違和感(2)
それが半年前。今僕は君のためにいろんなことをしてあげようと思っている。まだあの頃と変わらず足以外は問題なく動いている。こんなに何も変わらないから僕は医者の言っていることを疑っている。本当は何ともなくて病院にいる必要はないのではないか。家に帰ってきて僕ができないことを手伝ってやればいいだけの話ではないのか。でもそれを決めるのは僕ではない。
僕は君をなるべく外へ連れ出していろんなところに行って、病院で暮らしている現実から遠ざけようとした。僕や母と同じ景色を見せてあげようと思った。いつもみんなで登っていた高い丘のある公園に来た時、夕陽に照らされて赤くなった顔で君は笑っていた。
どこまでも穏やかな平たい芝生の中に高く聳え立つ丘の上には、木製の古びた二人掛けベンチがある。あまり人の来ないベンチは僕の目には少し寂しげに移り、腰かけると上着と木のこすれる乾いた音がした。このベンチも随分な歳なのだろう。小さい頃来たときはまだ塗料が剥げていなくて、座ったりするとキャッキャと楽しそうに鳴いていたベンチだったのに。僕はまだ子供を持つような歳でもないのに昔からの時間の流れを感じさせるベンチにそんなことを思っていた。
「毎日ありがとう。お兄ちゃん。」
昔より少し落ち着きのある、でも昔から変わらない優しい声で君は笑って言った。。僕も笑った。君が笑うと僕も嬉しい。ありがとう。いつも心の中で君に言った。
この時間が永遠に続けばいいのに。そう思った。
せめてまた明日、君に会って一緒に夕陽を見に来られますように。
文字数気にしてないんですけどめちゃくちゃバランス悪いですね…。
まぁいっか。