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風の魔法陣  作者: 紅 樹
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アルディスの計画3

アルディスの言葉を遮り、優し気な微笑みと共に護符に触れるデュークス。

「なんか…すげぇムカつく……。

 その護符をくれたっていう奴の事はすっかり忘れちまってるくせに…、嫌な奴」

「そんな事はない、俺はちゃんと覚えいる。

 これは俺の大切な人がくれたものだ」

 真顔でアルディスに言い返すデュークス。

「嘘つけよ…、忘れてるくせにさ……」

「何も知らない奴が…」

 アルディスの言葉に、睨みつけるデュークス。

 だが、素知らぬ振りをして、アルディスはデュークスを見ず、言葉を繋げていく。

「騎士なら何より大切な金貨を差し出したりするような奴だもんな、名誉とか約束とかもどーでもいいんだろうよっ」

 戦士の金貨、という言葉に表情を固くして、アルディスを見つめるデュークス。

「…お前…、俺の心を読んだのか…?」

 読唇の術を自分にかけて心を読んだのか、とアルディスを睨みつける。

「読んでねーよ。

 言ったろ、お前の事を知ってるって」

 デュークスに背中を向けたまま、答える。

「な…んで…、何で知ってるんだ、お前はっ。

 誰も知らないはずだ、俺があの金貨を手放そうとしたのはただの一度だけだ。

 …知っているはずがない!」

 ゆっくりと振り向き、口を開く。

「…会ってるんだよ、俺とお前」

 デュークスの胸の奥に大切に仕舞い込んだ面影の瞳と同じ色の青。

「…似ている…。

 だが、俺の知っているアルディスは…」少女のはずだ、と言葉を飲み込む。

「お前が大切にしてるその護符はなぁ、俺が作ったもんなんだよ。

 …まだ思い出さねぇ?

 ま、もーいいけどよ」

「そんな……嘘だ…。

 これは、この護符は…あの少女からもらったもので…」

「……少女ぉ?」

 アルディスの瞳が嫌そうに顰められる。

「…そーいうコトかよ……」

 脱力してカウンターに伏せるアルディス。

「どうした、アルディス?」

 サフィールが気遣って、アルディスの肩を抱く。

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