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07話:ミートスパ

 結局、私はシーツを干した後もがんばりまくって服の(たぐい)をすべて洗い、布団を干したのだった

 初日にそれだけ働けばおなかが空くのも当たり前

 私は小さな音をたててなるおなかを抱え、廊下を歩いていた

 時計を見れば12時を少しすぎたあたりを指していた。昼ごはんの時間が過ぎているのがわかったからか、よけいに空腹を覚えてしまう

 (うぅ、花の女子高生なのにこんなにお腹がなるなんて、恥ずかしいなぁ)

 などと恥じてみても、空腹を訴えるのに忙しいお腹はそんなことは気にもせずに、ぐーぐーと控えめとは言い難い音で抗議してくる

 ここが人気(ひとけ)のないトコで本当によかった。聞かれる心配しなくていいんだもん

 そういえば魔王城なのに人が全然いないけど、大丈夫なのかな。もし勇者とか攻めてきたら大変なことにならないのかな? 私としてはあんな魔王は倒されても気にしないけど、魔がつくけど一応は王なんだし勇者に倒されたら困る人いるんじゃないかな


 つらつらと考えているうちにいつのまにか私は食堂にたどり着いていた

 食堂は扉がなく開きっぱになってるから、すぐに中が確認できて間違えなくてすむのがいいわ

 あいかわらず無駄に広々としている食堂の中を、入口からこっそりと覗いて変な人(主に魔王)がいないか確認をする

 右よし、左よし、安全よし!

 十分に安全マージンをとっての行動だが、私はまだ朝に着替えを見られたことを忘れてはいない。あれは許すまじ行為だ

 誰もいないことを確認してから、部屋の中へと入っていく。確か例の謎冷蔵庫はこっちにあったっけ? うろ覚えな記憶を胸に置くの部屋へと向かう。物が多いのにしっかりと整頓されているので、ごちゃついた印象のない調理室の片隅には朝に見たのと同じ冷蔵庫が置かれていた

 後を覗いてみるけど、どこにもコンセントの類はない。いったいどこから電気がきてるだろう?

 そんな不思議な冷蔵庫を開けると、中にはリクエストした通りのミートスパゲッティがあった

 

 「わぁ、本当にミートスパだ」


 白い丸皿の上には山盛りのミートスパ!

 濃い黄色の麺を覆うように、具たくさんの紅色のミートソースがかかっている。まぶされた粉チーズの香りが鼻をくすぐる。

 料理が盛られた皿を手に取ると、ほどよく冷めたぬくもりが手に伝わってきた。本当に美味しそう。食べれるという期待にお腹の音が一層大きく鳴った


 「いただきます」


 こぼしてしまわないように、丁寧に両手で持って食堂の方へと運ぶと、手を合わせてからミートスパを食べ始める

 しっかりとした濃い味の肉汁を惹き立てて、さっぱりとした酸味のきいたトマトソースがはっきりと口の中で主張している。噛むたびに舌の上で転がる肉と野菜の粒が一瞬混じり合って深い味わいを醸し出す。具材はよく炒められているのか香ばしい後味が喉の奥にかすかに残った

 スパゲッティは少しゆで過ぎなぐらいに柔らかく、よくミートソースを絡めてあげている

 タリアテッレ・アッラ・ボロネーゼなんぞ糞喰らえだ。ミートソースにはふにゃふにゃなスパゲッティこそ至高! スパゲットーニ(2mm)でもなく、スパゲッティーニ(1.6mm)でもなく、スパゲッティ(1.8mm)! 毒々しいほどの赤いミートソースが最高! 赤ワインのラグーなんて気取らずに、なんならケチャプでもいいと思う。異論はこれを食べ終えた後に受け付ける!


 私はお行儀悪く口周りまでソースで真っ赤にしながら、ミートスパを堪能し終えると、皿を洗ってから冷蔵庫の中にと戻した。

 言われたとおりにしてるけど、本当にこんなところに収納してもいいの? 疑問に思いながらも、冷蔵庫の棚に皿を置くと、ドアを閉める。パタンと軽い音は、食事の美味しさの太鼓判を押してくれているようだった


 「さて、午後からもがんばろうっと!」


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