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春学期の苦難

 読者の諸君はオレについて、以下のように思ったかもしれない。「どうせ、外出しないから、外の暑さを知らないのでは・・・」と。

 たしかに、家の外における猛暑を今年は感じていないが、こんなオレでも春学期はマジメに大学へ通っていたので、どんどんと気温が上昇してゆくという、春から夏にかけての季節の移り変わりをいやいや感じていた。ところが、そのような暑さよりも、ずっと辛かったことが何回かあったので、それらを少しだけ紹介してみたい。

 一つ目は、グループワークであった。履修登録の際、楽に単位を取りたいがために、テストによる評価ではなく、出席点や発表点によって、成績が決まる授業を多めに取った。すると、授業内容は多くがグループワークであった。コミュ障のオレは周りにとけこめなかった。発表の際、「あのー、えーと、そのー・・・」などばかり言って、ひきこもり特性ならではの喋ることすら容易にできない一種の才能を聴衆に知らしめたことは言うまでもないだろう。

 二つ目は、昼食だった。春学期のほとんどが早めに食堂へ行き、ぼっち席を確保し、急いで昼食を食べ終えるのがパターン化していた。そこで、あまり人がいないのにも関わらず、無駄に人目を気にしていたのは何ゆえであろうか。同じことを繰り返しても、慣れることができなかった。ちなみに、ぼっち席は意外と人気だったので、かなり混雑していたような気がする。周りもぼっちばかりであるので、恥ずかしくはないはずだが、自分がぼっちであることに改めて気づかされるような気がして辛かった。

 三つ目はサークル勧誘であった。あれこれ、いろんなヤツらに声をかけられまくった。わけの分からないサークルの勧誘などがあった。マシなサークルのヤツらはチラシみたいなものを渡してくるだけだが、時々ものすごい不気味なオーラで勧誘してくるヤツらもいて、目があったら話しかけてくる。しかも、ずっとヤツらは喋りかけてくる。オールラウンドサークルだ、とか言ってきたが、実際のところ、単なる宗教団体だ。宗教勧誘だなんて恐ろしすぎるぜ。ピュアな新入生をつかまえて強引に入会させる。ああ、ヤツらは来年も再来年もまた再来年も、同じことを繰り返すのだろう。だから、危険な新興宗教に若者が毎年、入ってくるのだ。

 このような苦難を乗り越えた先に、やっとユートピアが現れたような気がする。ここ最近、夏休みが始まってからはエアコンとPC完備の快適な六畳の自室からメシの時以外は出歩かなくなっている。というより、むしろ抜け出せなくなっている。いつも昼(早くて正午、遅くて十五時くらい)に起床し、一階へ行き、リビングで母が作った朝昼兼用食をいただいている。

 母には本当に感謝している。オレが何もせず、自室に引きこもっているだけなのに、メシを出してくれて最低限の生活を保障してくれている。こんな希望のない息子のために・・・

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