オレについて
大学生という肩書きの自宅警備員、すなわちひきこもりであるが、一応のところは学生であるということだ。それが今のオレを表すのに最もふさわしい。
オレはもともと、内気なヤツであった。もちろん、今もその通りである。日本では、どこにでも見かけるような一般家庭に生まれ、小学生時代はゲームをしまくっていた。中学生の時も同様であった。
高校生の時は、周囲を見渡せば、「カラオケ行かない?やっぱりボーリング?」などを言う遊んでばかりのヤツら、さらにはイチャつきやがっているバカップルなどなど、様々なリア充たちがいた。オレは友達こそ三、四人はいたがリア充のように派手に遊ぶヤツらではなかった。
見ただけで、キモオタだと分かるようなヤツらだった。髪はモジャモジャでおそらく寝グセであった。歯を磨いてはいないので、白い歯はなかった。黄色い歯ばかりであった。そして、全員がメガネであった。メガネといっても、チャラ男仕様のものなど多々あるが、彼らのものは正真正銘のオタク仕様であった。オレは彼らと昼休みなどの長時間の休憩時に、アニメなど適当に共通の話題を作って暇つぶしに話しかけていた。また、体育の時には、先生から「グループを作れ!」と言われても、彼らしかオレには仲間と言えるヤツがいなかったので、運動神経ゼロのオタクグループが毎回、結成されていた。
もし、彼らの内、誰かが「助けてくれ!」と言い、崖から落ちそうになっていたとしても、オレは自らも足を滑らせて落ちてしまう危険性を考慮し、手を差し伸べてやることは断じてなかっただろう。偶然、彼らに出会ったとしても、その程度の仲だと思う。
このように最低限度の人間関係以外は断ち切って生きてきた、言わば社会不適応者とも思われるかもしれないオレは大学生になった。大学一回生の夏休みのとある日が今、オレが生きている時間だ。カレンダーで確認してみると、今日が八月であることが分かる。しかし、日にちまで確かめようとはしない。というのは、毎日が単調であるから、細かい日付など全くもってオレには興味がないのだ。
本当のことを言うと現在、真夏であるということすらオレには、よく分からない。自室にいる限り、ちょっぴりとした暑さすらもオレには感じることができない。暑くないというよりも少しばかりか寒いような気がする。PCのお天気アプリで現在の気温を確認すると、自宅が位置する都内近郊の某市の気温は三十八度。ぐえっ!干からびて死んでしまうんじゃないのか?
もうお分かりだと思うが、夏休みが始まってから一切、家から一歩も出ることはなく毎日、自室で一日中エアコンをつけっぱなしにしているのだ。ちなみに、今のオレは自室からも一切、出ないタイプではないので、究極の引きこもりではない。昼、晩の二食のために二階の自室から、一階のリビングへ移動するのは近頃の日課のひとつだ。