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いざ 異世界へ!(1)

誤字・脱字があるかも

一週間ぶりに武田家の道場へとやってきたルリア。だが、一週間前とは違う様子に気付く。


「あの・・・何ですか? このダンボールの山は」

「これから異世界に行くんだし。何でもどれだけ入る鞄を貰えるわけだ。日用品を出来るだけ仕入れた」

「に、日用品って・・・こちらは?」

「シャンプーとリンスが入っている。注文したのはどちらも300個ぐらいだったかな」

「さ、300⁉︎ という事は計600個ですか⁉︎」

「ああ、これから一生異世界で暮らして行くんだ。もしかして、あっちではシャンプーどころか、石鹸すら手に入らない可能性を考えてな」

「は、はぁ・・・では、こちらは?」

「醤油」

「お、お醤油ですか・・・ちなみに数は?」

「キッ○ーマンを50本ほど」

「・・・またもの凄い数ですね」

「他にもまだまだ、色々、多数と」

「も、もう結構です!」


一刀は一週間前、ルリアから『マジックバックに入っている物は入れた時の状態で保存されます。もし、あちらの世界で動物を狩って、食料としてマジックバックに入れても。腐る事はありません』と説明を受けていた。


「沢山ありますけど、一刀さん。忘れてませんか?」

「何を?」

「マジックバックは確かに何でも入りますけど、どれだけ入るかは一刀さんの魔力量次第ですよ?」

「・・・・・・・・・」

「その顔。本当に忘れていたんですね・・・」

「だ、大丈夫大丈夫。俺ならいける俺ならやれる・・・」

「そんな焦った顔で言われても・・・」


ルリアは真剣な表情をし、一刀に問いかける。


「これだけの準備。本当に覚悟をなされたのですね」

「ああ、神様が新しい人生くれるっつぅんだ。やっぱそれに乗らないとな」

「・・・分かりました。では、場所を変えます。一刀さんに魔力の使い方を教えしなければなりませんし」

「あ、ちょっと待ってくれ」


一刀はそういうと制服のポケットからスマホ取り出し見つめる。


「・・・・・・・・・」


何かを考え、スマホを操作し始める。五分後、一刀はスマホをしまい、ルリアに向き合う。


「・・・よろしかったので?」

「・・・ああ、これで心残りは無い」

「では、行きましょう」


ルリアが現れた時と同じ光が道場に満ちる。


「・・・・・・さようならだ」


一刀の呟きと同時に光は消えた。ルリアも山積みにしてあったダンボール、そして一刀もだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「もっとだ! もっと急いでくれ! 菊一!」

「これ以上は無理ですよ! お嬢!」

「落ち着いてください! お嬢様!」


住宅街を爆走する高級車が一台。


運転している菊一。後部座席に座っているのは椿と楓だ。


「(一刀一刀一刀一刀一刀一刀ッ!)」


椿の頭の中は一刀でいっぱいだった。

数十分前。椿のスマホにはあるメッセージが届いた。一刀からだ。

椿は送り主の名前を見ると笑顔になり、メッセージを開ける。そこには。


『椿先輩へ

いきなりこんな事を言ってしまいすいません。色々考えてた結果、俺はしばらく旅に出ようと思います。先輩達に何も相談しなかった事を許して下さい。もう、会えないと考え、今まで言えなかったんですが。今、このメッセージで言います。




先輩が大好きでした。


さようなら。


武田一刀より』


「・・・・・・ぇ?」


椿は困惑し固まる。が、すぐに一刀に電話をかけるが、電波が繋がっておらず、コール音すら鳴らない。


「・・・一刀ッ!」


そして、椿は秋葉兄妹に内容を話し、菊一にすぐに車を出すように言い。今に至る。


「お嬢! 着きました!」

「一刀ッ!」


そして、武田に到着するなり車を飛び出す椿。楓と菊一はその後を追いかける。


武田家の玄関に鍵は掛かっておらず。椿達は中に飛び込む。家の中に人の気配は無い。

家中くまなく探すと、日用品やキッチン用具が無くなっていた。


椿の顔はだんだん青ざめていき、最後に一刀の部屋に入る。


「・・・・・・・・・ぁ・・・」


一刀の部屋にはほとんど何も無かった。幼い頃より通い詰めていた一刀の部屋。本棚には一刀の好きな漫画や小説などの本が無くなっており。ベットはそのままだが、布団やシーツなどが無く、タンスの中の衣服も全部無くなっていた。


「「・・・・・・・・・」」


楓も菊一も声が出なかった。


「・・・一刀」


ポツリと椿が言葉を零すと。


「一刀・・・一刀一刀ッ」


そしてだんだん溢れだし。


「うぅうああああぁああああああああああああああああああああああああああああああ」


椿は泣いている。膝をつき、悲しみを抑えれないと泣いている。


「お嬢様ッ・・・!」


楓は椿を抱きしめる。彼女の目にも涙が浮かんでいた。


「一刀・・・いったいお前に何があったんだッ・・・?」


菊一にも涙が浮かび、嘆く。


武田家にはしばらく椿の泣き叫ぶ声が響いた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ここは・・・?」


一刀は真っ白な空間に居た。周りを見渡しても白しか無かった。


「精○と時の部屋?」

「違います!」


すぐにルリアからのツッコミが入る。もうこれも慣れたものだ。


「ここは一刀さん達の世界と今から行く異世界を繋ぐ空間。簡単言うとトンネルです」

「トンネルねぇ・・・」

「到着まで四時間ぐらいあります。その間、一刀さんには魔力の使い方と個人技能(ユニークスキル)取得、そして今から行く世界のルールや常識を教えます」

「四時間で覚えられるのか?」

「着いたとしても、出なければ大丈夫です」

「便利だなぁ・・・」

「では、よろしいですか? 一刀さん」

「ああ、頼む」


ルリアが指パッチンをすると、二人の後ろにイスが出てくる。ルリアは一刀に座るように促すと、一刀もイスに座り。ルリアの魔力講座が始まる。


「まず、一刀さん。魔力は何から生まれると思いますか?」

「いきなりだな。・・・心臓か?」

「惜しいですね、答えは血液です」

「血液か・・・」

「はい。生きている物全員が必ず持ちます血液です。魔力はここから生まれます。ですので、魔力を使いたい時は血液の流れを意識します・・・このように」


ルリアが手を突き出すと、そこから黄色に発色した玉が浮かび上がってくる。


「・・・すげぇ! ホントにすげぇじゃん!」

「ありがとうございます。では、一刀さんにもやっていただく前に、まずは一刀さんのステータスを確認しましょうか」

「ステータス・・・ああ、個人の能力か」

「はい、まずは一刀さんにこれを」


一刀に手渡されたのは一枚の水色のクリスタルで出来たカードだった。


「何これ?」

「それは『ステータスカード』。その人個人のステータスを確認する為のカードです」

「へぇ・・・これ一枚でね・・・」


カードを裏表とひっくり返しながら見ている一刀にルリアが小さな針を渡す。


「これでご自分の血を一滴、ステータスカードに付けて下さい。そうすればそのステータスカードは一刀さんの情報を読み取り、表示してくれます」

「ふむ、どれどれ」


一刀は針で指先を傷つけ、ステータスカードに血を垂らす。すると、カードが光輝き赤色のクリスタルへと色が変わる。


「おっ? 色が変わった」

「ステータスカードは魔力属性によって色が変わります」

「魔力属性? 火とか水とかか?」

「はい。属性は代表的な五つ『火・水・風・光・闇』。ステータスカードはその人の適正属性が色を変えます。火なら赤。水なら青。風なら緑。光なら黄。闇なら紫、と。このように」

「ほぉ、なら俺のステータスカードは赤だから、火が適正なのか」

「はい、実際にご覧になられます。カードを持ち《オープン》と唱えてみて下さい」

「分かった。・・・《オープン》!」


すると、カードが発光し、近未来ディスプレイのようなモノが浮かび上がる。


「お、おぉぉ⁉︎」

「ふふっ、驚きました? 初めてみる方は同じ反応をされます。私からは見えませんが、ステータスが出てきたと思います。それが一刀さんです」


ルリアに言われ、ステータスをみる一刀。



名前:カズト・タケダ

年齢:17

性別:男

称号:


Lv:1

HP(体力):30

MP(魔力量):25

STR(筋力):35

DEF(防御力):20

INT(賢さ):27

AGI(素早さ):40


適正魔力:無


技能(スキル):


個人技能(ユニークスキル):


スキルポイント:0


へぇ・・・と感心している一刀はある一点気づく。


「なぁ、ルリア」

「何ですか?」

「ステータスカードって、適正魔力で色が変わるんだったよな」

「はい。その通りですけど」

「俺の適正魔力・・・無ってなってんだけど」

「えっ⁉︎ そ、そんなはずはありません!」

「いやいや、見てみって・・・見れないのか」

「いえ、一刀さん《公開》と言って頂ければ、私も見ることが出来ます」

「ん、なら《公開》。ほら」


一刀はルリアにステータスを見せる。


「ほ、本当です・・・こんな事が・・・」

「このカード、不良品か?」

「・・・カードが不良品なのは聞いた事がありません。ですから、私もどうしたらいいのか・・・」


ルリアは考え込むが。


「俺は別にこのままでいいぜ、なんか特別っぽいし」

「よろしいので? 本当に不良品って可能性も」

「それならそん時だ。どうせ今から行く世界にあるんだろ? ステータスカード」

「・・・はい。ギルドという場所に。ギルドには新人冒険者用と失くされた方用にステータスカードがあります。もし、不良品だった場合はギルドに申請して下さい。取り替えて貰えると思います」

「おう。分かった」

「・・・それなら」


ルリアはブツブツと自問自答を繰り返し。


「一刀さん。ちょっと予定違いな事が起きましたので、先に個人技能の取得をしてもらいます」

「お、待ってました! って、どうやって取得するんだ?」

「そ れ は これです!」


ルリアはイスを出した時と同じように指パッチンをした。すると、ポンッ!とクジ引き箱みたいな。いや、クジ引き箱そのモノが出てくる。


「・・・・・・・・・」


フフン!と大きな胸を張りながら、クジ引き箱を自慢するように見せてくるルリア。


「・・・・・・ふざけてるのか?」

「ふざけてませんよ⁉︎ 私、本気ですよ!」


一刀は睨みながらルリアの説明を聞く。


「こ、この中には個人技能が書いてあるクジ・・・ごほん! 紙が入っています」

「ねぇ、今クジって言った? 言ったよね?」

「紙です! その紙に書いてある個人技能がそのまま一刀さんのになります。ちなみに、引き直しはダメです! 一度きりのワンチャンスです!」

「・・・はぁ、紙ね・・・」

「もう引かれますか?」

「ああ、どうせ後伸ばしにしても結局は当たるんだ。それなら今引く」

「分かりました。では、どうぞ!」


顔ではクールを装いつつも、一刀は内心ドキドキしていた。これから自分が生きて行く為の武器が今、決まるのだ。


一刀は箱に手を入れ、ガサゴソと掻き回し。


「・・・・・・これだ」


一枚の紙を引く。


「では、拝見致しますね」


紙をルリアに渡し、開き見る。


「・・・これは!」

「な、何だ⁈」


ヤッベェ・・・外れ引いたか⁈ と一刀は思うが、ルリアから予想外な答えが返ってくる。


「おめでとうございます一刀さん! 当たりですよ! 個人技能に当たりがあるかは疑問なんですけど、これは間違いなく当たりですよ!」


キャッキャとまるで自分が当たったかのごとく喜ぶルリアについて行けない一刀。


「ど、どんな技能なんだ⁈」

「これです!」


ルリアが差し出す紙にはこう書いてある。


手剣(ハンドブレード) or 手銃(ハンドバレット):魔法(マジック)


「これは・・・?」

「手剣か手銃のどちらかの個人技能を選べます」

「手剣と手銃・・・」

「簡単にご説明しますね」


ルリアは紙に触れると、ディスプレイが浮かび上がってくる。


手剣(ハンドブレード)魔法(マジック)


手の先からから腕の肘まで魔力で作った刃を纏う。

刃を纏うにはMP30を使用し、効果時間は5分。

刃の強度と長さは自分の最大MP次第である。



技能P:【属性追加】

【形状変化】


手銃(ハンドバレット)魔法(マジック)


指に魔力の弾丸を装填し、脳内でトリガーを引くイメージをし、放つ。

弾丸一発につき、使用するMPは10

弾丸の威力と射程距離は自分の最大MP次第である。


技能P:【弾丸属性追加:攻撃系】

【弾丸属性追加:補助系】


「・・・ベ○ットソードと霊○?」

「確かに似てますね・・・けど、やめて下さい」


ルリアは呆れたようにツッコむ。


「この二つは個人技能の中でもかなり当たり難い、いわばレア技能となります」

「へぇ、レア技能ね・・・」


一刀は頭の中にあった疑問をルリアに質問する。


「これってもしかして、二つ共貰えるのか・・・⁈」

「いえ? どちらか一つですが」

「そうですか・・・」


期待ハズレの返答にがっかりする一刀。


「では、一刀さん。この二つの内、どちらの個人技能にしますか?」

「ふむ・・・・・・」


考え込む一刀。

一刀は祖父に近接体術と射撃術を習い、祖父から免許皆伝を貰いはしたが、剣術は少ししか習得せず、諦める道を選んだ。


(ジッちゃんから剣術習うの諦めたし、近接に持ち込まれたら体術で対応すれば良いし。うん、決めた)


「俺は手銃の方を選ぶぜ」

「本当によろしいので?」

「あぁ、色々考えた結果だ」

「分かりました。では、紙に手を重ねて下さい」

「おう」


ルリアに言われ、一刀は紙に手を重ねる。すると。


「お、おぉぉ⁉︎ 何か光出したぞ⁉︎」

「落ち着いて下さい。今、一刀さんに個人技能を移しています」


光はだんだん弱くなり、消えていった。そして、一刀の目の前にはゲームなのでよく見るログみたいなモノが浮かび上がって来た。


【NEW技能取得!】

《手銃魔法》

→最大MPが上がりました。

スキルポイントが100増えました。

新しい技能Pを解放。

【弾丸属性追加:攻撃系】

【弾丸属性追加:補助系】


「・・・何か色々出て来たぞ・・・?」

「新しい技能を取得または習得しますと。自分のステータスが上がったり、技能Pを解放したりします」

「技能Pってのは?」

「スキルポイントを使い、技能または個人技能の能力を追加、増強させる事を技能Pと言います。簡単に言えば、技能にもレベルがありまして、そのレベルを上げると新しい力が手に入る! みたいな感じです」

「なるほどなぁ・・・」


一刀は頷くとステータスカードを取り出し、自分のステータスを開ける。


名前:カズト・タケダ

年齢:17

性別:男

称号:手銃使い


Lv:1

HP(体力):30

MP(魔力量):80

STR(筋力):35

DEF(防御力):20

INT(賢さ):27

AGI(素早さ):40


適正魔力:無


技能(スキル):


個人技能(ユニークスキル):手銃魔法


所持技能P:


スキルポイント:100



「ブッ⁉︎」


思わず吹いた


「きゃっ⁉︎ ど、どうしたんですか⁈ 一刀さん!」

「い、いや、MPの増えた量に驚いてな・・・」

「え、MPの増えた量ですか・・・? いくつからいくつに上がったんですか?」

「25から80」

「に・・・ッ⁉︎ 25から80ですか⁉︎」

「あ、ああ。やっぱり異常だった?」

「ちょ、ちょっと見せて下さい!」


一刀はすぐさま《公開》を行い、ルリアにステータスを見せた。


「し、信じられません・・・いきなりレベル1で80だなんて・・・」

「普通はどれぐらいなんだ?」

「レベル1で一般的な平均でしたら。大体10〜40ぐらいなんです。一刀さんの場合はレア個人技能の影響かもしれませんが」

「ふぅん。ま、なんにせMPが多い事に損はないぜ。むしろレベル1なら十分すぎだ」

「そ、それもそうですね。では、今から一刀さんには早速手銃魔法を使っていただきます!」


ルリアはそう言い放つと、また指パッチンをする。すると、今度は一刀達から30mぐらいの場所に人型を模った木偶の坊が出て来た。


「今から一刀には、あの人形で手銃の練習をしていただきます。使い方はステータスを開き、手銃魔法の項目を押して、確認して下さい」


そう言うと、ルリアは一刀より一歩下がった。


「あれが的か・・・」


一刀は人差し指と中指を合わせ、まるで拳銃を構えているようなポーズをとり。人形の頭に標的を合わす。


(確か、指に弾丸を装填するんだったよな・・・?)


指に魔力を込めるイメージをしてみる。すると、カチャリと頭の中にリロード音みたいな音が鳴る。


(そして・・・トリガーを引くように放つ・・・!)


バンッ! と音と共に、一刀の指から光る球体が飛び出し、ボンッ!と音が人形から鳴り、頭に人差し指サイズの穴が空いていた。


「・・・すげぇ・・・モノホンの拳銃みたいだ。でも、反動が全く無ぇ・・・」

「今のが、手銃魔法です。技能Pを使えば、さらに威力を高められます」

「これ以上にか・・・!」

「個人技能も無事、取得出来ましたことですし。いよいよ、今から行く世界について教えますね」

「あ、ああ」


思ったより長くなってしまったので、1.2で分けます。


次回の更新は今週末までに出します。

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