強制参加のようです
目が覚めると、自分の居場所が変わっていた。
綺麗な花が咲き乱れる庭園のような場所に、白いテーブルと椅子が置かれ、そこに座っている。
座っている椅子が温かくて、お腹にも温かな何かが回っている事については、考えない……いや、考えちゃいけない。
そして、何故かイケメンが増えている事は……これは、どうしようね……?
今いるイケメンは、五人。
そのうち三人は見覚えがある。
私が助けた空色の動物だった王子様と、その兄である、やっぱり王子様の二人。
でも、あとの二人は……誰だろう?
王子様三人と一緒にお茶してるって……身分の高い人……なんだよね、やっぱり?
そして、ここはどこだろう……何だか嫌な予感がするんだけど…………だって、王子様が三人もいる、綺麗な庭園らしき場所って…………お、お城、じゃあ、ないよね……??
「ふ、君のお姫様が起きたようだよ、シル。こう言ってはなんだが、挙動不審な様が小動物のようで、なんとも可愛らしいね」
「駄目ですよ、兄上。いくら兄上でも、アカリ嬢を誘惑したら許しませんからね?」
「ああ、わかっているよ。お前がやっと出会えた子なのだから。さあ、私達にも紹介しておくれ」
「はい。けれど、まずは。……アカリ嬢、気分はどうかな? 弟が来て証言した事で君の容疑ははれたから、城へ連れて帰って来たんだよ。ここは、城の中庭だ」
「!!」
や、やっぱり、お城だった……!!
わ、私、どうなるの!?
やっぱり、不敬罪で死刑とか……!?
「そして、ここにいるのは全員私の兄弟だよ。リロアークとレヴァロアは先程自己紹介したからいいとして……。向かって、右側がオーザウェン兄上で、左側がクーザウェン兄上だ」
「初めまして、お嬢さん。第一王子で王太子のオーザウェンだ」
「第二王子のクーザウェンだ。初めまして。シルをよろしく頼むよ、お嬢さん」
「え? ……あっ、わ、私は、アカリ・ナナムラです! 初めまして! ……で、えっと、よろしく頼む、っていうのは……?」
「ああ、それは」
「クーザ兄上。……アカリ嬢、私は君と仲良くなりたい。お互いをよく知る為に、まずは私と友人として付き合ってはくれないかな?」
「え? ゆ、友人、ですか? じ、じゃあ、死刑には、ならないんですね……!?」
「ふ。なるわけがないよ。だから是非、友人になって欲しい」
「え、えっと……お、王子様がそれでいいのなら……私は別に、構いませんが……はい」
「ありがとう。とりあえずは、それでいいんだ。だから、これからよろしく。私の事は、シルと呼んでくれ」
「は、はい、シル様」
私がそう呼ぶと、シル様は嬉しそうに笑みを深めた。
う、眩しい。
「では、私の事はオーザと。クーザウェンはクーザで、リロアークはリーク、レヴァロアはレヴァと呼ぶといい。……シル、今回は城へは、いつまでいる?」
「そうですね……父上やリーク、レヴァの顔を見て、長居はせずにまた発つつもりでしたが……思わぬ幸運にも出会えましたし、タイミングも良かったようですので、かの方の帰還予定ギリギリまではいようかと」
「そうか。ではまだ数日は会えるのだな」
「本当に、いいタイミングで帰って来てくれた。シルがいないと、リークやレヴァは誘ってもなかなかいい返事をくれないからな」
「! それはっ……! ……俺達、いえ、私達ではまだ、受けていい誘いかの判断が出来かねませんから」
「私達もオーザ兄上やクーザ兄上と遊びたいですが……安易に誘いに乗って、その……母上のようになるのは……困るので……」
「……ああ、そうだな。……わかっているよ」
「…………」
「……兄上達もリーク達も。せっかく久々の茶会なのです、そういった話題はやめましょう。私は、アカリ嬢の事が聞きたいな。君の職業、拾い物士と聞いたが、どういうものだい? 落ちてる物を拾うって、具体的には?」
「えっ? あ、はい! えっと、基本的に落ちてる物なら何でもいいんですが……あっ、そういえば、レヴァ様を見つけた時も、拾い物という扱いになったみたいでした!」
「え、僕が?」
「はい。流石王子様と言いますか、経験値が沢山入って、レベルアップできたんです! ありがとうございました!」
「そ、そう……それは、役に立てたなら良かったです……。……そう……僕が、拾い物……」
「へえ、拾うのは人でもいいんだな。……レベルアップか……」
「アカリ嬢の、今のレベルは?」
「三です! 街の広場の清掃とか街の外の落とし物探しの依頼をギルドで受けて、毎日コツコツ頑張って上げました。……本当は、ダンジョンにも行きたいんですけど……パーティーに入るのが難しくて。スキルのおかげで攻撃は当たらないけど……罠とかもあるだろうし、一人じゃ、怖いので……」
「ああ、なるほど。なら、私のパーティーに入って、私と行こうか。メンバーも後で紹介するよ」
「あ! シル兄上、それ俺も行きたい!」
「僕も! 城にいる間、臨時でパーティーに入れて、兄上!」
「それはいいな。母上が帰って来るまでになんとか都合をつけるから、私も参加させて貰おうか、シル。クーザも、行くだろう?」
「勿論です。よろしくな、シル」
「おや……大所帯になりそうですね。わかりました」
「「 やったあ! 皆でダンジョン探索だあ!! 」」
「………」
あ、あれ?
私、返事してないんだけど……これ、決定しちゃった……?




