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十二 対峙

 山のような所の上の部分は、横幅が、チュチュオネイ達の乗っている、猫ちゃんを縦に三匹くらい並べた大きさがあり、平らになっているので、その場所で、チュチュオネイ達と軍服の人物、ンテルとが対峙する。


「また、猫を渡せと、言いに来たのかめ?」


「そうだす。今度こそもらっていくす」


 シズクは、猫? 今、猫って言った? と思うと、キッテの顔を見る。


「あいつらの国には、猫がいないんだ。昔はいたらしいんだがな。今は、一匹もいない。それで、猫を欲しがっていてな」


「あげればいいじゃん」


「駄目む。猫達がかわいそうむ」


 チュチュが、山のような所に上がりながら言う。 


「チュチュ。そこで何をやっているの? あんたは早く体を洗って服を着なさいよ。いつまでその格好でいる気?」


「ぐむへへへへ。女王様ぁぁ〜。女王様はチュチュの体が気になるむぅ〜?」


「もういいからそういうの」


 シズクは、冷たく言い放つと、チュチュから視線を外し、チュチュオネイ達の方に目を向ける。


「おい。巨人。猫をあげてもいいと言うとは、お前は、実は、なかなかいい奴なのかす?」


 ンテルがシズクの視線に気付くと、そう言った。


「あんたのそういうとこが駄目なんじゃないの? 初対面の相手に向かってさ。巨人とか、お前呼ばわりとかさ。印象悪いよ?」


「う、うるさいす。余は偉いからいいんだす。そんな事より、猫だす。猫をよこさないと、マシーネンゴットソルダットが暴れるぞす」


「やってみるめ。どう見ても、大きいだけで弱そうだめ。このチュチュオネイの剣の(さび)にしてくれるめ」


 チュチュオネイが、腰に()びていた、両刃の大振りな剣を、片手で抜く。


「わーっはっはっはっは。剣で戦う気なのかす? 相手は、巨大ロボットなのだぞす?」


「やってみなければ分からないめ。この剣は、チュチュ家に代々伝わる由緒正しい剣だめ。どんな物でも斬れると言われるほどの斬れ味を持っているめ」


 チュチュオネイが、剣の鋭い剣先をンテルに向ける。


「お前、ンテル様に剣を向けるとは無礼だぞさ。ンテル様。攻撃の許可をさ」


 ロボットに乗っているであろう人物の声が、スピーカーか何かのような物から、聞こえて来る。


「待てす。騎士よす。お前の名前は、チュチュオネイといったなす?」


「そうだめ。お前達を今日倒す者の名前になるめ。よく覚えておくがいいめ」


「騎士、チュチュオネイよす。お前が剣の腕に自信を持っているという事は、よく伝わって来たす。勝負をしようす。お前が、マシーネンゴットソルダットに勝ったら猫の事は諦めるす。だが、マシーネンゴットソルダットがお前に勝ったら、つがいの猫を、もらうす」


「確か、前に来た時もそんな事を、言ってたような気がするめ」


 ンテルが困ったような顔をする。


「前回は、前回す。今回は今回だす。それに、前回来たのは余ではないす」


「分かっため。しょうがないめ。さあ、早く勝負をしようめ」


 チュチュオネイが言い、今度は剣の剣先をマシーネンゴットソルダットの方に向けた。


「よく言ったす。騎士チュチュオネイよす。このマシーネンゴットソルダットは、鳥や虫の攻撃も、効かないぐらい強いぞす。ここに来る途中、余達に近付いて来た烏を、一羽ぶん殴って来たのだからなす。その強さを、とくと味わうがいいす」


 シズクは、二人のやり取りの様子を見つめつつ、キッテに、ねえ、キッテ。これどうするの? と聞いた。


「あ〜! そうか。だからあの烏はあいつを狙ったのか」  


 キッテが大きな声を上げた。

 

「キッテ。急にどうしたの?」


「さっきの烏だ。あいつをさらっていった奴。あのロボットにやられたから仕返しに来たんだ」


 シズクは、顔を上げると、周囲の空を見る。


「どっかに行っちゃったみたい。でも、また戻って来たら嫌だな。チュチュ達に何かされたら困る」


「大丈夫だ。シズク。心配するな。また来たら、今度は、ちょっと、驚かしてやろう。そうすれば、もう二度と来ないはずだ」


「うん。キッテ。お願いね」


 シズクは言ってから、チュチュオネイ達の方に顔を向けた。


「皆は手を出すなめ。いざめ」


 チュチュオネイが吠え、猫を走らせると、マシーネンゴットソルダットに近付いて行く。


「ンテル様。ンテル様。大変ですさ。マシーネ、あ、ああ、あの、こ、このロボット、この山に登れないですさ」


「な、なにゅ~す~」


 マシーネンゴットソルダットに、乗っているであろう人物の言葉を聞いた、ンテルが絶叫した。

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