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日本神話 スサノオの暴虐と天岩戸 ウケモチを斬り殺す、ツクヨミ


 《1》 スサノオの暴虐と天岩戸。


 《2》 ウケモチを斬り殺す、ツクヨミ。



 《1》 スサノオの暴虐と天岩戸。


 須佐之男命スサノオノミコトには夜の食国、または海原を治めるように言われたましたが。


 古事記によれば、スサノオはそれを断ります。

 そして、母神イザナミのいる根の国に行きたいと願い、イザナギの怒りを買って追放されてしまうのでした。


 そこで母の故地、出雲いずも伯耆ほうき堺近辺さかいきんぺんの根の国へ向う前に。

 姉の天照大御神アマテラスオオカミに別れの挨拶をしようと、高天原へ上りますが。


 スサノオ神が、天に昇ろうとする時、山川は轟き、大地は震えました。


 天照大御神は、弟が攻め入って来たのではと思い、武装して応対します。



 すぐに髪を、みずらに結い直し。

 左右のみずら、左右の手に、勾玉のついた長い玉飾りを巻き付けて。

 背中や胸にたくさん矢の入った筒を背負う。


 弓が鳴るように振り立てて、堅い地面を踏みならして、雄々しく叫んだ。


 荒々しく足を踏みならして、

 スサノオ神を待ち受けていた、アマテラス大神は。


 何のために高天原に上ってきたのだと聞くと。


 スサノオ神は。


 私にやましい心はありません。

母の国に、おいとますることになったので、昇ってきただけです。他心はありません。


 と申し上げました。


 アマテラス大神は。


 そうならば、おまえの心が清く明らかだと、

 どのようにして知ればよいだろう。


 と言いました。


 スサノオ神は。


 お互いに、警約うけひをして、子ども生みましょう。


 とら答えました。


 警約うけひとは言った言葉の可否で吉凶を占う、占いのことです。


 スサノオ・アマテラス達は、天の安の河を挟んで警約うけひ(うけい)、を行うこととしました。


 アマテラス大神は、スサノオ神の腰に下げている十拳剣を貰い受けると。

 三段に折って、天の真名井で振りすすぐと、噛みに噛んで、狭霧さぎりを吹き出し、神を生みました。


 その狭霧さぎりに誕生した神ですが。


 ダギリヒメ。

 イチキシマヒメ。

 タキツヒメ。


 と言った、三女神でした。


 今度は、スサノオ神が。


 アマテラス大神の左右のみづら・頭・両手首に巻いていた、玉飾りを貰い受けて、天の真名井で振りすすぎ。


 噛みに噛んで、狭霧さぎりを吹き出し、神を生みました。


 狭霧さぎりに誕生した神は。


 アメノオシホミミ。

 アメノホヒ。

 アマツヒコネ。

 イクツヒコネ。

 クマノクスビ。


 と言った、五男神です。


 そこで、アマテラス大神は、スサノオ神に。


 この後から生まれた五柱の男子は、

私の持ち物から生まれたので、我が子である。


 先に生まれた三柱の女子は、お前の持ち物から生まれたので、おまえの子である。


 と、言いました。



 スサノオ神は、アマテラス大神に対して。


 私の心が清く明らかだから、私の生んだ子はたおやかな女神でした。


 この結果から申し上げて、私の勝ちです。


 と言って、勝ちに乗じて、アマテラスが営む田のあぜを壊して、その溝を埋める。


 大嘗おおにえのお供え物を供える御殿ににょうをまきちらしました。


 それにも関わらず、アマテラス大神は、スサノオ神を咎めず。



 屎のようなものは、わたしの弟が酔って吐き散らしたものでしょう。


 また、畔を壊し、溝を埋めたのは、

土地がもったいないと思って、私の弟がしたことでしょう。


 と、スサノオの行いを庇い続けましたが。

 やはり、スサノオの行いは、止まないどころか。


 ますます、悪くなるばかりでした。


 ある日のこと。


 アマテラス大神が慎み清めた服殿いみはたやで、天の服織女はとりめに、神御衣かむみそを織らせていた時です。


 その服殿いみはたやの天井に穴を開け。

 高天原のふち入りの馬を逆剥ぎに剥いで、その穴から落とし入れた時に。

 服織女はとりめが、それを見て驚き、横糸を巻いていた機織りの道具で身体を突いて、死んでしまいました。


 それを怖ろしく、また機織女はとりめが死んで悲しいと思った、アマテラス大神は、天の石屋の戸を開いて、その中に隠れてしまいました。


 すると、高天原はすっかり暗くなり、

葦原中国も真っ暗になってしまいました。


 そこで、大勢の神々のざわめく声が満ち、あらゆる災いが起るようになりました。


 このため八百万の神々が、天の安の河原に集まり相談しました。


 その集まりで、タカミムスヒ神の子のオモヒカネ神に、アマテラス大神を天の石屋から出すには、どうしたらいいか考えさせました。


 オモヒカネ神は、まず常世の国に住む長鳴鳥を集めて鳴かせました。

 それから、天の安の河の上流にある堅い石を取り、天の金山の鉄を取って、鏡を作らせました。


 また、勾玉を数多く連ねた長い長い玉飾りを作らせました。


 また、天の香山かぐやまの雄鹿の肩をそっくり抜き取って。

 天の香山のニカワ桜を取ってきて。

 

 そのニカワ桜の木の枝に火を着けて、雄鹿の骨を焼いて占いをさせました。


 天の香山の生い茂った榊を根こそぎ掘り出してきて。

 その榊の上の枝には勾玉を数多く連ねた長い長い玉飾りをかけさせ。


 中の枝には、大きな鏡を取りかけてさせ、下の枝には白い布と青い布をかけさせて。

 石戸の前で、お祝いの言葉を申し上げさせ、アメノタジカラオ神を戸の脇に隠れて立たせました。


 アメノウズメ神は天の香山の天の日陰蔓をたすきにして、蔓草を頭の飾りにして、笹を手に持って伏せた桶の上に立つと、桶を踏みならして、

音楽に合わせて踊りました。


 神懸かりしたアメノウズメ神は、我を忘れ、胸を露出させ、裳の緒がをホトまでおし垂らして

懸命におどりました。


 そして、八百万の神々は、高天原が鳴り響くほど、いっせいに笑いました。


 それを聞いたアマテラス大神は不思議に思って、天の石屋の戸を細く開け、石屋の内側からたずねました。


 私がこもっているので、天は自ずと暗く、葦原中国も全て暗いだろう。

 どういう理由で、アメノウズメは舞い歌い、八百万やおよろずの神たちは笑っているのか。


 アメノウズメ神は答えて言いました。


 あなた様よりも高貴な神がおいでになるので、

喜び笑って舞い歌っているのです。


 そういう間に差し出された鏡を見た、アマテラス大神は、ますます不思議なことだと思って、鏡をのぞき込もうとして、戸から少し出ると。


 アメノタジカラオ神が、アマテラス大神の手をとって天の石屋から引き出しました。


 こうして、高天原と葦原中国あしわらのなかつくには、再び照り明るくなったのでした。



《2》 ウケモチを斬り殺す、ツクヨミ。



 書紀・第五段第十一の一書では、天照大神から保食神ウケモチと対面するよう命令を受けた月夜見尊ツクヨミが降って赴く。


 そこで、ウケモチは饗応として口から飯を出したので、月夜見尊は穢らわしいと怒り、彼女を剣で刺し殺してしまう。


 保食神の死体からは牛馬や蚕、稲などが生れ、これが穀物の起源となった。


 アマテラスは、ツクヨミの凶行を知って、汝悪しき神なりと怒り、それ以来、日と月とは一日一夜隔て離れて住むようになったという。


 これは、日月分離の神話、ひいては昼と夜の起源である。


 一方、古事記では同じ展開で食物の神。

 大気都比売神オオゲツヒメが刺されるが、それをやるのは須佐之男命である。


 この相違は、元々いずれかの神の神話として語られたものが、もう一方の神のエピソードとして引かれたという説がある。

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