表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

やっぱり人生ぬるま湯は無理かしら? (離婚の危機!?)

結婚してぬるま湯生活を送っていたら

夫から離婚を言い渡された。

このまま離婚するのか、どうなるのかというお話

2000字弱です。


※不揃いの部分を揃えたり、足りない言葉をつけたしました。内容は変えていません。


学生の頃、ぬるま湯に肩まで浸かっていた時に、心地良くてずっとこのままでいたいと思った。


人生もぬるま湯がいいな〜と考えて私は頑張ることにした。人生楽するために、経済力がある人に見初められるように努力した。




「離婚してくれないか」



 結果、こうなりました。


「俺はひたむきに努力するチカを好きになったのに、結婚してからは何もしない。もう無理なんだ」

「……急に言われても何も考えられない。少し落ち着いて考えたいからしばらく実家に帰るわ」

「もう修復は無理だからな」




 ***


「やっぱりぬるま湯の人生は理解されないのかなぁ」

「まさに釣った魚に餌をやらないってやつね」


 最後のポテトを口に放りこみながら、親友の愛が呆れたように言う。

 今は仕事終わりの彼女にファーストフード店で相談中。



「家事はさぼってないよ。私の役目だし。でも毎日身なりを綺麗に整えるとか、常に何かに挑戦するとか、ぬるま湯人生を目標とする私にはムリよね」


「始めから旦那にそれを説明しなかったあんたが悪い」

「説明したら、結婚してくれないでしょ」

「馬鹿かと思ったら結構ドス黒かったんだ……思ったより本気の計画だったのは分かった」

 愛は完全に引いた表情をしている。



「貴志だって、もっと家で気を抜けばいいのに。トランクス1枚で歩き回ったりさ」

「あんたの気を抜くはそれなんだ」

「私もさすがに下着では歩き回らないけど、ヨレヨレのスウェットはダメだったみたい」


「相手にだけ頑張らせて、私は頑張るのをやめましたは夫婦では通じないんじゃない?」

「!!」


 確かにそうだ。目から鱗が落ちるとはこのことだ。


「ぬるま湯は実家だけね」

「えっ!? 結論がそれ? 」




 ※※


「あれ、もう帰ったの? 夕方に出て行ったからあんたのご飯ないわよ」

「軽く食べてきたからいい。お母さん、明日家に帰るわ」

「明後日にすれば? 明日はお寿司屋さん予約してるのよ。みゆうちゃんの七五三だから」


 みゆうちゃんは兄の子だ。私より貴志に懐いている。今回も貴志がいないと聞いて残念がっていた。

 子供も頑張っている人が好きなのだろうか。スッピンでヨレヨレスウェットの私はおじさんみたいと言われてるし。


「オシャレな服持ってきてない」

「みすぼらしくなければいいから。お祝い事だし来なさいよ」

 母はいつのまにか切ったリンゴを私の前に置く。


 ――ほんと理想のぬるま湯だわ…


 私はリンゴを頬張りながらしみじみ思う。

 でも、と思い直す


 ぬるま湯はすぐに水になるから、水になる前にまた沸かし直す必要がある。

 ぬるま湯の人生も、頑張って楽して頑張って楽しての繰り返しにしないと駄目だったようだ。


 ――自業自得ね、今さら気がついたところで。

 ずっと楽をして生きようなんてふざけすぎとしか言いようがないもの



 私は今日もお風呂の順番は最後にしてもらい、ぬるま湯に浸かる。


 貴志の事はもちろん好きだ。

 動機は不純だけれど彼と結婚したいから努力した。

 だから離婚は辛い。



 ――修復が無理って、もう最終通告よね……



 私は天井の水滴をぼんやり眺めながら、ぬるま湯と称して何もしなかった自分を思い出して、大きくため息をついた。




 ****



「うちに帰ろう」


 翌日の日曜、起きてリビングに行くと貴志がいて、第一声がそれだった。


 母や兄は七五三の着付けやお参りに向かったらしく、既にいなかった。

 時計を見ると10時。貴志は9時に来たが、ちょうど家を出る母と会い、留守を任されたという



「俺が頑張ってるからチカも頑張れなんて勝手な言い分だと気がついた。ちゃんとやってくれていたのに」


 私は貴志のその言葉に罪悪感しかなく、ぬるま湯が目的だったと本音を伝える事にした。

 彼は黙って私の話を聞いていた。


 話が一区切りして、私は今さらお茶も出していない事に気づきキッチンに向かう。


 貴志が追いかけてきて、後ろから抱き込まれた。

 首筋に息がかかる。


「それでもいい。離婚なんて言ってごめん。ただ一緒にいられたらいい」



「私こそごめんね。自分のことだけしか考えてなかった。私も一緒にいたい」



 久しぶりの温もりは、ぬるま湯のようにとても心地良かった。






「チカ、1つだけお願いがあるんだ」


 落ち着いたところで彼が意を決したように私の手を握った。

「な、何?」

 離婚の危機は免れたようだが何を言われるか不安しかない。


「あのスウェットだけはやめてくれないか? 新しいのを買うから。あれを見ると色々と萎えるんだ……気に入っているみたいだから、なかなか言えなかった」


 「……早く言ってよーー!!」


 全然気に入ってもいない、ただの部屋着のせいで萎えられていたとか、離婚を考える要因になったのなら情けなさすぎる!



 それからの私は、新しい部屋着を買ってもらい、薄化粧をするようになった程度で特に何かを始めた訳ではないけれど、円満に過ごしている。


 ――今はちょうどいい湯加減てところかな。しばらくはこれをキープね。











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  小説の物語としての筋ができていると思います。諦めずに書くことを勧めます。 [気になる点] 文体が確立されていないので、好きな作家さん、気になる作家さん、有名な作家さんの作品を毎日一冊の…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ