表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

襖(ふすま)の中からこんにちは!

「うん、今日は絶好の片付け日和だな!」

あ、どもっす。高坂麻夢タカサカ マユっていいます。よろしくお願いします。実は今日から色々あって狭いアパート(失礼すぎだろ!? アパートの大家さんに対して!!?)から少しお高めの一軒家に住むことになったんですよ。綺麗キレイだし、広いし。でも、一番驚いたのは僕の荷物の多さ! 重っ!? 何あれ女が運ぶもんじゃねえだろ!? 一人で心の中でツッコミを入れてみる。すごく虚しい。

「にしても」

キョロキョロと辺りを見渡す。

「何でこんないい所に買い手がつかなかったんだろ?」

そう、こんなにもいい家なのに買い手は誰も居ないなんて可笑しな話だ。でも、気になってしまうのが人間のさがだろう。

「ま、いい‥」

言いかけた時、ふすまがガタンッ!! と物凄い音を立てた。僕は咄嗟とっさに後ろに跳んだ。

『どうする!? 開ける? いやいや、開けて変なのいたらそれこそ僕の生命ライフが死んじゃう!』

そう思っているとふすまの隙間から何かが見え隠れしてますいるのが分かった。僕はおそおそる近くに行ってそっとふすまを開けて見たら、中には黒と赤の羽を持った大きめの鳥だった。

わし? いや、にしては色が違う』

くちばし尻尾しっぽは赤で、頭や胴体は黒。そして、鳥の目は右がだいだいで左はみどりのオッドアイというなんとも変わった鳥だった。うちは動物は好きだが、名前は分からない。そのため、この鳥がなんという種類で何処に住んでいるのかも分かるはずがない。その鳥は僕を見て奥の方へ奥の方へと後退あとずさりした。どうやらおびえてる様子でこちらを見てくる。ふと僕は持ってきた荷物の中に林檎リンゴがあるのを思い出して、鳥に「ちょっと待ってて!」そう言って、台所に走り、林檎リンゴを取り出して、皮をき、摩り下ろした。俗に言う『すりリンゴ』にして、さっきの場所に行くと、ジッとしたままの鳥の元に駆け寄った。スプーンですくい、ハイッと差し出してやれば、僕とすりリンゴを交互に見やってちょんっとつつくと、凄い勢いで食べた。あっという間に空になった器を見て、笑みが溢れた。ついさっきまで虚勢きょせいを張るように敵意のこもった眼差しだったのがクルクルとのどを鳴らして嬉しそうにしているんだ。せわしなくコロコロと変わるその様子がとても面白く思えた。

美味おいしかった?」

僕がそうたずねると鳥は、のど鳴らしながらスリスリと頭を僕の腕に押し付けるようにしてくる。その頭を撫でれば、もっと撫でてとでも言うように擦り合わせてくる。

「良かった!」

そう言ってグシャグシャと撫でてやると、笑っているようにも見える。

それが終了したのは夕方くらいになったのに僕が気付いた時だった



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ