表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Quaint Quest  作者: 文芸開花
3/12

第2話 竜の鱗

 ――翌朝。あたしと少年は海岸をはなれ、人々のいる街へ向かっていた。


 結論から言おう。


 あたし達は見事魚を捕まえた。それも結構大きくて、ウロコを見てみると、これが竜のウロコです、と言えば信じてもらえそうなくらい立派だった。


 しかし……


 いや、捕まえたは捕まえたよ?


 いやいやしかし……その過程が……お、大人気無さすぎたというか……。


 はっっ!! つ、つい本音が……あたしとしたことが。仕方なく正直に白状しよう。


 必殺! “開き直り”!




 昨日、あたし達は夕陽を眺めた姿勢のまま、微動だにせず、ただ座っていた。


 ――ただのバカだった。


「……ねぇリースさん……」


 さすがに何時間も無言不動でいることに疲れたのだろう、少年は口を開いた。


「何よ……」


「そういえばさ、僕ネット……つまり網?持ってるんだよね」


「……」


 無言のまますくっと立ち上がるあたし、右手には固く握りしめたリュート。


 どがっばきっどっごーんぴゅっご――ん


「ふみゃー。痛いよー。僕こんなに殴られたの初めて……」


「何でいままで言わなかったんだよこのクソガキが!!」


 それにしても本当にこの少年タフよね。こんなに殴ってたら結構な傷負ってるはずなのに……もしかし

て、見えないところでダメージが蓄積してるのかな? だったら、殴るの止めないとやばいかな? 死んじゃうかな?


「え……。だって気付かなかっ」


 どかっどごっひゅっどがっぴゅーんきらーん☆


 はぁ、はぁっ。き、気付かなかっただと? どんだけヘタレなんだよあのガキ。そして前言撤回、あの

少年なら殺してもいい気がしてきたわ。


 …っていうか、あのガ……少年がいないような。そういえばさっききらーんって音が聞こえたような。


 と、その時。


「りぃぃいすさああ――――ん!!」


「ぎゃあああああ!!」


 何と空から少年が。


 どがっ。


 直前で避けたあたしの真横で少年はあえなく地面に激突。


「いったぁぁ…。僕リースさんのせいで火星見てきちゃったよ全く」


「いったぁで済むの!? しかも火星って何よ!? 何でそんな所まで行くの!?」


「うーんなんかリースさんと同じ顔の人がいっぱいいたぁ」


「ぐぇっ! キモッ!!」


「まぁ、それはどうでもいいんだよ。それより、はい、網」


 どうでもいいんだ。というか大気圏突破してまた戻ってくるなんて。基本、不死身ってことね。


「あ、そうよ。忘れてた。っていうか何であんた網持ってんの?」


「ハンモック用」


「……」


 聞いた? パンも持ってないくせにハンモックは持っているんだって。


 おかしいね? 


 でもここはあえて突っ込まず、


「……まぁ、とりあえず貸して?」


「はい、どーぞ」


 左手でハンモック用網を受け取り、リュートはとりあえず横へ。


 両手でしっかり持って、深呼吸して……はい。


「どりゃぁぁぁぁぁ!!」


 ぴゅ―――ん、ざぱっ


 でぃっぷ ざ ねっと いん おーしゃん


 続きまして―――!!


「どぉらぁぁぁぁあ!!!」


「リースさん、それは魅惑のリュート弾きと自称してる人が叫んでいい台詞じゃないと思うなぁ……」


 少年が何か言ってるけど聞こえない聞こえなぁい。


 ぴゅーん、どん、ぴちぴちぴち。


 ふっ……あたしにかかればこんなもんよ。あたしってば天才……?


 あっというまにおさかなさんがいっぱーい。


 うん。これなら食料にもなるし、いいわね。


 あー、いい仕事したわぁ……。まるで不審者を見るような目であたしを見ている少年の横であたしはひ

たすら満足気な笑みを浮かべていた。




 ただいま魚のウロコを選別中です。


「さーて、どの魚のウロコがいいかなぁ…って何だこの魚は! 尾ビレバタバタさせんな!」


「お魚さんに言っても無」


「お黙り」


「……。あ、この魚でいいじゃん! ウロコも大きいし」


「よし、剥ぎ取るか」


 %∴◇※@&(剥ぎ取り音は割愛)




 ――数分後


「なかなかいいウロコね」


「おっきーい!!」


 普通の魚の10倍以上はありそうな大きなウロコを見つけた。


「あ! 他の魚は食べちゃおうか?」


「食べるぅ!」


 焼くなり煮るなりして『魚のフルコース 貧乏風』が完成。


「いっただーきまーす!」


 ……何なのこの不味さは。確かに料理はサラダしかできない。だけどこれは食べ物の域を超えた……


「りぃ…す…さん…」


「きゃあぁぁぁぁぁ!!」


 何か死にかけてるよ!! あたし人を殺すのは好きではないのよ!! しかも料理で!


「生きるのよ!!」


「……うぅ……ところでリースさん……ウロコは誰に渡すの?」


「えっと、村長かしら。ウロコを持って帰れば盛大な宴を開いてくれるのよね……むふふ」


「顔にやけてるよ?」


「きっと酒も大量よ…いひひ」


「ちょっとリースさん……」




 村に着いたはいいけれど、村人と顔合わせるのは気まずい。


「村人に見つからないように村長の家に乗り込むのよ!」


「らじゃー!」


 という訳で匍匐前進で村の裏道をせっせと進行中です。


 と、その時突然何かにぶつかった。


「いった!! 何?!」


「うわっ、リースさん急に止まらないでよぉ…」


 本当に何なのかしら!! あたしにぶつかるなんて1000000年早いわ!!!


「ご……ごめんなさい」


 んっ? 子供? しかも女の子?


「あ、いいのよ? 謝ってくれれば」


「本当にごめんなさい、あれ? ……あの、前に会ったことありませんか?」


 うっ! ここでバレるわけにはいかないわ。あたしの計画が潰れるなんて、あってはならないことよ!!


「気のせいじゃない? ねぇ?」


「……」


 いつもテンションの高い悪ガキが黙っているなんておかしいわ……


 何かあったのかし


「かわいい!! 名前教えて!! 友達になろぉ?」


 え゛ー……。そういうことか。色気づきやがって!


「う、うん。アーシェっていいます」


 君もそういう反応なのね!!? あたしなんか友達ほとんどいないのに……


 友達ってそんなに簡単に作れるの? ねぇ、教えなさいよ! ねぇ!!


 ってこんなこと考えてる場合じゃないわ。


「ところで、村長さんの家まで人目につかないように行く方法ある?」


「私の家の地下から村長さんの家の隣の庭に行けるので使ってください」


「さっそく行くわよ!」


「らじゃー!!」


うぅむ……待て、燐音。まだ切るところがあったはずだ。

もうちょっと適切な箇所が……


という訳でちょっと半端な所で切れていますすみません。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ