The 1st movement. 『尊き命の歌』
こうセリフだけの小説を見ていて、どこまで表現できるかな?と試してみたかったのです。
銃騎士物語の間章で出てきた例の青年の話です。
まあ、正確には彼と相方が語る物語なんですけどね。
「これより歌うは想いを継いだ少女の物語」
「戦火に曝された時代を生き抜いた一人の少女の物語」
「歴史に語られる彼女は凛とした戦場の華と呼ばれたが」
「そんな彼女にも呪うような苦しい運命があった」
「聞く耳有らば彼女の辿った運命を聞き届けて欲しい」
「とある国ととある国」
「戦乱の最中であった」
「小さな村にて村医を営む父と娘」
「何の不自由も無い生活にも戦火の影響はある」
「彼は医者」
「軍医として徴収されていく」
「一人娘の少女を置いて」
”待ち続ける 必ず帰るという言葉を信じ”
”暖季を過ぎ 乾季を超えて 未だ帰らぬ人”
”孤独な時間 あなたを想い 星に祈り 朝日に願い”
”いつ帰るとも 判らぬまま 無事を信じ 続けた”
”雨止みし後 掛かった虹に 誓った約束を”
”生きて帰る その言葉を 信じ続けた”
「やがて戦乱も治まり」
「国も一時的に平穏を取り戻すも」
「彼は終ぞ帰ることは無く」
「彼女は父を探す旅に出た」
「我が父が如何にて帰らんと唇を噛みしめて」
「少女は終に旅に出る」
”孤独に耐えきれず 家を飛び出して”
”彼の無事を 信じ歩いた”
”雨降る夜も 風強き日も いくつもの町や村を”
”挫けそうになっても たった一人の家族”
”生きていると信じ ただ歩き続ける”
”故戦場へ 向かい 擦違う人に”
”父親を 尋ね歩いた”
”降り始めてた 小さく白い 雪を仰ぎ見ては”
”溢れる涙を 汚れた袖で拭い 前へ前へ向かい 歩き続ける”
「戦場付近の小さな村」
「戦火に曝され半分焼け落ちた村」
「少女が辿り着いたのは偶然だった」
「父親に治療して貰ったという兵士」
「彼からとある村に父親が居る事を知らされる」
「そこに彼は居た」
「両の腕を失って」
”なぜ 父様 貴方は腕を 失ってしまったの?”
”なぜ 父様 貴方は床に 臥せっているの?”
”誰のせいで 苦しんでいるの?”
「少女の父親は戦場で負傷兵を敵味方問わず治療を施した」
「上官には非国民と罵られ両の腕を切り落とされた」
「臥せって居たのは腕の傷の感染症のせいだった」
「助けを求める多くの者を救う事を何故良しとしない?」
「反抗心では無く純真なる願い」
「少しでも多くの人が助かるように願った結末」
「――サーシュリア、誰も恨んではいけないよ?」
「誰の所為でも無いからね」
”落ちる涙を 拭おうとも 腕無き彼に 術は無い”
「自分の信じた事を誇りに思い、生きなさい」
”落ちる涙を 拭わない 今逝く貴方を 見届ける”
「お前はお前の信じた道を行きなさい」
”落ちる涙を 噛みしめる 親しき人を 看取る為”
「父様、貴方の意志を立派に継いでみせます」
「ああ、ありがとう」
「良かった……私は間違ってはいなかったのだな――」
”涙を堪えて 笑顔を浮かべる”
”貴方が辿った道は間違いじゃないと”
”貴方が最期に 示してくれた道は”
”困難な道だろうと 逸れる事は無い”
”大切なしるべは 絶えず 胸にある”
「例え父様と同じ道を辿ろうともこの遺志はけっして曲げない」
”大切な物は この胸に宿る 遺志”
「たとえこの身が戦火の中に投げ出されようとも」
”大切な物は 尊きモノを護る 意志”
「斯うして少女は戦場の華、ラーグリアのティラナ(※1)と呼ばれるようになる」
(※1:小さい白い花、野草で華美な花の引き立て役として添えられる)
結構自分で校正はしているのですが誤字脱字が多い性分です。
誤字とか脱字があったらご指摘いただけたら幸いです。
大変読み辛い物に成った気がしますが、書き切ってしまったのでアップしてしまいました。
偶には詩のような物を書くのも良いですね。
賛否両論でバッサリ切られそうですけど……。
それでは次回が有ったらよろしくお願いします(ぺこり)




