三話 電話と裏切りと勘違い
またまたタイトル適当です!
こんなこと言っていいのか?・・・良いんです!本当のことですから。大事なのは内容です!というわけで、今回の優と雪はどうなるのか?
それでは三話 電話と裏切りと勘違いをどうぞ!
十二月三十一日 大晦日
プルルル
いつものようにそれはやってきた。
プルルル
そう電話だ。大晦日の夜に毎年かかってくる。
プルルル
そしてそれは
ガチャ
「もしもし―――」
『もしも〜し。優かぁ〜?お前の父さんだぞ。聞こえてるかぁ〜?』
そう、俺の両親からだ。
「優さんは今―――」
「もしもし父さん何か用!」
電話に出ている雪を見つけ慌てて受話器を取り上げた。
『ん?いま女の子の声が聞こえなかったか?』
聞こえていたのか!?
「気のせいだよ父さん。それより何!」
『そうかぁ?確かに聞こえたような気がしたんだけどなぁ〜。まあ、気のせいか。それより何!とはないだろ。毎年かけているのに・・・それに、久しぶりに父さんと話せるのだぞ。喜んだらどうだ?』
俺の両親は二人して海外に居る。そして、仕事が忙しいらしく、だいたい四年前から帰ってきていない。そのため、こうして毎年決まった日に電話をかけてくる。
「ごめん。ちょうど風呂に入ってて、そのまま電話に出たから服着てないんだ」
実際に風呂から直行してきたからタオルだけだが雪が知られてしまったのかとあせってしまったせいである。それに、雪の前でこの格好で居るのも恥ずかしい。はやく服を着たい。と思いながらこたえる。
「そうか。時間はたっぷりあるから服を着ろ。これで風邪をひいたとなると母さんに怒られるからな。ハッハッハッ」
といって笑う父さん。どうやらもう気にしていないようだ。
「わかった。ちょっと待っててくれ」
そう言って受話器を置き、脱衣所に戻る。この行動が、さっきごまかしたのが意味なくするとは知らずに・・・
プルルル プルルル
家に鳴り響く、電話の着信音。プルルルとなるこれはこの部分をとって耳にあて会話をするもの。そして、最初は・・・
「もしもし―――」
『もしも〜し。優かぁ〜?お前の父さんだぞ。聞こえてるかぁ〜?』
こっちが言うよりも先に言われてしまった。そのことは置いといて、確か優さんはお風呂のはず。
「優さんは今―――」
「もしもし父さん何か用!」
初めての電話を優さんにとられてしまった。知識はあっても経験はない。ゆえに、知識だけではやってみたいという好奇心も強くなってしまう。そう、電話みたいな不思議なものならなおさらだ。
あれで話してみたい、あれを押してみたいと思いながらじっと見つめていると優さんが受話器を置き脱衣所のほうに向かっていった。
もう、話が終わったのかな?と電話のほうを見てみると受話器は本来の場所の横に置いてある。つまり、まだつながっているということだ。ちょっと位ならと受話器を手に取る。そして、耳に当てると・・・
『もしもし、聞こえてるなら返事してくれ・・・もしもし?・・・あれ?やっぱりさっきのは気のせいだったのか?いやまだだ。君がそこに居ることはわかっている。隠さなくてもいい。ちゃんと優から聞いたんだ。だから、居るならこたえてくれ』
優さんから聞いた?さっきの話で聞いたのだろうか?信じていいのか悩むが、優さんのお父さんだ。信用できる人だろう。
「・・・もしもし」
『お!?やっぱり居たか。お〜い、母さ〜ん。やっぱり居たぞ!』
えっ?やっぱり・・・?どういう、こと?
「雪!?」
突然後ろからかけられた声。振り向くとそこには驚いた顔をした優さんが立っている。さっきのやっぱりという言葉とこの驚いている優さんを見て自分がどういうことをしたのか理解した。そう、約束を破ってしまったということを、それが騙されたものだとしても優さんを裏切ってしまった。たとえ違っていてもそういう思いが頭の中に満ちて他の考えを追い出してしまっていた。
気が付くとその場から走り出していた・・・
服は脱衣所に持っていっていた。いつもならしないことだ。でも今は違う。なぜかというと雪に下着姿を見られるのが恥ずかしいからだ。
脱衣所に着いた優は腰に巻いているタオルを取り服を着ていく。それはすぐに終わった。
だが、そんな少しの間に驚きの出来事が起きていた。
脱衣所から出た優の目に入ったのは雪が受話器をとって耳にあてている姿。
「雪!?」
その姿を見て驚き、そう声が出てしまった。こっちに向いた雪はいきなり走り出した。そのとき、涙が頬をつたうのが見えた。
優は追う事も言う事も何も出来ずそのまま立ち尽くしていた。
わからなかった。
どうして泣いているのか。どうして逃げるように走っていったのか。
わからなかった。
自分が何故、何も出来ずに立ち尽くしているのか。
そう、なにもわからなかった。
しばらくそのままでいた優は電話のことを思い出す。あのときに雪は電話をしていた。
受話器をとり耳に当てると声が聞こえてきた。
『お〜い、どうかしたのかぁ〜?もしも〜し。聞こえてるなら返事してくれ〜』
「・・・父さん」
どうやら雪と話していたのは父さんのようだ。
『ん?優じゃないか。さっきの娘はどうしたんだ?それにしても、優が女の子を連れ込むのは驚いたな。もう、こんなに大きくなって・・・ううぅ、父さんの知らないところで成長していくんだな。ちゃんと父さんたちに紹介しろよ。未来のお嫁さんをな』
「父さん、雪と何はなしてたの?」
それは今一番知りたいこと、一番確かな手がかり。
『ん?さっきの娘のことか?そうか、雪というのか。母さん、さっきの娘は雪というらしいぞ』
「ふざけていないで、こたえてくれ」
いつもより低い声でそういう。
『ふざけているつもりはない』
さっきとは違った雰囲気だ。
『最初のが気になってな。あの娘に呼びかけていただけだ。ただ、君がそこに居ることはわかっている。隠さなくてもいい。ちゃんと優から聞いたんだ。だから、居るならこたえてくれ、と言ったら、もしもしと言ってくれただけだ。その後はお前が出て今に至るというわけだ』
ただ、それだけ?やっぱりわからない。直接聞くしかないか。
「わかった。それじゃあ」
そういって受話器を置き雪を探しに走っていったほうに向かった。
ここに来ても何もないとわかっている。でも、知らないうちにここに向かっていた。気づいたときにはそこのベンチに座っていた。
このベンチは特別な場所。なぜなら、ここは優さんのお気に入りの場所であり、初めて出会った場所だから・・・
「はぁ〜・・・」
雪は溜め息をつき、見上げる。星が少ない街の空。今の雪にはさびしく感じられた。
雪を追いかけ外に出たはいいが、何処へ向かったかわからない。とにかく、思いつく場所をかたっぱしからあたるしかない。
近くから学校のほうへ、駅のほうへ、商店街のほうへ。だが見つからなかった。
「あとは、公園か」
雪の行く場所で考えられるのは、あと、そこだけ。そこに居なかったら、もうわからない。
そう考えながら公園へ走った。
「はあ、はあ、はあっ・・・くっ!?」
公園の入り口。息を切らせながらも走る優を待っていたのは無駄に広い公園。こんなに広いと探すのも大変だ。それに、もう深夜0時を回っている。周りは暗く見通しが悪い。それに・・・
「くそっ!」
最近噂されている変質者や痴漢という言葉が頭をよぎり気持ちが焦る。雪は今は猫でなく人間だ。それも、狙われるような少女である。
無事で居ればいいが・・・
「あああぁぁぁっ・・・いやっ!大丈夫だ!」
一瞬浮かんだ最悪な事態の想像を振り消し自分に言い聞かせ走り出す。
「これから・・・どうしよう・・・」
どこか行く場所は・・・ない。優さんのところに戻るのは・・・
なんだか猫に戻りたくなってきた。優さんといない今は人で居ても辛いだけ。猫に戻れたらたらどんなに楽だろうか・・・
ポタッ・・・ポタッ・・・
どんどん溢れてくる涙が頬をつたって落ちていく。雪は俯き、声を出さずに泣き続けていた。
すると、トンっと肩に誰かの手が置かれた。顔を上げるとそこには・・・
広場も遊び場も見たが何処にもいない。残るは俺がよく行く、明かりの少ないこの向こうだけ。
そのまま走って薄暗い道に入っていった。
深夜だからか誰もこの道を通っていなかった。だから、ここに来たのか不安になる。ここじゃないのか?という考えを何度も振り消しながら進んだ。
すると、いつものベンチに人影を見つけた。それは、雪だ。月の光を浴び輝く白い髪。俯いていて顔はわからないが間違えない。
おれはやっと見つけた雪の肩に手を置き、
「探したぞ、雪」
といった。安心して出た笑顔とともに。
目の前に居る優さんは笑顔だった。そう、怒ってはいなかった。悲しんでもいなかった。あの時も驚いていただけだった。つまり、私は一人で勘違いをして逃げただけだった。でも、そんな安堵よりも、探しに来てくれたこと、見つけてくれたことに嬉しくなった。そして、
「ごめんなさい」
と笑顔でこたえる。さっきとは違った涙を流しながら。
優は帰りながら雪に聞いた。どうして、こんな事をしたのか。それは、単純な理由だった。約束を破ったところを見られたから。それで、優が隠していたことがばれてしまったから。そんなこと気にしてないからと伝えた。
家に着くと電話が鳴っていた。それは、また父さんからだった。今度は隠さず雪のことを話した。すると
『そうか・・・わかった。その娘、雪ちゃんに代わってくれないか?』
「わかった」
何か話したいことでもあるのだろう。素直に雪に代わってやった。
雪と父さんは何か話しているが内容は聞こえない。雪の返答も断片的で理解できない。でも、いいことのようだからいいか。何故わかるかというと、雪の表情が明るいから・・・
この会話が後で起きる驚きの事態の内容とは知らずに優は微笑みながらその様子を見ていた。
冬休みが終わり新学期が始まった。だが、変化のない学校生活が始まるだけだ。そう、つまらない時間が・・・
そんな、ホームルームの時間に変化が起きた。
「よし、新学期早々に転校生を紹介する」
そう、転校生だ。しかも、それが・・・
「入っていいぞ」
入ってきたのは女。白く長い髪。青い瞳。そう・・・
「神代雪です」
あの雪だったのだ。
三話の最後に次の内容書いちゃいましたね。そう、次は学校!しかも、雪も学生に!?
神代雪・・・この神代にはどういう意味があるんでしょうね。兄妹?それとも、夫婦!?まあこれは年齢的にありえないけど。親戚?ただ同じなだけの知り合い?もしくは、他人?
ああ、気になりますね。プロットなんて作ってないからどうとでも変えられますから私にもどうなるかはわかりません。
まあ、出来てからのお楽しみですね。
というわけで、次話もよろしく!