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World is Mine  作者: 林桃華
4/7

これからのこと



「これはすごいな...」



目の前に並ぶ豪勢な料理たちを見て俺は声をもらす


「二人とも魔王様が目覚めたことを祝すためにはりきっているのでしょう」


俺が席に座った後にアッシュがそう言いながら席に座る


グルエラは二人の手伝いに行っている

たぶんこの料理を次々に運んでくるゴーレムを生み出したりしてるのはグルエラだろう



そして最後の料理なのかグルエラ、アル、エルが料理を運びグルエラは席についてアルとエルは俺の後ろに並んで立つ



「どうした?二人も座ってくれ」

「私たちはメイドだから」

「はい、お姉ちゃんの言う通りです」



なるほど、そういうことか

確かに王様とメイドが同じく食卓を囲むことはないのか


「んー...難しいことはいいから一緒に食べないか?」

「だけどキース様の世話は誰がやるの?」

「今城内に残るメイドは私たち姉妹だけですから」

「いや、飯時の世話は別に自分で出来るし...それに大事があるから二人も座ってほしい......というか座ってくれ」



俺が少し命令口調になると、二人は何も言わずに座る


俺の右手にグルエラ左手にアッシュ

そしてそれぞれの隣にアルとエルが座る


多分だけどこの座り順は四天王の上下関係を表してんだろうな

たぶん実力が順位に直結するんだろうな



「まぁとりあえずいただきます......お前らも俺の遠慮しないで食べくれよ?そうしないと俺が美味しく食べれないから」



とりあえず俺に遠慮しないように布石を打つ



アルとエルが作ってくれた料理はものすごく美味しい

最初はこんな量食べきれるか?と思ったがこの量なら全然いける気がしてくる


アルとエルを褒めてから俺はみんなにこの食事の時に話そうと思っていたことを話題に出す



「これはのことを考えたんだけど、それをみんなに聞いてもらいたい」



ついでにアドバイスとかもほしい


俺がそう告げるとみんな少し真剣な表情になる



「まぶアルとエルにも伝えなきゃいけないことだし、これからのことにも充分かかわってくることだ」



俺はそう言って自分が魔王の紋章を失い、魔王としての力を失ったことを伝える


アルとエルは驚いた顔をし、アッシュとグルエラもさっきよりもマシになったが厳しい顔をする


「まぁ...その、なんだろう...俺はたぶんみんなが思ってるような魔王じゃないと思うんだ...だから」


俺が少し言いにくそうにとぎれとぎれに言っていると


グルエラが「キース様、それ以上は言わないでください」と言う



「キース様、私たちの主は貴方様だけなのです。貴方様がどうかわってしまってもとも私たちはあなたのそばに永遠おります。私たちが貴方様から離れる時は貴方様がは私たちを必要ないとおっしゃったときのみです」


グルエラの言葉にみんなは賛同する


そして俺に「私たちは必要ありませんか?」とも聞いてるのだろう


この聞き方はある意味ずるいと思う

でも、俺は4人を必要ないなんて言うことなど一生ないと言いきれる


だからここははっきり言わないといけない



「すまない...俺にはみんなが必要だ。だから...まぁ...これからもよろしく...」



言わないといけない、とはいったけどこれは流石に恥ずかしい


やめて、俺のことをそんな目で見ないでよ!!



俺は1つ咳払いして話を本題に戻す



「俺が魔王の紋章を失ったわけを見つけるためでもあるんだけど、俺たち5人で外の世界を旅してみないか?」

「旅ですか...?もしや、一つ一つの街を訪れては破壊の限りをつくしまた新たなキース様の国をお造りに...!!」




いやいや違うから、なにその魔王的発想

確かに元魔王とその配下だけど、そんなことしたくないから


ほかの3人も流石魔王様、みたいな感じになってるけど違うからね?


俺はそれは違うとしっかり否定して詳しく説明する



「普通に旅をするんだよ。色々なとこを訪れてこの世界でどんなものかを知ろう」



つまり俺は冒険に出たいわけですよ

だって魔法とかスキルが使えるゲームのようなファンタジー世界だよ?そんな世界があると知って冒険しないなんてわけにはいかない


「アッシュ、連絡は取れないが各支部の砦やダンジョンはまだ残ってるんだろ?」

「はい、しっかりこの目では確認しておりませんが各拠点の所在地はこの城から確認できますから」

「ならちょうどいい、1つずつ拠点を回っていくのはどうだ?他の配下を見つけることが出来るかもしれない。それに...」



俺が次の言葉をだそうとするが、それはグルエラにとられることになる



「それに仮に私たち以外の配下の誰かが紋章を奪っていた場合、その不届き者を見つけることができますね...」

「配下以外の者が奪っていた場合でもあの紋章を所有していている以上あの強大な力を隠しきることは不可能です、外の世界を探索すればいずれは見つけ出せると私も思います」


グルエラに続きアッシュもそう言う


「でもそれだったら私たち4人が単独行動して見つけた方がはやいんじゃない?」

「確かにキース様にわざわざお手を煩わせるようなことをしていただく必要はないと思います」


さっきまで俺らの会話を聞いていたアルとエルがそんなことを言ってくる


その発言にはグルエラとアッシュも一理あると反応している


まずい、まずい

これはよくない流れだぞ


多分俺が命令すれば俺の提案通りに動いてくれるだろうけど、そこはしっかりみんなを納得したい



「それはダメだ、みんなだけを危険な目にあわせるわけにはいかない。もちろん俺の配下の中で最強のお前達が危険な目に合う可能性は低いと思う。だけどそれでも心配だ」



俺の言葉はまだ終わらない

次が一番の本心だ




「俺は...俺はみんなと楽しく旅がしたいんだ」




何故かこのあとみんなすばらしい笑顔で旅に出ることに賛成してくれた






夕食が終わった後グルエラとアッシュが二人で話している



「まさかキース様があんなことを提案なされるとはな」

「少し驚いたわ、かつてキース様が自ら城の外に赴くことなどなかったから」



アッシュの言葉にグルエラは賛同する


約3000年前キースがプレイしていた魔王は二人が言う通りひたすら城を守り続けていた



「だけど、ふふふ...思い出しただけでも嬉しくなるわ、キース様があんなことをおっしゃってくださるなんて」

「あぁ配下としてあんなことを言われるなんて本当に幸せだ」



二人が言っているのはキースの「みんなと楽しく旅をしたい」という発言だ



「本当に大切にされていると感じているよ」

「そうね、でも私はもっと...もっと大切に...いえ、愛してほしいわ」


グルエラは指で唇をなぞりながら物足りない表情を少し浮かべる


だがその表情が一瞬にして冷たい表情に変わる



「だけど、その前にキース様から紋章を奪った不届き者を殺さないと」

「あぁその通りだ。私たちはその者を許すことは出来ない、死すらも生ぬるく感じる地獄を味あわせないとならない」

「あの時は頭に血が上ってしまったけど、冷静に考えてみれば既に怪しい者は何名かいるわね」

「あぁキース様がお眠りになられた原因もその者は仕業...あのキース様が知らない500年のうちに何かされていたとしか考えられない」



二人は既に紋章を奪った疑いのある人間を何人か候補にあげていた

そして二人とも紋章を奪ったのは配下のものであると考えていた



「ふぅ〜、仕事終わり〜。あれ?二人ともなにやってるの?」

「グルエラさん、アッシュさんも自室に戻られてなかったのですか?」


グルエラとアッシュのところにアルとエルがやってくる



「あら二人とも、キース様はもうお休みに?」

「確認したけど、もうぐっすりだったよ」

「キース様の寝顔をまた見ることになったけど、なんかとてもホッとしました」


エルの言葉にアルも同意する


今まではずっと目覚めぬ主の寝顔を見続けていたからこその言葉である



「さっきエルとも話したんだけど、キース様って昔と雰囲気変わったって感じない?」

「それは私も同意だな」

「えぇ以前よりも一層魅力的になられたと思うわ」

「なんというか柔らかくなったっていうか?」

「そうね、私から言わせれば幼さが増したという感じね」



グルエラはその後小声で「あぁまたさらに愛しくなられたわ」と言う




「だがグルエラが暴走した時のキース様は以前と変わらぬ魔王の風格を持っていらっしゃったな」

「えぇ、この悠久を生きる悪魔の私でさえ恐怖するあの威圧は昔と変わらずでいらっしゃったわね」



アッシュとグルエラの話を聞いてアルとエルが私達も見たかったと羨ましがる


「本当に目覚められてよかった」


グルエラのその言葉に3人とも頷く

魔王が目覚めたことは4人にとってこの上ない喜びであったのだ



本来なら自室に戻るはずだった4人だが敬愛する魔王が再び目覚めた喜びと明日から迎える魔王との旅に期待を膨らませるため4人の談笑はしばらく終わることはなかった





そして元魔王とその配下4人の旅がはじまる

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