第11話
長らく間が開いてしまいました。
続編も出来たことですし、こつこつと。
あたしはエルフの血を引いている。そのせいかもしれないがいつも不運に見舞われていた。中退させられたときもそうだったけど、それ以上のことだって幾度かあった。
例えば、母親が死んだとき。
中退したあたしは母親と共にエルフの村で暮らしていた。お母さんはエルフじゃなかったけれど、お父さんの生まれた村だからと、そこを離れようとしなかった。どんなにエルフの迫害が強まっても。
そして、その然るべき時は着た。村の焼き討ちだ。
あの夜、火をつけてる帝国の兵を見たとき何もできなかった。
あたしは友達とこっそり家を抜け出して星空を見に来ていた。あの兵を見かけたその瞬間あたしは凍りついた。友達があたしの手を引き、背の高い岩の裏に隠れる。動き出す兵、辺りに撒き散らされる液体。あれはきっと油だ。そして、全ての家の鍵を開かないように魔法か何かで細工していく。音も無く風に舞う兵の赤いスカーフ。
「僕行かなくちゃ」
友達は耐え切れなかったのか、その意味を知らずか岩の裏から抜け出し兵の方に何かを叫びながら突っ込んでいった。あっけなく捉えられる友達。
そのまま殺される。音も無くあっさりと。今度こそ動けなくなり少しだけ覗かせていた首を引っ込めた。それから、念入りに自分の姿が透ける魔法をかけた。何度も何度も。
そんな時、兵の一人がこちらに来た。透けているはずなのに、彼はあたしに笑いかけ、きっと助けるよと囁いた。なんとなく彼は本当に助けてくれる気がした。
でも、それはすぐに破られる。いきなり魔法が飛んできた。彼の手に握られた小さめの杖。あの笑顔は嘘だった。あたしはぎりぎりでそれを避けそのまま走り出す。多分あの人に魔法は通じない。とにかく走って走って走り続けた。
気づいたら、あの村の近くの山の上だった。村はもう既に火の中に投じられていた。