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見知らぬイケメンとの衝撃の遭遇

 ゆらゆらと、まるで揺りかごのように体が揺れている事に意識が浮上し、ゆっくりと目を開ける。

 すると、すぐ目の前に見知らぬ男性の微笑みがあった。


「きゃああああっ!?」

「っ!」

「! 兄上!! 女っ、貴様兄上に何をする!!」

「いい、よせリロアーク。……驚かせてしまったな。すまない。お嬢さん、私達は決して怪しい者ではない。私はロアンシル、これはリロアークという。君が助け、保護した者の兄だ。……弟のせいで、君にこんな辛苦を味あわせてしまった。重ねて詫びるよ。本当に、すまなかった」

「へっ?」

「こんな所に閉じ込められ、食事も出されていないと聞いた。お腹を空かせているだろう? 簡単なものだが、用意しておいた。さあ、こちらへ。手当てはしたが、まだ傷が痛むだろう。私が食べさせよう。おいで」

「ふぇっ!?」


 驚きのあまり突き飛ばした男性は、けれど全く気にした様子もなく少しも変わらない微笑みのまま、優しく私を引き寄せた。

 体がその腕の中にすっぽりと納まり、包まれる。

 ………………ええと、何これ、何が起こっているの?

 私が助け、保護した者、って…………あの、空色の動物?

 ああそっか、私、誘拐したとか言われて牢に入れられたんだっけ……。

 でも、"兄"って……?

 ああ、ペットも家族で弟同然とか、そういう事……?


「ほら、お嬢さん、口を開けて?」

「……ぁ……は、ハイ……」


 私は半ば呆然としたまま、言われるがままに口を開けて食事を食べさせて貰う。

 途端、男性の微笑みが深まった。

 ……こういうのを、蕩けるような微笑みとか言うんだろうか……?

 けど、なんか、この男性……世間一般で言うところの、かなりのイケメンさんなんだけど……何で、こんな人のそんな微笑みが、私なんかに向けられているの……?

 本当に、何が起こっているのか……よくわからない事態に、私はちらりと、この場にいるもう一人のほうに視線を向けてみる。

 するとそのもう一人、リロアークという名前だったろうか……彼はまるで、めったに見られないとても貴重なものを見るような目で男性を見ていた。

 やがて私の視線に気づくと、なんだか色々な感情が混じったような複雑な目で視線を返してくる。

 ……その目の意味するものは、何だろう?

 そう思いながら見ていると、突然、くるりと体が回転した。

 リロアークという少年は背後に回って見えなくなり、私の視界にはまた、男性の微笑みが映り込む。 

 …………………………。

 ……うん、思考を放棄しよう、そうしよう。

 このごはん、おいしいなぁ、もぐもぐ。

 私はひとまず、このわけのわからない現実から逃げる事にした。

平成最後の更新。

間に合った。

しかし"平成最後"って、流行語大賞にノミネートされるんだろうなぁ……。

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