番外編 ５ 上
喫茶店下の海
「…釣れねぇ」
依頼不足により、ついに金が尽きたメタル達
そのため食料が無いので釣りに来た
「しっかり釣れよ！今月のメシが掛かってんだからな！！」
怒鳴る金田
「怒鳴るなよ…、俺とガルスだって頑張ってんだから」
「釣れないけど」
「何で釣れないんだよ…」
ヒュッ！！
「ほら釣れた」
魚を持ち上げる金田
「俺なんて入れ食い状態だぞ」
「何で釣れるんだよ…」
「精神を統一し、魚を引き寄せるんだよ」
「節約とメシのために」
「どちらかというと節約のためだろ」
「まぁな」
「じゃ、この釣り場は譲ってやる」
「良いのか？」
「ああ、しっかり釣れよ」
「俺は向こうで釣ってくるから」
歩いて行く金田
「よっしゃ！釣るぞ－！！」
ヒュッ！！
「変な物、釣るなよ」
「そんな下手な…」
ザパァン
「…」
メタルの竿の先には緑のアレ
ヘルメットを被っており、服はダイバ－服
「…好きで釣られたんじゃないんです」
「ただ、俺の餌を盗りまくってるんで…、ちょっと説教をしてやろうか、と…」
ザパァ－－－ン！！
「…何か見た？」
「いや、何も」
「そうだよな…」
ヒュッ！！
「そりゃさ－、変な物が釣れるのは予想内だぞ？」
「でも川の主とか来られちゃ…、ここは海だし」
ザパァン
「いや、本当」
「好きで釣られたんじゃなくて…」
「問答無用で人を帰すのは、どうかと…」
「話ぐらいでも」
ザパァ－－ン！！
「…ここは海だよな？」
「はい、海です」
ザパァン
「いや、海にもカッパは居るんですよ？」
「「居る」って言うか…「餌を採りに来てる」みたいな？」
ザパァ－ン！！
「…魚、釣れないな」
「そうだな」
ザパァン
「「魚」って言うけどねぇ！アンタ達の友人さんが釣っていくから！俺のメシもねぇんだよ！！」
「いい加減にしろよ！このバカにヘタレイケメン！！」
「ほう？」
「「バカ」に」
「「ヘタレイケメン」と？」
「あ…」
数十分後
メタルとガルスの前に座らされているカッパ
「あの…、ちょっと…、本当にすいませんでした」
「まさか、アナタ達が上の喫茶店の従業員さんとは思わなくて…」
「本当か？」
「いや本当！知らなかったんですって！！」
「何で海に？」
「餌を採りに！！」
「本当に？」
「…いや、すいません」
「時折、海に吹っ飛ばされてくる人から食い物とか金目の物を奪うために…」
「結構、黒いな」
「すいません…、食い物がないんです」
「そうだ！！」
「どうした？ガルス」
「良い事を思いついたぞ！！」
「何が？」
「ウチで働け」
「そしたら食い物ぐらいは面倒見てやる」
「本当！？」
「ああ、本当だ」
「ちょっと！ちょっと！！」
ガルスを岩陰に連れ込むメタル
「良いのかよ！？」
「何が？」
「勝手に決めて！金田が切れるぞ！？」
「それに、俺達も金に困ってるのに！！」
「良いって！良いって！！」
「俺が何の策も無しに、こんな事すると思うか？」
「思う」
ゴッ！！
「ガルスさんの…、すばらしい策を見せていただきます…」
「ゴフッ…」
「よろしい」
「何の話で？」
「ああ、気にしなくて良い」
「さて、先刻の条件…、呑んでくれるかな？」
「はい！勿論！！」
「ありがたいぐらいで！！」
「もう１つ条件追加だけど」
「へ？」
「「言葉遣いを直す事」」
「それが条件」
「言葉遣い？」
「女らしい言葉遣いにしろ」
「それが条件だ」
「…ッ！！」
「女ァ！？」
「うるさいぞ、メタル」
「気付けよ」
「いや、無理だろ」
「何処からどう見ても、男…」
「言葉遣いの所為だろ」
「そのヘルメット、取ってみろ」
「はい…」
サラッ…
ヘルメットの中からは長髪
「…ほう」
そして美顔
（コレは使える…）
「何を笑ってるんだ？ガルス」
「いや、何でもない」
「素顔になるのは何年ぶりやら…」
「この状態は慣れないんですよ」
「ヘルメが有れば大丈夫なんですけどねぇ…」
「言葉遣い」
「あ、ごめんなさい」
「私、素顔になるのは久しぶりで…」
「それで良い」
「さて、帰ろうか」
「え！？釣りはぁ！？」
「もう良い」
「釣りより、遙かに効率が良いんだよ」
「何が？」
「この策は」
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