いざ 異世界へ!(2)
今回でプロローグは終了です!
誤字・脱字があるかも
イスに座るルリアと一刀の間に少し大きめのディスプレイが現れる。その画面には中央にそびえ立つ塔がある大陸が広がっていた。
「こ、これが・・・」
「ええ、私たちの世界『ソロガルド』です!」
「ソロガルド・・・」
一刀が浸っていると、ルリアが説明をしたす。
「この大陸には三つの人種族があります。一刀さん達と同じ普通の人間『人族』。獣の力を宿し、姿までも獣へと近づいた『獣人族』。さまざまな姿をし、独特の文明を築いた『亜人族』の三人種族になります。」
「・・・ちょっと待て」
「はい?」
「獣の力を宿した獣人族・・・? もしかして・・・!」
一刀はスマホを取り出すと、写真アプリからアルバムを開き、そこの画像をルリアに見せる。
「もしかして! こんな獣っ娘やケモミミっ娘のことかッ⁉︎」
画像は2次元のケモミミっ娘達だった。
「ま、まぁ、確かにこのキャラ達みたいな感じの方達ばっかりですけど・・・」
「マジでかッ! よっしゃぁ!」
ルリアは若干引きながら、一刀に説明を続ける。
「こ、この大陸は三人種族、それぞれ壁で分けられています。高さは50m。普通の人はまず登れませんし壊せません」
「なるほど、各種族はそれぞれの大陸に進撃する為に戦争をしていると・・・」
「それもありましたが、20世紀ぐらい前に停戦し、今では別の目的の為に三人種族が同盟を組みました」
「目的・・・?」
「はい。こちらを」
ルリアはディスプレイに映っている塔をアップする。
「塔・・・? デカイな」
「これは『アズガルの塔』神々が戦争を止める目的で作った。通称”ダンジョン塔”です」
「ダンジョン・・・塔の中が迷宮とか、か?」
「その通りです。三人種族はいきなり現れた『アズガルの塔』に驚きはしたものの、まったくのガン無視。神々はなんとかこの塔で戦争を止めたかったのか、三人種族に『この塔の最上階に辿り着いた者には、何でも願いを叶えてやる』っと神託を告げたそうです」
「・・・何でも・・・願いを・・・」
「私は父から聞いた話なので、本当かどうかは分からないのですが、このおかげで三人種族の戦争は無くなり、各国は同盟を組んでいます。壁には他の大陸に行く為の関所も設けられていますし。戦争時代の時では考えられないほど町や村が増えつつあります」
「父から・・・」
ルリアの言葉に疑問を感じ、一刀は質問する。
「ルリアってさ」
「はい?」
「今、いくつ?」
「な、何故それをいきなり・・・?」
「いやぁ。神様だし、てっきり年齢5ケタはいっているのかと」
「し、失礼ですね⁉︎ 私はまだ102歳ですっ! 神様の年齢でいえば一刀さんと同じぐらいなんですからね! はっ・・・」
「・・・102歳・・・か」
ルリアは顔を真っ赤にし、一刀を睨んでいる。一刀はそれをへらへらしながらなだめていた。
「ごほん! 話がそれました。一刀さんにはこの『ソロガルド』への転移権だけですので、別に塔をクリアしろだとかはありません。でも、もし塔に挑まれるのであればこの事を忘れないで下さい」
ルリアは一間置き、一刀に告げる。
「『アズガルの塔』は三人種族が本格的に攻略をし始めてから20世紀・・・まだ、攻略階数は30階を突破しただけです」
「30⁉︎ たった30なのか⁉︎ つか、あの塔は何階あるんだよ⁉︎ ざっと見ただけでも100はあるぞ⁉︎」
「いえ・・・多分100をも超えるかと・・・」
「マジでか・・・ん? ルリアは階数を知らないのか?」
「はい・・・私どころか、他の神様達さえも」
「oh・・・いや、それならこの塔を作った神なら」
ルリアは首を横に振る。
「その方は神の中でも年老いた方でして・・・戦争が終わったのを見届けるようにお亡くなりになりました・・・」
「死んじゃったの⁈ 神様なのに死んじゃったの⁈」
「ええ、神でも歳には勝てなくて・・・」
「その神さんいったい幾つだったんやら」
「確か・・・100まn・・・」
「あぁ、もういい分かった。聞くだけ無駄だ」
一刀は頭を掻き、ルリアに言う。
「まっ、塔の攻略をするかしないか以前に、俺にはやりたい事があるしな」
「やりたい事・・・ですか?」
「ああ」
一刀はイスから立ち上がり、ディスプレイに手を向け、握る。
「この大陸を自由に旅してみてぇ・・・。こんな摩訶不思議な冒険出来んだ。楽しまないと損だろ・・・!」
「・・・・・・!」
ルリアは目を見開き、驚く。
「ふふっ」
「あ? 何笑ってんだ?」
またもや、ヤのつく人顔で睨む一刀。
「い、いえッ⁉︎ 別に馬鹿にしたわけではないんですよ!」
ルリアは息を整える。
「私がこの仕事に就いてから、この世界への転移権をお渡しになったのは一刀を含め、五人。でも、他の方々は塔が願いを叶える事を聞くと、塔の攻略を目標とし、旅立って行きました。ですから、一刀さんみたいに旅を楽しみたいとおっしゃる方は初めてなので、嬉しかったのです」
にこやかに淡々と告げるルリアに、一刀は照れていく。
「別に・・・俺は俺のやりたい事を言っただけだ・・・!」
「ふふっ、照れてる一刀さんは可愛いですね」
「(ブチッ) ハンドバルぞゴラ・・・!」
一刀は指に魔力を込め始める。
「じょ、冗談ですよ! 真に受けないで下さい! そうです! 荷物! 一刀さんの荷物をマジックバックに詰めないと!」
「あ、そうだ。忘れてた」
振り返る一刀とルリアの目の前には、まるで引っ越しの時のように積まれているダンボールがあった。
「・・・・・・入るかな? 今の俺のMP(魔力量)で・・・」
「だ、大丈夫ですよ! まずは試してみましょう!」
一刀はルリアからマジックバックを受け取ると、ダンボールを入れようとする。
「お、おお⁉︎ ダンボールが吸い込まれた!」
「では、一刀さん。マジックバックに手を入れてもらえますか?」
「ん、こ、こうか?」
「そして、取り出したい物をイメージしてみて下さい。そうすれば、入れた物が取り出せます」
「何というチートカバンだ・・・」
「あと、万が一荷物が入りきらない場合はこれを」
ルリアは金色の水晶をはめ込んである指輪を一刀に渡す。
「こいつは・・・?」
「それはマジックバックへの魔力対応を激減する指輪です。これを付けながらマジックバックへ荷物を入れられますと。その時だけ、どれだけでも入るようになります」
爽やかに告げるルリア。
「そ れ を 早く言え・・・!」
「ふ、ふひはへん・・・! ふひはへん!」
その後、一刀から頰を摘まれ。必死に謝罪をする神様がいた。
荷物をマジックバックに詰め終わると、今で白かった周りの景色が変わる。
「お、何だ? 白かったのが黄色になった・・・」
「あ、着きましたよ一刀さん!」
「やっとか・・・!」
「・・・一刀さん。最後に・・・」
「ん、何だ?」
「少し、前屈みになっていただけますか?」
「ん・・・? こうか?」
ルリアに言われ、前屈みになる一刀。そこに
「・・・ちゅっ///」
「・・・・・・・・・」
ルリアがキスをした。すると、一刀の目の前にディスプレイが表示される。
【NEW技能取得!】
《解読の瞳》
《魔物図鑑》
「ル・・・ルリアッ⁉︎」
「す、すいません! こうしないと私から技能を渡す事が出来なくて・・・! で、でも! 私ッ、初めてです! で、ですから・・・それで許して下さい・・・」
涙目で告げるルリアを思わず抱きしめそうになる一刀。
「す、技能って。もしかして、今表示された二つか?」
「は、はい! まずは《解読の瞳》こちらは対象の道具の効果や食べ物に毒が入っていないかを解読する技能です。もう一つは《魔物図鑑》こちらは一度討伐した魔物の情報が登録され、技能を開ければいつでも確認する事が出来る技能になります」
「・・・何でこれを?」
「そ、それは・・・たった短い間でしたが、一刀さんと一緒にいると凄く楽しかったですし・・・ま、まだまだ一緒に居たいと思いましても。一刀の目標を尊重したいですし、そもそも異世界転移の為に接していたので、どうすればいいのか分からなかったので、こうしました・・・私は貴方のお役に立ちたくて・・・」
ルリアの告白じみた発言に必死で本能を抑える理性。
(馬鹿野郎! 今、ここでルリアの告白を受けたら、ルリアの必死な我慢を無駄にしちまう。つか、その顔反則だろぉぉがぁぁ!)
「・・・・・・ぁ」
一刀は顔を背けながらルリアの頭を撫でる。
「さ、サンキューな。ありがたく使わせてもらうぜ・・・」
「・・・はい・・・!」
そして・・・
「よし、マジックバックも持ったし。そろそろ出発するか」
「では、一刀さん。こちらへ・・・」
ルリアが手を向ける先の地面から光が溢れていた。
「あの光の中央へ立っていただければ、異世界へ『ソロガルド』へと降りたちます」
「・・・分かった」
光へと歩いていく一刀に手を伸ばそうとするルリアだったが、必死に抑える。顔は涙目だった。
「ルリア」
「・・・ぇ。は、はい!」
一刀は振り向かずに告げる。
「俺も、短い間だったけどさ、ルリアと一緒に居れて楽しかった! だからさ、今回でサヨナラなんて言わずに、また会おうぜ!」
そして振り向く一刀は笑っていた。
「・・・! はぃ・・・! いつか、必ず! また一刀に会いに行きます! この仕事を捨ててでも・・・!」
「せめて、仕事を終えて、上司を説得してからな・・・!」
二人は涙目だったが、笑顔だった。
「・・・じゃ、またな」
「・・・また、必ずです!」
光に包まれる一刀。ルリアはそれを見守る。
「それじゃあ! 俺の新しい異世界人生の始まりだ!」
そして光は収まり、そこに一刀は居なくなっていた。
「・・・・・・いつか、必ずです・・・一刀さん・・・!」
そう呟くルリアの言葉は誰にも聞こえなかった。
次回はやっと異世界です!
今後とも応援よろしくお願いいたします!
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