研究ってのはいいけど。
「本当にいいんですか? 」
「あぁ。この事実を世界は知るべきだ。それがどんな悲劇をまねこうと」
辺りには薬品や機械が無造作に置かれている。
わずか五畳ほどの部屋にここまで物が散乱している部屋はあまりないだろう。
この部屋には長らくお世話になっているがそろそろ引越しを考えなければならないな、もし私達が生きていたら。
「小林。君はなぜ、私の研究に賛同してくれているのだ? 私は今まで君が反対意見を出したとこや言うことを聞き入れなかったりしたことを知らない。君の心を突き動かしているものについて知りたいのだ」
小林の顔が少し笑ったかのように見えた。
そして浅い呼吸と共に口を開く。
「私は、新藤さんと一緒に研究や実験をしてて、一度も反対意見を思ったことはありません。それに私は、これが好きなんですよ。この散らかった小さな部屋で新藤さんと、何かをできることが」
彼を嫁にしたい。と少しだけ思ってしまった。
恥ずかしいことに今の今まで女性経験が全く無いのだ。
「新藤さん。私は男です、性別を間違えては困ります」
どうやら心の声がもれていたらしい。
ふと思い出し、左腕に付けている腕時計を見る。
午前六時五十三分。
時間だ。
「今まで楽しかったよ。嫁にすること、かんがえといてくれたまえ」
「新藤さんが冗談言うなんて、珍しいですね」
少しの苦笑と、悲しみを込めたような顔でこちらを見る。
(私達のやってきたことは間違いじゃないと)
そう自分に言い聞かせながら最後のひとときを味わう準備をする。
最後に小林を見て、少し微笑む。
右と左の区別がつかなくなる。
意識がどこか違うところに向かっているのがわかる。
さぁ、魔法という名のファンタジー世界に憧れている少年たちよ。今からこの世界は崩壊へと導かれるだろう。
それを阻止できるのは私と小林それに──
だからこそ、私達は死ぬのだ。
世界が変わらなければ意味は無い。
私が世に振りまいた魔法の種をどう使おうが自由だ。
それを阻止できるのは魔法だけだが……
お疲れ様です!
毎週水曜って言ってましたけど暇すぎて学校の休み時間にでも書けることが判明。