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風の魔法陣  作者: 紅 樹
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酒場の魔術師4

 

 その頃、町に数人の旅人が足を踏み入れていた。

 そして、人が喉の渇きを癒す為に酒場に行くように、この旅人も酒場へと向かっていた。

 一人はいかにも戦士、といった感じのバスタードソードを背中にしょったいかつい男。

 淡い褐色の髪をした美しい吟遊詩人が一人。

 年若い、幅広の剣を腰に下げた戦士が一人。

 鎧に身を包んだ、美女が一人。

 彼らは、知り合いではない、だが、同時期に町に入ってきて、酒場で顔を合わせた。

 誰も何も言わず、ただ酒を飲んだり、食べたりしていたが、吟遊詩人が口を開いた。

「私は吟遊詩人、誰か何かリクエストはございませんか?

 何でも歌ってごらんにいれますが?」

 美しい声が酒場に響いた。

「俺がリクエストしてもいいかな?

 酒を一杯ご馳走するよ」

 酒場のマスターがにっこり笑って吟遊詩人に声をかけた。

「ええ、どうぞ、何なりとおっしゃって下さい」

「そうだな…、都で今流行っている曲を」

 マスターのリクエストで、吟遊詩人が歌い出す。

 銀の鈴を振るような、美しい声がリュートに乗って酒場に流れる。

 歌い終わるとカウンターに戻り、マスターからの振る舞い酒をもらう。

「ところでマスター。

 この辺りに都でも評判の高い魔術師が住んでいる、と聞いたのですが…」

「都でも評判の、ですか…それはすごいですね。

 こんなちっぽけな町に、そんな魔術師がいたとはね」

 そう言って、吟遊詩人の言葉にほほ笑む。

「ええ、何やらすごい美貌の魔術師だとか。

 美貌だけでなく、魔術師としてもかなりの腕という話です。

 ぜひ一度会って、その魔術師の歌を作ってみたいと思ってるんですよ」

「その噂の本人かどうか知らないけど、この町にも魔術師が一人いるよ」

 微笑みながらマスターが告げる。

 もちろん、マスターの言っているのはアルディスの事だ。

 彼はアルディスの事が都でも知られていると聞いて、自分の事のように喜んでいた。

「その魔術師は今、どこにいるんですか?」

「今日は仕事をしに帰ったから、明日くらいには来るんじゃないかな?

 彼は酒場の雰囲気が好きだと言って、よく来ているからね」




 

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