プロローグ
こんにちは、文芸開花です。
副部長の燐音がお送りいたします☆
この小説『Queint Quest』は、文芸部の約半数の部員によって書かれたリレー小説です。
文章など拙い所も多々ありますが、どうぞよろしくお願いします!
それでは本文どうぞ!
440年 帝国
「――――!!」
僕の悲鳴は恐怖で声にならず喉で消える。なんせお父さんを殺したやつの一人が近づいてきたんだから。見た目は可愛らしい少女で、金髪を二つのおさげにしている。顔だってどこか気弱そうな感じが拭えない、そんな感じだ。
でも、信用できる訳が無いじゃないか。どんなに可愛くたって僕にとっては敵でしかないんだから。それなのに、彼女は僕を見つけると優しく頭を撫でてくれた。たまにお父さんも僕を撫でてくれたけど、その手は硬いウロコに覆われていてガサガサしていた。たまに突起が頭の柔らかいところに当たって痛かったっけ。一方彼女の手は暖かくてとても柔らかくて、少し泣きたくなってしまった。
お父さんはよく敵の前で弱みを見せるなって言っていた。小さくてもそれくらいできるだろうって。その言葉がなければ危うく泣いていたよ。
「もう大丈夫だよ。私たちが助け出してあげるからね」
彼女はそう言って僕の背にあわせてかがむ。顔が一気に近づいてきて、そこには微笑みが浮かんでいた。穏やかな優しい笑みが。それがさらに僕に安心を与え、涙腺を緩める。
と、そのときふと違和感に突き当たる。どうして、竜の子供の僕にこんな優しくしてくれるんだろう? 彼らはお父さんを殺しに来たんでしょ?
「安心したのかな? 竜って怖いもんね。こんなところに捕まえられて怖かったよね……」
そっか、彼女には僕は普通の人にしか見えないんだ。お父さんが最後に魔法をかけてくれたから。彼女にとって僕は捕まえられた少年にしか見えないんだよね。
「竜、怖くないもん」
「そっか、怖くないのか」
人を食べたりするってみんな勝手に思ってるけど、そんなことは無い。僕たちは野に生きるものしか食べない。人間なんて本当は全く美味しくないんだ。彼女はそこのところ分かってるのか分かってないのかはよく分からないけど、それでも「うん」って言ってもらえるだけで嬉しくなる。
「レシィ、こいつをどうするんだ? 俺らには余計なことをする暇なんて無い」
「そんな……だって、救出するのは人として当然ですよね?」
彼女――レシィさんはお父さんを殺した張本人にどこか震えた声できく。
「当然? だから何だ。こいつを救った所で何のメリットがある? それにお前は俺に指図出来る程に偉
いか?」
そいつの顔は暗闇のなかで影になって全く見えない。それでも僕には分かった。こいつは竜を倒したときみたいに気持ち悪く笑ってるんだって。大好きなんだ。こういう風に誰かをいじって困らせるのが。
「すみません……。でも」
「でもも無いわね。だいたいあなたはルインのために付いてきてるんでしょ? それに今までのことで分かっているわよね? こんな職業の人間なんて、世界で一番愚かってこと。何も出来なくて、戦うことでさえも一流じゃない奴、つまり下らない奴が落ちる道だって。彼もそうなのよ。諦めなさい」
「おまっ……」
「あら、事実でしょう?」
もう一つの綺麗な女性の声は面白がるように、言う。そして、私はそれを知っていて貴方を愛してるのよねぇと、付け加えた。ルインの声がしばらく消える。彼の息遣いさえも速くなって行くような感じがした。
「ていうことで、諦めな」
「……はい」
レシィさんは蚊の鳴くような声で呟いた。口だけでごめんねと動かすのが暗闇だというのによく見えた。
――行っちゃった。みんな行っちゃった。僕から全てを奪うだけ奪って行っちゃった。僕を一人残して行っちゃった。ひどい、ひどい、ひどい、ひどい、ひどい、ひどい。僕はなんにも悪くないのに? どうして、ねぇ? ねぇ!!
今回はプロローグということで少し短めです。
原稿自体は出来ているので、あとは燐音がちょこちょこ手直しして上げていく予定です。
そのため燐音の暇人度、気分により更新速度が変わるかもしれませんが見捨てないでやっ……ていただけると喜びます←
感想は厳しいものも優しいものも常時受付中です!
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そして余談ですが、燐音はこのサイトで「凜月波音」という名前でポケモン不思議のダンジョンの二次創作を書いております。
更新は遅めですが、興味と暇がある方は是非足を運んでやってくだs((宣伝自重
それでは。