旅立ちと冒険者
俺たちが目指していた街の門が目の前まで来ていた
門は開かれていて、門の両端にはそれぞれ兵隊が立っている
「ようこそはじまりの街カラテスへ、見た感じ君たちも冒険者になるためにやってきたみたいだね」
門に近づくと1人の門番に挨拶されてそう言われる
なんか気になるワードが聞こえてきたぞ
「冒険者?」
「あぁ全ての冒険者がこの街から始まるんだ。かの有名な王国騎士団長のゼスト様もこの門を通ったんだ」
「はぁ...」
誰よだ王国騎士のゼストって、かっこいいな
なんか勘違いされてるみたいだな
「冒険者ギルドを目指すなら、このままこの大通りをまっすぐいけばつくから」
「えっと...はい、ありがとうございます」
門番の人が「じゃあ頑張ってね」と言ってくれる
俺気づいてるからな、お前の目線がずっと俺じゃなくてグルエラたちに向いてたこと
まぁ少し面白そうな情報を教えてもらったから許してあげよう
そして俺たちは門をくぐり、ついに街の中へと足を踏み入れる
街並みは中世の西洋みたいな感じだな
木造やレンガ造りの建物が多い
街の人達の服装もそんな感じだな
たまに武装しているやつがいるけど、あいつらが多分冒険者だろう
そしてその冒険者のような身なりをしている奴らはほぼ全員スマホをいじっていた
............スマホ?
「キース様、見たことない魔道具を扱っているものが複数人見られますね」
「あ、あぁ...」
グルエラたちもどうやら興味を示したみたいだ
だけどどうしてこの世界にスマホなんてあるんだ?
なんであんなハイテク機器がこの世界に存在するんだよ
見た感じあのスマホらしき何かを扱っているのは冒険者っぽいやつらのみ
短絡的かもしれないけど冒険者ギルドに行けば、答えが見つかるのかもしれない
世界でみんなで旅をするって話だったけど、そのために冒険者になるっての悪くないかもしれないぞ
めちゃめちゃテンプレ展開かもしれないけど、むしろそれがいいとまで言える
俺はみんなに冒険者ギルドに行きたいことをみんなに伝えて了承を貰い冒険者ギルドを目指すことにする
場所は全くわかんなかったけど、さっきの門番の人が言っていた通り大通りをまっすぐ歩いたら冒険者ギルドの建物についた
「でかいな」
冒険者ギルドの建物はこの街では一際目立つサイズをしていた
そして入口からは様々な格好をした者達が出入りをしている
俺は「とりあえず入ってみるか」と言って冒険者ギルドの中に入ってみる
そして建物の中の雰囲気は俺が思っていたものとは違った
なんというか綺麗だな、もっと粗雑な感じだと思ってたけど
表現するなら市役所とかこんな感じかな
まぁ建物は綺麗と言ったが、中にいる人間がそうとは言ってないんだよね
「おいおい、これはどうなってんだぁ!?」
1人のガタイの男が似たようなヤツらを数人引き連れて俺たちに向かってそう言ってくる
まさか、もう起こっちゃう?いわゆる初めての冒険者ギルドでありがちなあのイベントが?
可能性はと思って、脳内シミュレーションしていたかいがあったな
そしてリーダーっぽい真ん中の男が近づいてきて───────
「おいおい、ここはデートスポットじゃねぇんだよ、ぼっちゃんよぉ!!」
「えっ?」「はい?」
なぜか俺にではなく、アッシュに向かって男はそういった
え、待って、普通はこの中で唯一男の俺に向かってくるもんじゃないの?
もしかしてとかじゃなくて明らかにこいつらアッシュを男だと思ってるぞ、まぁパッと見イケメンにも見えるから勘違いしてもおかしくないけどさ
多分イケメンに対する僻みとかも含まれてアッシュにヘイトが向かってるって感じか?
「ここはお前みたいな坊ちゃんがデートするような楽しい場所じゃ──」
「私に触るな!!」
男がアッシュの胸ぐらを掴もうと瞬間にアッシュが男を投げ飛ばす
投げ飛ばされた男は頭を強く打ったのか気絶している
「て、てめぇ...うっ...!」
「な、なんだ...」
投げ飛ばされたリーダー格の男の後ろのいた男達もバタバタと倒れていく
エルの左手をちらっと見ると針が握られている
あれ多分毒針だな、まぁ男達を見た感じ麻痺させるだけのやつっぽいし別にいいか
まぁなんか正直俺がまったく関係ない感じで初めての冒険者ギルドあるあるが終わってしまった
こんだけ騒ぎになったのにみんなちらっと見るだけである
みんなこういうことに慣れてる感じっぽいけど、こんなことが日常茶飯事ってのも大変だな
どっちかと言うとうちのメンツの見た目の方が注目を浴びている
「アッシュ大丈夫か?」
「はい、キース様以外の男にこの身体を触れられるのは少し嫌なもので...目立つようなことをして申し訳ございませんでした」
「あー...いや、思ったより注目されてないし別にいいよ」
なんかとてもすごいことを言われた気もするけどあえてスルー
「キース様、ここにいると面倒ごとになる可能性もありますので」
「あぁそうだな動くか、ありがとうグルエラ」
確かに今は騒ぎになってないがこんな倒れてる連中の前にずっといたら何か言われそうだな
しかしグルエラは思ったより冷静だな。まぁ元々クールで出来るやつだから、こういう時はいつも通りなのかもね
そして倒れてる男達から離れてしばらく
「ふぅ...あのままあそこにいたらあの男達を消し炭にしているとこでした」
「おぉう...」
冷静だと思ったら、そんなこと考えてたのね
いや、まぁ我慢してだけでもえらいよ
とりあえず「えらいな」と褒めておいたら満面の笑みを浮かべてくれたので大丈夫か
俺に抱きついてこようとしてきたが、それはさっきの騒ぎよりら目立ちそうなので断った
まぁ嫌でも気づくよね、俺たちに対する好奇の目が
基本的には4人が美しい、かわいい、イケメンなどと言われてる中ね
たまに聞こえてくる、俺に対する辛辣な言葉が不釣り合いだの、似合わないだの
まぁ聞こえてきて悲しいが、それ俺以外に聞かれたらかなりやばいから聞こえてないといいんだが...
「大丈夫ですよキース様、あんなこという奴らは私がおしおきしておきますから」
エルが耳打ちで俺にそう言ってくる
「あー、もしかして聞こえてた?」
「はい、すごいむかついたんで数時間後に効く遅効性の毒針をあてておきました」
ほわわんとした笑顔でなかなかのことおっしゃりますね...
「お姉ちゃんには周りの声が聞こえないように二人の相手をしてもらってます」
「アルが...悪いな気を使わせて」
「いえいえ、キース様のメイドですから!それにグルエラに聞こえちゃったら大変なことになりますから」
グルエラに聞こえたら本気で街1つぶち壊しそうだからな
俺はほんとに助かるとエルを褒める
あとでアルにもお礼言っとかないとな
まぁそんなこんなでアルとエルのフォローのおかげで無事に受付までたどりつく
基本的には4人への賛辞とか嫉妬の言葉だけだ、まぁたぶん俺は四人といると目立たないんだろう
てか、入口入って五分かかるって
人がごった返してるのも理由の一つだが、この建物かなり広いな
とりあえず受付で色々聞いてみるか
「すいません、冒険者の方々がもってるあの魔道具って冒険者になったら手に入るんですか?」
「タブレットのことですか?えぇそうですよ」
タブレットって言うのか、いやもうまんまだな
逆にそのまんまだから馴染み深くて助かるんだが
「もしかして冒険者ギルドに入ることを希望されている方々ですか?」
「はい、実は5人で村からやってきたのですが、詳しい話をあまり知らなくて」
「大丈夫ですよ、そのための受付ですから。それにしても後ろの方々はとてもお綺麗ですね、それにすっごいイケメンも...」
受付のお姉さん、最後の一言も聞こえてるよ
あと今話してるの俺だからね、とりあえずアッシュじゃなくて俺の方見てくれないかお姉さん
まぁとりあえず概要を聞こうじゃないか
「まず最初に言わせてもらいますと冒険者は誰しもがなれるものではありません。きちんとした適正なテストを元に受けてもらいます。それぞれ職業ごとに職業ごとの適正テストがあるので自らが志望する職業のテストを受けてください」
そういって俺たちは人数分の職業一覧表をもらう
そこにはかつてゲームに存在した人間達の下位職業一覧表が書かれていた
あんまゲームでは注目してなかったが下位職業も割とあるんだな
「テストは月に一度行われます。ちなみに次回のテストはちょうど一週間後でございます」
「なるほど、試験内容とかは教えてもらえるんですか?」
「いえ、それは残念ながらお教えできません」
「なるほど、わかりました。試験の参加はここで申し込めばいいんですか?」
「はい、試験前日まで受け付けておりますのであまり焦らなくても大丈夫ですよ」
俺は「ありがとうございます」と答えて、みんなを連れてその場をあとにしギルドを出る