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World is Mine  作者: 林桃華
2/7

いい夢

たまに俺はいい夢を見る


その内容は「World is Mine」に出てくる

四天王のグルエラ、アッシュ、アル、エルだ


4人とも美女、美少女で俺のことを「魔王様、魔王様」と慕ってくれる


非常に素晴らしい夢だ


なんか知らないけど俺は転生するらしい


転生後の生の責任の有無は問えないみたいだから、せめて転生後にこの夢を見れるだけの特典として残してほしい



「.....ま......様!!......王様!!」



まださっきのグルエラの声が聞こえてくる


いや、求めてるのは別に今じゃないんですけど......




「魔王様、しっかりしてください!!」

「ごはっ──!!」



腹に強烈な痛みが走り、俺は飛び上がるように起き上がった



「ゲホッ─ゲホッ─!!い、一体なんだ...!?」



俺は咳き込みながら腹をさする


ほんとに一体何が起こったんだよ


『魔王様!!』

「へっ?」


魔王様と呼ばれてつい顔をあげると、4人の姿が目に映る


「これは夢なのか...?」


全然状況がよくわからん

でもたぶんこれは俺がたまに見るいい夢とよく似ている



「...でも...かまいませ......」

「ん?」

「夢でもかまいませんわっ!!またこうして魔王様と会えたのですから!!」

「へっ?」


グルエラが目に涙を浮かべながら、嬉しさと悲しさが混ざった表情で俺にそう言ってくる


え、なにこのシチュエーション


なんか他の3人もちょっと泣きながら頷いちゃっているし

完全に俺だけおいてかれてるな、俺の夢なのに

しかも妙にリアルなのが困る


ここまで現実的に感じられる夢はこれまでで初めてだ


ん?現実的に感じられるのはもしかしこれは夢じゃなくて現実なんじゃないか......?



根本的に生まれ変わりって話がありえない話なんだ、だから俺がこの「World is Mine」の世界に転生したことだって有り得るはずだ


もしかしたら「World is Mine」の世界は元々存在する異世界であったのかもしれない




.........色々知りたいところだけど、

この俺の目の前で4人が泣いてる状況をなんとかしないと




「ま、まぁみんな落ち着いてくれ」


どんな感じに話しかければいいかわからないから、素のままで話そう


俺の言葉でみんな一歩下がってくれたし落ち着いて話を聞いてくれるんだろう


どうしてか、みんな跪いてるけど


「あー...えっと、アッシュ」

「は、はいっ...!!」



とりあえず右から順番に色々質問みるか


ちなみに並びは右からアッシュ、アル、エル、グルエラだ



「みんなさっきまで泣いていたけど......それはどうしてだ?」

「それはもちろん我らが魔王様が永き眠りからお目覚めになられたからでございます」

「なるほど...アルとエルも一緒か?」

「はい、魔王様が目覚められてすごい嬉しかったです」

「ほんとに...もう二度と目覚めないかと思ったし...」

「...ん?もう二度と?」



アルの言葉に俺は少しひっかかる

なんというかあまりいい感じのワードではない


たぶん、みんな同じ理由で涙を流していた感じか

なら気になる部分はグルエラに聞いてみるのが順当だ


俺はそういう気持ちをこめて、グルエラに目を向ける



「魔王様...貴方様は約3000年程の永き眠りについていたのです」

「3000年ね...」



なんというか長いけど、元がゲーム世界のファンタジーだと考えるとあんま驚きがないな


「魔王様が突如倒れたとき、私たち配下はあらゆる手を尽くし貴方様を目覚めさせようとしました。ですがその方法は見つからず、しまいには私達も数百年ほどで魔力を失い深き眠りについてしまいました」



俺を目覚めさせようと頑張ったが、結局グルエラたちも俺と同様に深い眠りに落ちてしまったというわけか


アルの二度と目覚めないかと思ったという言葉はそこから来たわけだ



そしてグルエラの話はまだ続きがあるみたいだ


「ですがつい2週間ほど前でしょうか、私たち4人はほぼ同時に目覚めたのです。その時に私はこの永久の時を刻む砂時計で魔王様が約3000年、私たちが約2500年ほど眠っていたことを知りました」


グルエラが懐から光る砂が無限に落ち続ける砂時計を取り出してそう説明する


あの砂時計って確かルームアイテムの一つだったな、アイテムの説明欄にそんなこと書いてあった気がしなくもない



「私たちが目覚めた理由はわかりません。ですが私たちが永き眠りから目覚めたのですから魔王様が目覚めることも可能であると考え、私たちはこの2週間再び方法を模索しました」

「俺が目覚めたということは、その方法を見つけたということか?」

「はい、そういうことでございます。500年も配下総勢で探しても見つからなかったものが、2週間でしかもたった4人で見つけられたのは奇跡にも等しいことです」



確かにそれは奇跡だな

まさしくファンタジー世界だから実現した内容だ



「あれ、でも4人ってことはまだお前らしか目覚めてないということか?」

「いえ...そういうわけではございません。それは外部の調査をしていたアッシュが説明します」



グルエラがそういい、次はアッシュが色々と話す番となる



「グルエラが言ったように私はこの魔王城のここ以外の階層、及び城周辺の外部世界の調査をしました。私たちが知っている世界から約2500年ほどたっていたわけですからしっかり調べる必要がありました」

「それで結果はどうだったんだ?」

「はい...残念ながらここ魔王城に残るまともな意思疎通を出来る配下は私たち四天王のみ、残るは意思疎通のとれない低級なモンスターだけでした。そして外部の周辺状況は私たちが眠る前より大きく変化しておりました。また魔王様に勅命された各支部の幹部に連絡をとりましたが、誰一人として応えるものはいませんでした」


アッシュがいった各支部の幹部っていうのはゲームの世界であちこちに作ったダンジョンや砦のいわゆるダンジョンリーダーたちのことだろうな


しかしこの魔王城にいるのは俺と目の前にいる四天王たちだけなのか

どうりで静かなわけか


俺はアッシュに礼をいい、話を進める



「それで次はだ...俺を目覚めさせた方法だが、どんな方法をとったんだ?」

「ある1種に転生の魔術なのですが。アルとエルが禁書庫から見つけてくれた本の1冊に載ってました」

「どんな魔術なんだ?」

「内容としては上位世界にある魂を下位世界へと墜すというものでした。その魔術内容を私が改造し、魔王様を目覚めさせるための専用の術式へと変えました」

「それで俺は目覚めたというわけか」

「はい、術がうまくいき魔王様は目覚めました」



なんとなく俺が目覚めるまでの流れがわかってきたな


上位の世界から下位の世界へ墜す

たぶん現実の世界からゲームの世界に入っちゃうっていうことを指す


俺の転生ができた要因はここにあるのかもしれない


「魔王様、よろしければ魔術書を見つけた二人をお褒めの言葉を」

「ん?あぁそうだな。アル、エルありがとうなお前達姉妹のおかげだよ」



グルエラにすすめられる前にほめとくべきだったかな

でも誰かの上にたつことなんてしたこないこら今みたいに人を褒めるなんてことをするのは慣れてない


「えへへ.....ありがとうございますっ!」


なんというかエルは見た目通りのほんわか系だな



「ま、これくらいは当たり前って感じ?」


アルは軽く笑いながら答える

こっちもこっちで見た目通りにギャルだな


「ですが、魔王様が目覚めてすぐにまた意識を失われた時はほんとに焦りました」


グルエラがふぅっと息をつきたそうな表情で言う



だが他の3人のグルエラを見る表情が微妙である



なんとなく俺は3人のその表情の答えがわかる気がする



曖昧にしか覚えてないけど、俺は一瞬この世界で目覚めた。その直後に頭痛におそわれてまた意識を失ったんだと思う



たぶんそのあとのことだろうな

俺が二回目に目覚めたのは腹に強烈な衝撃をうけたからだ



「なぁアッシュ正直に答えてほしい。俺を目覚めさせて2回目の方法ってさ...」

「たぶん魔王様のお察しの通りかと...」



何とは細かく言わないけど......グルエラってなかなかの脳筋なのかも...


「魔王様への愛が奇跡を起こしてました」

「グルエラ、その大事そうにさすってるのはもしかしてさ...」

「はい、魔王様から頂いた戦鎚ミュルニルでございます。この愛の証のおかけです」

「ま、まさかなぁ...それでなんてねぇ」


俺は他の3人に目線を向けると

彼女たちの目は「残念ながらそうなんです」と語っていた


グルエラのやつ意識を失った俺をあの戦鎚で殴ったのか......


叩けば直るって俺は機械じゃないんだぞ、なんなら機械も直らないけどな



「ま、まぁ俺が目覚めたからよしとしよう。それでなんだが...」


俺は一拍おいて新たな話題を出そうとする




「これからどうしたらいい?」



俺はこの時何ともいえない笑いを浮かべてたと思う

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