学校1
「み〜く〜、早く起きなさ〜い。遅刻するわよ〜」
頭の中に母の声が聞こえた。
みくはベッドから起き上がり返事をする。
寝ぼけながらベッドから降り、洗面台へ向かう。
「ねぇちゃんおはよう」
「おはよう、里緒菜」
もう制服に着替え終えて鞄も持ち、洗面台の前で身だしなみチェックを終えて登校準備バッチリの妹に対しみくの方はまだ寝巻きで顔も洗っておらず髪もボサボサだ。
とりあえず顔を洗って目を覚ます。
次に食卓に向かい朝ごはんを急いで食べる。
そして部屋に戻り制服に着替え鞄を持ち上げてふと気付く。
「あーーーーーーー!!!カバンの中昨日のまま!!!」
昨日はベッドの中で通知の事で頭がいっぱいでそのまま寝てしまったのだった。
急いで時間割を確認し中身を入れ替え学校に向かう。
校門を走り抜け下駄箱で靴を変えているとチャイムが鳴り出した。
みくは猛ダッシュで教室へ向かい、チャイムが鳴り終わる直前に教室の前のドアから滑り込む。
教壇には既に担任の神威先生が立っており、出席簿で頭を軽く小突かれた。
「チャイムが鳴り終わった時自分の席に着いてないやつは遅刻扱いだ、惜しかったな」
クラス中にクスクス笑われながらすごすごと自分の席に向かう。
神威は全く興味なさそうにしているが、久遠にはクスッと笑われた。
「今日のホームルームは自己紹介の時間とする。出席番号順でその場で立ってやるように」
担任の言葉に従い1番から出席番号順に名乗り、趣味や特技なんかを話していく。
「神威 昴だ。他に言うことは特にねぇ」
名乗っただなのにクラスの女子達がキャーッと黄色い声を上げると、神威 昴はクラス中を睨みつけて女子を黙らせ、ドカッと大きな音を立てながら席に座った。
「私は久遠 雅紀です。得意なことは歌とダンスですね。皆さんと仲良く1年間過ごしたいと思っておりますのでよろしくお願いします」
またもクラスの女子達がキャーッと黄色い声を上げる。久遠 雅紀はその声に笑顔を向けてから静かに着席した。
「香取 翔子でーす。みんな気軽に翔子って呼んでね〜♪アイドルが好きで、特にR I V E Rが大好きです!!よろしく〜♡♡♡」
久遠と神威の方を見ながら言う。
「真城 未来です。えっと、、、お菓子を作るのが好きで、、、運動も好きで、、、えっと、、、よろしくお願いします」
しどろもどろに自己紹介をしたみくに久遠はニコッと笑いながらヒラヒラと小さく手を振ってきた。
気づいたみくは顔を真っ赤にして慌てて席に着いた。
♢♦︎♢♦︎♢放課後♢♦︎♢♦︎♢
「お疲れ様でした」
背後から丁寧な言葉で久遠に話しかけられ驚くみく。
「あ、えっと、く、久遠君もお疲れ様、でしたっ、、、」
「昨日はうちの昴が失礼な態度で本当にすみませんでしたね。お怪我ありませんでしたか?」
「あ、えと、全然大丈夫です!」
「それはよかった。改めて、これからよろしくお願いしますね、みくさん。では私はこれで失礼します」
しどろもどろにしか受け答え出来ないみくに嫌な顔ひとつせず笑顔で接してくれる久遠。
いきなりの名前呼びに驚き声も出せず目をパチパチさせているみくに対し久遠は軽く会釈して教室から出ていった。