、エウリデュケー、イザナギ達の名前を、エレシュキガルと比べますと。


 ペルセポネー。

 エウリデュケー。

 エレシュキガル。

 イザナギ。


 1 ぺ・エ・エ・イ。

 2 ル・ウリ・レ。

 3 セ・デュ・シュ・ザ。

 4 ネー・ケー・キガル・ギ。


 それぞれの名前に、共通性が有りますね。


 2番のイザナギにだけ、ラ行が無い。


 4番は、語尾を棒線で伸ばす・ガルやギと濁点を付けるのに別れますが。


 何れにしても、両者の名前にある最後尾の文字は、カ行ですね。


 あと、エレシュキガルとイザナギは、地上に死者を送る・生きている人間を1000人殺す~~と、冥界神であり相手を脅す部分が似てますね。



 《7》 騙され、次いで殺される、人々



 1 カインの騙し討ちで殺される、アベル。


 2 戦争をして、殺し合う人々。


 3 スサノオの騙し討ちで殺される、馬&機織女。


 4 いきなり、ポセイドンに襲われた、デメテル。


 5 エレシュキガルに殺される、イシュタル。



 【解説】


 カインが、弟アベルを荒野に誘って殺した時、大地から真っ赤な血が溢れます。

 スサノオが、アマテラスを騙して、高天ヶ原に入り、後に馬の皮を剥いだ時、馬は真っ赤な姿でしょう。


 もしかしたら馬ではなく、スサノオは人を殺したか、皮を剥がれた馬は男性器を表しているかも。


 ホピ族の場合は、人々が互いに騙し合い、殺し合ったのでしょう。


 スサノオ&ポセイドンは、馬を使っての強姦をして、機織り女&デメテルを傷つけます。


 エレシュキガルによる、イシュタル殺害も視線で殺したとも、鉤針で殺したとも・・・これは遊牧民族の武器、短弓による射殺を表しているかもしれません。


 上記、これ等は馬に乗った遊牧民と農耕民の争いを表しています。



《8》 争いにより死人が出るのと、氷河期の到来を恐れる人々。



 1 カインがアベルを殺し、アベル(ルルワ)を連れさった事を嘆く、アダム・イブ夫妻。


 2 堕落した人々の戦い、海まで流れる氷の山、これ等を恐れる人々・蜘蛛女コクヤングティ。


 3 スサノオの暴虐で死んでしまった、機織女はたおりめを悲しむ、アマテラス。


 4 ハデスに娘を奪われ、更にポセイドンから暴行される、デメテル。


 5 イシュタルの死と、病に伏せるエレシュキガル。



 【解説】


 カインの殺人と娘を拐われた悲しみで、アダム・イブは嘆きます。

 戦い・流れる大洪水と氷山を恐れる、人々・蜘蛛女コクヤングティ。

 機織女の死から天岩戸に姿を隠す、アマテラス。

 殺されたイシュタルは冥界に、エレシュキガルは病に伏せる。


 これ等は、嘆き悲しんで隠れたり・恐れたりする部分が一致します。



《9》 神々が救った人類。



 1 神に祈りを捧げる、アダムとイブ達。


 2 ソツクナングに助けを求める、蜘蛛女コクヤングティ。


 3 ツクヨミによる、ウケモチの殺害。


 4 ハデスによる、コレー(ペルセポネー)、誘拐。


 5 エンキ(エア)、は病に伏した、エレシュキガルへと、二人の使者を送って救います。

   

 【解説】


 神様に助けを求めた、人々や神々ですが。


 どの神話でも、神様は傷ついた&悪人から攻撃された人々を助けます。


 また、悪人に対する懲罰も行ってます。



《10》 復活する人物。



 1 殺されたアベルは、セトとして復活し、神様はアダム・イブ夫妻を助ける。


 2 氷で押し流された後の世界に、ソツクナングと精霊たちに連れられ、人々は洞窟から出てくる。


 3 アマテラスは天岩戸に閉じ籠るが、アメノウズメと神々により誘き出させる。


 4 デメテルを探す神々と、彼女を笑わせた女神バウボ。


 5 イシュタルを救いに来る、アスシュナミル(二人の使者)。


 【解説】


 アベルの復活を意味するセトの誕生も、精霊カチーナ達に呼び出される人々も、神々に呼び出される、アマテラスも・・・。


 皆、どの話も復活と再生を意味します。


 殺された、アベルの代わりとして、神様はセトを、アダム・イブ達に授けます。


 これは、アベルが生き返ったのではなく、人類の再生を意味するのです。



《11》 冥界に下る、複数人の人物たち。



 1 セトが生まれる、アダム&イブ一家。


 2 蜘蛛女コクヤングティが潜む地下世界の蓋を開く、ソツクナング率いる、カチーナ達。


 3 アマテラスを引きずり出す神々と、裸で踊る女神アメノウズメ。


 4 デメテルを探す神々と、彼女を笑わせた女神バウボ。


 5 ネルガルの率いる、冥界の七つ門を制圧した鬼神たち。


 【解説】


 彼等は、複数人で冥界に下る部分が共通します。


 特に~~日本神話とギリシャ神話は、悲しみに暮れる女神の前で、裸の女神が踊ると言う部分が同じですね。

 

 更に、ユーラシア大陸やアメリカ大陸に伝わる神話は共通する部分が多いので、ローラシア型神話と呼ばれます。


 オーストリア等の神話は、ゴンドワナ神話と呼ばれます。


 このローラシア型神話ですが、これ等の神話には共通点が有ります。


 それは、七人の冥界下りです。


 複数人の人物達が冥界に下り、女神を救うと言う話です。


 この話には、日本神話やギリシャ神話が当てはまりますが。

 他にもマーシャル諸島の神話やチェロキー族の神話でも、七人の冥界下りの話が見られます。


 また、エレシュキガルを救うエンキの話だけ送られた使者は二人だけと、話に違いが有りますが。

 ネルガルが地下に赴いた際に付き添った鬼神達が破壊する7つの門と言う部分は、やはり共通しています。



 《12》 罰せられる人々。



 1 カインは神様から弟アベルを殺した事を咎められ、ノドに追放されますが、同時に身体へ印を付けられて保証を受けます。


 2 大洪水と氷河期が訪れましたが、ホピ族は助かります。

 しかし、彼等自身に罪はないですが、上記の自然現象は罰と捉えられるでしょう。


 3 スサノオは、高天ヶ原を追放されますが後に活躍します・アマテラスの不在で地上は凶作に。


 4 ポセイドン、ヘラクレス、ハデス達が暴れる・それに怒った、デメテルの不在で地上は凶作に。


 5 冥界で殺された、イシュタルの不在で地上は凶作に。


 【解説】


 神々や人類は、追放されます。

 そして、酷しい氷河期(寒冷期)、を生き抜かねば成らなくなりました。


 さて、カインですが。


 捧げ物を備えた時、神様に背き。

 アベルを殺して嘘を吐き。

 更に、神様に他の者から殺されぬよう救いを求め、保護されます。


 また、スサノオも嘘と暴虐を働いたのに、高天ヶ原を追放されるだけで済みます。


 デメテルは、ハデスやポセイドン達と和解します。


 エレシュキガル・イシュタルを含む神々や人間達も和解します。


 これは、ホピ族の戦争で殺し合った際、改心して再び儀式に戻った人間たちが居た事を示しているのではないでしょうか。



 【余談】


 因みに、カインの示す他の者とは、獣・後から生まれてくる人々。


 聖書の話を、そのまま信じるならば、このどちらかを示しているのらしいですが。

 前述の通り、カインを農耕民族の司祭と捉える成らば、普通に他の人間ですね。


 また、アダム・カイン・セトに関しては、バビロニアの王名リストから取られた名前だと言う説が有ります。

 

 アダム・セトの二つの家系図が。

 後に、アダムからカイン・セト達が生まれたと言う、一つの家系図へと組みあわせられたようです。


 因みに、カインの名前は、バビロニア王の名前だと、作る者を意味するクーンと言います。


 その後、カインは町を作り・子を作り、どちらにも、エノクと名付け。

 カインは町を作る事で、神の支配から逃れようとします。


 そして、子孫に、ヤバル・ユバル・トバルカインが生まれます。


 彼等は、人類の職人の祖となります。

 それから、バベルの塔(バビロンの聖塔)、へと続くのです。

 三人の子孫の名前は、塔の名前と成るのでした。


 今回は、これまで。


 次回は、水で滅ぶ世界を語ります。

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