番外編 4
ズズズズ…
喫茶店でコ-ヒ-を飲んでいるオキナ、アオシ、アメ-ル
そして皿を洗っている金田と寝ているメタル
「そう言えば…」
「どうした?アメ-ル」
「この店って、色んな仕掛けがあるんだよね?」
「ああ、有るぞ」
「イトウさんが問答無用で作った仕掛けが」
「…うん」
「で、どんなのが有るの?」
「そうだな…」
「まず自爆ボタンだろ、次に自爆ボタンで、さらに自爆ボタン」
「要するに自爆ボタンだ」
「結局、全部、自爆ボタンだね」
「まぁ、そうだな」
「実は俺もガルスも、勿論、メタルも何のボタンが有るかは詳しく知らないんだよ」
「えぇ!?そうなの!?」
「初めて使ったのが自爆ボタンだったからなぁ…」
「それ以来、怖くて押してない」
「まぁ、そうだろうね」
「賢明な判断だ」
「それにしても…」
カウンタ-の中には幾つものボタン
「…気にならない?」
「…なる」
「この1ボタンは自爆スイッチだから、気をつけろ」
「2と3も、な」
「う、うん…」
「4を押して良い?」
「ああ、押して良いぞ」
「買い物に行ってるガルスが怒らない程度なら」
「それじゃ…」
ポチッ…
4ボタンを押すアメ-ル
ゴゥン…
「何をしてるんだ?」
身を乗り出すオキナ
ガタッ
「あれ?オキナは?」
「先刻まで居たのに…」
ダァァァァン!!
「あああああああ!!」
バシャァ-…ン
むなしく響くオキナの悲鳴と水没音
「…さて、次のボタンだが」
「いやいやいやいや!!」
「危ないよ!!」
「…尊い犠牲だったよ、オキナは」
「ボタン1つで死人が出るのか!?この店は!!」
「…それは、イトウさんに言ってくれ」
「残るボタンは2つ」
「Death or deathだ」
「両方「死」じゃん!!」
「…メタルを実験台にしよう」
「良いの!?」
「死なないと思う」
「働かず、寝てるのが悪い」
「…本当に良いの?」
「大丈夫だ」
「じゃぁ…」
ポチッ…
5ボタンを押すアメ-ル
スパァン!!
短く、空を切る音が辺りに響く
「…へ?」
ハラッ…
アメ-ルの衣服が地面に落ちる
「うわぁあああ!?」
「ナイスだ、金田」
金田の手を握るアオシ
「…とりあえず、何か着させよう」
「うぅ…」
数分後
「で?何の仕掛けだったの?」
「僕の服を脱がす仕掛けって…」
「いや、違う」
「アメ-ルの服が脱げたのは偶然だ」
「…?」
「見ろ」
アメ-ルの後ろのイスに鋭い針が刺さっている
「…コレだ」
「コレがアメ-ルの服を斬った」
「危ない…!!」
「僕が数㎝、横に居たら直撃だったって事!?」
「…まぁな」
「もう止めよう」
立ち上がるアオシ
「危険すぎる」
「アメ-ルを危険にさらすわけにはいかない」
「アオシ…」
「アメ-ルの裸を見れたのは本望だ」
「だが、しかし!俺は俺のやり方でアメ-ルを脱がす!!」
ポチッ
静かに4ボタンを押すアメ-ル
ガシャァン
ダァァァァァァン!!
「あああああああ!!」
「…さて」
(問答無用でアオシを吹っ飛ばしやがった…)
「最後のボタン、押そうか」
「良いのか?」
「危険だぞ」
「うん!「好奇心に勝る危機感は無し」ってね!!」
「…名言だな」
「それじゃ!!」
ポチッ
6ボタンを押すアメ-ル
ウィィィン…
「ん?イトウさん?」
机からイトウの立体映像が出てくる
「…まずは謝らないといけないな」
「このボタンが押されたと言う事は、数人の犠牲者が出たと言う事だ」
「幾ら、お前達の家とは言え…、危険な装置を作った事を許して欲しい」
「イトウさん…」
「謝罪の品…、と言っては何だが」
「コレを受け取ってくれ」
フワッ…
喫茶店の中に大量の花片
「綺麗…」
「全て立体映像か…」
「綺麗な花片だろう?」
「この映像は自信作だ」
「…まぁ、こんな綺麗な花片ならボタンは許しますよ」
「良い仕掛けだ…」
花片に見とれる金田
「…最後に、金田」
「え?」
ウィ-ン
小さなボタンが出てくる
「押してくれ」
「は、はい…」
ポチッ
「自爆装置、発動します」
「残り3分」
「…」
「2分59秒、2分58秒…」
「…通帳、ハンコ、その他を取ってくる」
「僕は荷物運びを手伝うよ」
2分後
喫茶店の外
「ふぅ…」
「まぁ、こんな物かな」
「ゴメンね…、僕のせいで」
「構わないさ」
「誰も、あんな綺麗な立体映像の後に爆破予告が来るとは思わないから」
「それに…」
「「それに」?」
「慣れてるし」
「慣れてるんだ…」
「30秒前…」
「ああ…、4代目喫茶店もお別れだな」
「…あれ?」
「どうした?」
「メタルは?」
「やばい…ッ!!」
店の中に走っていく金田
「金田!!」
「心配ない!!」
「すぐに戻る!!」
(死亡フラグだよ---!!)
喫茶店
「メタル!!」
「ほぁ?」
「起きろ!店が自爆する!!」
「またかよ!?」
「急げ!!」
ガタガタガタ!!
「2秒前」
「間に合うか…!?」
「1秒前」
カチャン!!
ドアに手をかける金田
ピ-
「…ッ!!」
シ-ン…
「は?」
「冗談は受けたか?金田」
立体映像のイトウが爆笑する
「コレは録画映像だが…、どうせ慌てて居るだろう?」
「ドッキリ大成功!!ってヤツだな」
「何だよ…」
ため息をつく金田
「死ぬ思いしたな…」
ガタン
イスに座るメタル
「それじゃ」
フゥン…
イトウの立体映像が消える
「金田!コ-ヒ-!!」
「起きてから速攻かよ…」
「喉、渇いたからな」
「まったく…」
「何やってたんだ?」
「ボタンの実験」
「コレか?」
ポチッ
1ボタンを押すメタル
「あ」
数十分後
喫茶店の外
「…おかえり、ガルス」
「説明してくれ、アメ-ル」
「俺の目の前に燃えている残骸は喫茶店か?」
「…うん」
「…5代目、建てるか」
読んでいただきありがとうございました