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日常の終わり

静かな病室に3人に泣き声が響き渡る。


「皆んななんで泣いてんだよ、俺はここにいるだろ」


輪廻は自分がいることに気づかない3人に向かって叫んだ。

輪廻の母、夜神月千鶴が輪廻に向かってゆっくりと震える手伸ばす。

ようやく気づいてくれたのか、少し安心したような顔で千鶴の手を握ろうとする輪廻。

だが輪廻と千鶴の手が触れることは無かった。千鶴の手は輪廻の伸ばした手をすり抜けてしまったのだ。


「えっ」


輪廻の表情が固まる。そして、千鶴の手は輪廻をすり抜け、輪廻の座っているベッドの上に横たわる1人の少年のほおに触れた。

輪廻は、何が起きたのかさっぱり分からず、後ろを振り向いた。そして、輪廻は理解したのだ。

自分の声が聞こえなかった理由も、千鶴の手がすり抜けた理由も、みんなが泣いている理由も。

そこにいたのは自分と全く同じ容姿をした少年、いや、自分がいたのだ。


「そうか、俺は死んだのか」


全てを理解した輪廻は涙を流す。

そして輪廻は自分に起きたことの全てを思い出した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


それはさかのぼること5時間前。


「えっと、買うものは」


ここは、夜神月家のリビング。今日は日曜日の為、輪廻も雅も学校が休みである。母の千鶴と父の泰樹も今日は仕事が休みの為家にいる。

この日の夜神月家ではいつも通りの何気ない日常を過ごしていた。


「そうねー、昼は焼きそばとパスタどちらがいい」

「……私……焼きそばがいい」


少し悩みながら焼きそばを選ぶ雅。


「じゃー俺も焼きそばで」


輪廻が雅に賛成する。千鶴が泰樹を向いて、


「お父さんはどっちがいい?」

「…同じで」


とだけ言って読書に戻る。千鶴の作る料理はどれも美味しい物ばかりだが焼きそばとパスタは、別格の美味しさだ。


「輪廻、雅、買い物行ってきてくれる〜?」

「いよいよ〜」


雅はメモ帳とボールペンを持って千鶴の元へ、歩み寄る。


「何買ってくればいいの?」

「んーそうねえ、大体のものは揃ってるから、焼きそば用の麺とキャベツだけでいいわね。あーあと、今日の夜ご飯で使う人参とジャガイモも買ってきてくれる」

「オッケー、兄さん行こう」

「行くのはいいがその格好じゃダメだろ」


雅の服装はどう見てもパジャマだ。


「ん、じゃー着替えて来る〜」


小走りで二階へ登って行く雅。もう昼なのになんでパジャマなんだよと、ため息をつく輪廻。


3分後


トントントントントントント。雅が階段から降りて来る。


「レッツゴー、お兄ちゃ〜ん」

「走ると転ぶぞ」


そういうと輪廻は雅を追いかけて玄関を出る。玄関を出ると、輪廻は少し小走りをして雅の横に並ぶ。夜神月家からスーパーまでは家を出て右に少し進むと出る大通りを左に進むと商店街に着く。後は商店街を少し歩けばスーパーだ。

今2人は大通りに出たところだ。2人で並んで歩いて行く。


「あれ〜そこにいるのは、夜神月君ではないか」

「あ〜本当だ、夜神月君じゃん」

「なんだ紗南と佳奈か、おどかすなよ」

「お兄ちゃん誰ですかこの人たちは?」


大通りを歩く夜神月兄妹に声をかけてきたのは、小林紗南と天童佳奈の2人だ。


「この子輪廻君の妹ちゃん?」

「あっ、挨拶が遅れました、夜神月雅です。えっと、兄さんの妹です」

「私は小林紗南、こっちは天童佳奈、夜神月君のクラスメイトよ。よろしくね雅ちゃん」

「こちらこそ、いつも兄さんがお世話になっています」


そういうと雅が頭を下げる。


「ほら挨拶が済んだなら行くぞ。早く家に帰って小説の続きが読みたいんだ」

「夜神月君これからどっか行くの?」

「これからお昼ご飯の材料を買いに行くのです」


輪廻の代わりに雅が答える。


「そっかじゃあ私達はこれで」

「じゃーねー夜神月君、雅ちゃん」

「はい、さようならです。紗南さん佳奈さん」

「じゃーな」


雅は手を振って2人と別れる。


「ほれ行くぞ」


2人はまた並んで大通りを歩き出す。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


スーパーの中に入ると、外とは違って、少しひんやりとしている。


「あ〜〜、涼しい〜生き返る〜〜」

「ほら、お兄ちゃん……伸びてないで、早く買って帰ろう」

「ん、そう〜だな。さっさと買って帰るか」

「先ずは野菜からだね……人参とジャガイモとキャベツだね」


カートを押して野菜コーナーに来ると、目当ての野菜はすぐに見つかった。


「人参、ジャガイモ、おっ、今日はキャベツが安いな。……少し多めに買って行くか」

「後は、焼きそば用の麺だけだね兄さん」

「そうだな焼きそば用の麺は……」


野菜コーナーから少し横に行くとそこには麺類が置いてある。


「焼きそば麺は、4人分っと。これで全部だね」

「そだな。よし会計して帰るか」


そういうと、2人はレジの方に向かって歩いて行った。


台の上にカゴを乗せると、


「相変わらず仲がいいな、お2人さん」

「恋汰、今日もバイトか」

「お久しぶりです、恋汰さん」


2人に声をかけてきたのは、輪廻のクラスメイトで結構仲のいい数少ない友達の五十嵐恋汰だ。


「今日はなんの買い物に来たんだ?」

「お昼ご飯と夜ご飯の材料を買いに来ました」

「と、いうわけだから、会計よろしく」

「へいへい。……66円が2点、38円が3点、148円が2点……合計で、506円になります」

「ほいよ」

「1000円と6円お預かりいたします。……500円のお釣りです」

「ありがとうございます恋汰さん」

「どういたしまして雅ちゃん。気をつけて帰れよ」

「はいはい、じゃーな恋汰」

「おう、またな」


2人は恋汰にお礼を言ってスーパーを出る。並んで来た道を歩いて行くと大通りにでる。

いつもの休日のいつもの日常。


だがそんな日常は唐突に幕を閉じる。


信号が青になり2人は並んで横断歩道を渡る。だが、中ほどまで来たところで2人に大きな声がかけらけら。


「おいお前ら、今すぐ戻れぇー!早くしろー!」

「えっ」


かけられた声に驚き何事かと周りを見る輪廻。だが、遅かった。視界に飛び込んで来たのは1台のトラック。

(しまった、もう避けられない。せめてこいつだけでも)

とっさに輪廻は隣にいた雅をトラックの当たらない場所まで突き飛ばす。その瞬間輪廻は強い衝撃を受けて宙を舞い何度も回って“落ちた”……周りの声が聞こえる。だが、どんどん意識が遠ざかって行く。最後に聞こえたのは、最愛の妹の悲鳴と泣き叫ぶ声だった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「そうか……俺は、死んだのか」


涙が溢れる。だがそんな時涙を流す輪廻の頭の中に声が響いた。


「君は、生きたいかい?」


その声は、部屋中に響いた。輪廻は、涙を腕で拭いながら首を振る。するとそこには、金色に光り輝く人魂のようなものが浮かんでいる。


(生きたいかだって、そんなもの決まっているだろ……)


生きたい……生きて……もっと……もっと……雅と母さんと父さんと一緒に……一緒にいたい」


「……ふふっ。……いいだろうその願い聞き届けた!」


人魂がそう叫ぶ突如輪廻の体が光に包まれた。徐々にその光は強くなって行く。


そしてようやく光が消えた。だが、そこに輪廻の姿は無かった。





突然ですが皆さん、インフルエンザにはなりましたか。実は、僕先週インフルエンザでずっと自室に隔離状態でしたよw

この投稿はその影響でかなり遅れてしまいました。大変申し訳ございません。

今はインフルが流行っているようなので皆さんも十分にお気をつけください。

次の投稿ではついに異世界に転生です。


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