老師転生 妄想小話 リーゼがもし老師と出会っていたら
老師転生の妄想小話です!
程々の期待をしながら見てください!(^^)/
それではどうぞ!
~老師の道場~
ある日老師宮本の元に一人の少女がやってきた。
両親に連れられてきた少女はずいぶんとふてぶてしい態度であった。
「こんな態度の娘ですが何とか指導してくださらないでしょうか。
この子は剣道だけは上手いのですが礼儀というものがなっていなくて。
ボコボコにしてやってもいいので何とかなりませんかね」
「なんで私がこんなボロボロの道場で剣道しなきゃいけないわけ。
おかしいですわお父様!」
「なんだと!このくっ...。いや、いいでしょう。この子に指導をして差し上げます」
(クソガキと言うところだった。いかんいかん)
「ありがとうございます!理瀬!今日から指導して頂く宮本師範だ。
くれぐれも粗相のないようにな」
「ちっ...。分かりましたわお父様」
(ちっ、って聞こえたぞこのクソガキが!)
俺はそんな態度をおくびにも出さずに彼女を迎え入れた。
理瀬はずいぶんと目立つ少女だった。
彼女、理瀬は純粋な日本人らしいが、
風貌からして日本人とは思えなかった。
真紅の髪に黒の瞳、顔の作りも彫りが深く外人のようだ。
それでいて中々凛々しい面構えだ。
はっきり言って、もし彼女と同年代だったら、一目惚れしていたかもしれない。
だが俺は青春時代を投げ捨ててこの道を選んだ。
今更遅いと言うものだ。
~理瀬の練習初日~
まずは彼女の実力を確かめてみることにした。
さすがは中々の腕前だ。
同年代では誰も太刀打ちできなかった。
「もっと強い奴はいないの!弱すぎるわ!」
中々に傲慢な奴だ。
少し煽って叩きのめしてやろう。
「俺が相手をしてやろうか。まあさすがに大人には勝てないか(笑)」
「あんたが?正直ただのボンクラ爺だと思っていたけどいいわよ。やってあげる。それと、この街の道場の大人はみんな倒してきたわ。そっちこそ嘗めてかからないようにね」
(ボンクラ爺だと!なんだとこのガキ!ぶちのめす!)
ピリリとした空気の中で俺と理瀬の試合が始まった。
お互い礼をし、構えをとる。
俺は二刀流だが、彼女はどう戦うか、そう思っていると彼女も二本の竹刀を取り、構えた。
(二刀流か、中々珍しい。)
互いが二刀流なんて公式の試合ではめったにお目にかかることはないだろう。
まあ、この道場ではそれが基本だがな。
「始め!!」
合図とともに距離を詰めてきたのは理瀬だった。
かなりの早さだ。
他の弟子たちがかなわないのも無理はない。
理瀬は初っ端から面を決めてきた。
体は小さいのに大人顔負けの面打ちに感心しながらも、摺り足で間合いから抜け出す。
次はこちらの番だ。
力試しに小太刀の方で牽制してみる。
かなりの速度なのだが彼女はすべて回避し、または竹刀でいなした。
「ジジイのくせに中々やるわね。持久戦じゃあんたが不利だからさっさと決めてやるわ」
「そりゃどうも」
彼女の言うとおり、持久戦だとさすがに勝てないだろう。
だが、俺の剣術は一瞬でケリが付く。
相手が本気を出せばそれこそ一瞬で。
理瀬が竹刀を構え直す。
なんていう気迫だ、とても子供とは思えない。
どうやら一撃で決めるつもりのようだ。
刹那、剣線が俺の目の前に降ってきた。
なんという早さだ。
これでは普通の大人が受けきるのは不可能だ。
この速度はもはや高段位の者のレベルだ。
(面白い!実に面白いぞ!)
この歳でこのレベルの技を拾得した者、しかも女がいたとはな。
だったら見せてやるしかあるまい。
俺がなぜ、現代の宮本武蔵と言われたのかをな!
俺は瞬時に小太刀を剣線に割り込ませる。
少女の目が見開かれる。
そのまま竹刀の軌道をずらしながらカウンターに持ち込んでいく。
「面!!!」
パーン!という快音とともに俺の竹刀が理瀬の面を捉えた。
そして審判の面ありの判定が下った。
少女はペタンと尻餅をついた。
(やりすぎてしまったな。理瀬のやつ大丈夫か。)
俺は理瀬に手を伸ばした。
その手をゆっくりと彼女は掴んだ。
こうして理瀬との試合は終わった。
理瀬には嫌われたかもしれない、まあ態度を正すという目的もあるし仕方ないか。俺はそう思った。
~次の日~
(理瀬ってこんな奴だったっけ?)
異変に気づいたのは最初の道場に入るときだった。
昨日はズカズカ入ってきたのに対し、
今回はキチンと礼をして入ってきた。
それに昨日叩きのめした弟子たちに一人一人謝っていた。
昨日はデカい態度だったのに随分しおらしくなったものだ。
それに俺に対しても謝ってきた。
「昨日は申し訳ありませんでした。
恥ずかしながら、わたくし自分の強さにおごっていたようです。
これからは師匠と呼ばせてください!」
「あっああ。では稽古を始めようか」
「えっ!師匠が稽古を付けてくださるんですか!ありがとうございます!」
「いや、今日は弟子たち...。」
「ありがとうございます!では早速お手会わせ願います!」
(話きいてないな。まあいいか、態度もよくなったことだし)
「おう。じゃあ一本だけな」
「はい!では行きます!」
こうして宮本流に一人の少女が加入することになった。
彼女が後に、宮本武蔵の化身と呼ばれ、剣道の全国大会で10連覇という偉業を成し遂げたのはまた別の話。
理瀬は元々赤茶色の髪でしたが、どうしても赤色にしたいと言って勝手に染めてしまいました^^;
両親は温厚な人物で特に何も言わなかったそうです^^;