なんだこれという夫婦の話 エア浮気を計画しただけ
この連載にいれていいか迷いましたが番外編みたいなものです。
やきもち焼きの奥さんに、常に浮気を疑われている男がエア浮気を計画しただけの話。おふざけ系です。
1600文字くらい。
※誤字を修正しました。
夫が帰宅
スーツの上着を脱がせながら匂いのチェック。問題なし
スーツのポケットをチェック。コンビニのレシートだけ入っていた。問題なし
夫は帰ったらすぐに入浴をする。私はその日にあった出来事を話しつつ脱衣所までついていき、夫の裸体をチラ見。問題なし
夫が入浴のあいだに、夫の携帯をチェック。問題なし
財布もチェック。問題なし
今日も問題なし。
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今日も妻のチェックを通過できたようだ。
気づかれていないと思っているのだろうか。
あえて、なのだろうか。
確かに息苦しい時もあるし、イライラする時もある。けれど俺を想うゆえと考えると許してしまう。
なんだかんだ俺も妻にベタ惚れなんだろうな。
『よし!妻と勝負をしよう』
結婚した日から、毎日毎日毎日毎日浮気を疑われ続けている俺は、魔がさしたとしか言いようがないが、エア浮気をしようと思い立った。それが今朝だ。
本当の浮気なんて絶対にしない。まだ死にたくないからな。
妻の嫉妬深さは異常だ。盗聴器やボイスレコーダーを仕込まれていないことが不思議なくらいだ。
まぁ、社内の女性は会長夫人だけだし、夫人も今年は喜寿だというから、さすがに妻も疑わないのだろう。
エア浮気の内容は、ネットカフェで2時間過ごし、シャワーを浴びて帰るというものだ。
妻に勘づかれたら負けという勝負。
武者震いなのか、一瞬ブルリと体が震える。
まずは疑われずに朝を過ごすところから始めよう。
俺はぎこちない動きを自覚しつつ、食卓につく。
「今日は少し遅くなる……かも」
なにげなく言ったつもりだが、ちょっと疑われる要素がある気もする。どうだろうか……
「最近忙しそうだものね」
妻は俺の前にトーストとサラダを置く。疑っている気配はない。セーフのようだ。
「そ、そう。忙しいんだ。課長の奥さんがもうすぐ出産で、課長は定時に帰るからな。仕事が俺に回ってきて大変だよ。ハハハ」
ちょっと言葉が多かったか。やましい事があると言葉が増えるというのは本当だ……これはさすがに…
「課長の奥さん、もう臨月? 早いねぇ。性別はもうわかっているの?」
セーフ……なのか? 自分でも明らかに怪しいはずだが、思ったより演技がうまいのか、俺は。
「最近会社に顔をだした時に、女の子とか言ってたかなぁ」
俺はフォークでトマトを刺し口にいれた。妻からの返答がないので顔を上げると、妻はジッと俺の顔を見ていた。
――やっぱり怪しかったか?
ドギマギしながら「志穂?」と妻の名を呼ぶ。
「課長の奥さんが来たの?」
少し低い声。なんだ、どうした。
「あ、ああ。妊婦健診の帰りに寄ったと言っていた」
「話したの?」
――これは……奥さんが来たから疑っているのか?
「いや、話したのは鈴木だ。俺は仕事しながら聞いていただけで」
これは本当だ。
「……ふぅん、お腹は見た?」
妻は、俺が妻以外を見ることも極端に嫌がる。
けれど大きくなったお腹をさすりながら、「女の子なんです、今も蹴ってます」と言われたら見るだろ。
だが、見ていないと言っておくかと妻を見ると、俺を見返してくる。
――だっ…だめだ!これは何もかも見透かす目だ!
「……ちょっとだけ見た」
「触った?」
「まさか!!」
妻以外の女性を触るとか、自殺行為だ。
「そう……」
「もう時間がないからご馳走様!」
やめよう。
俺は心に決めた。エア浮気なんてやめよう。
冬山に半袖短パンでいくようなものだ。
その先には死しかない。
「志穂、いつもありがとう。愛しているよ」
「急にどうしたの、でも嬉しい。わたしも愛しているわ」
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夫起床
何かを決めた表情。わからないから保留
洗顔後、思い詰めた表情。リストラ…とか?保留
遅くなるという言葉。判断が難しい。保留
怪しい言動……何かを隠している。疑惑1
課長の奥さん……夫のタイプではないから浮気の心配はない。夫の様子からしても疑惑解除
夫の愛の言葉。ちょっとやましい夢でも見たのかしら。可愛い人。
今日も1日がんばってね♡
ハートマークがついたから恋愛扱いでいいですよね……
次は1週間後くらいに投稿します。




