番外編 17
「大丈夫?ガルス…」
「心配ない」
腹を押さえているガルス
その下からは血がにじみ出ている
「…死にかけたな」
「ゴメン…」
「謝るのはテメェじゃねぇだろ」
「メタル…」
「ガルス、何で死のうとした?」
「…水族を守ろうとしただけだ」
「コレはどうする?」
「俺がお前の頼み事を聞いてやってんだぞ?」
「無駄にする気か?」
メタルが妙な薬瓶を取り出す
「何だ?それは」
首をかしげる金田
「金田に言ってなかったのか!?」
「金田が賛成するはずがないだろう」
「俺も反対だ!!」
「…リ-ラ、コレを飲め」
「え!?コレを!?」
「そうだ」
「…」
渋々、リ-ラに薬瓶を渡すメタル
「何なの?コレ」
「良いから」
「…」
ゴクッ
「うぐっ…!!」
苦しみ出すリ-ラ
「何を飲ませたのですか!?」
「落ち着いてください、長さん」
「リ-ラの記憶を消す薬です」
「何ですって!?」
「どうして…!?」
「…聞いてください」
朦朧としているリ-ラの目にガルスと長が移る
(あれ…?)
(長…?それに◯◯…?)
(何を言い争って…)
(…◯◯って誰だっけ?)
(思い…出せない…)
ガクン
「…眠りましたね」
「…本当ですね?」
「リ-ラの記憶から我々の記憶を消すのは」
「…はい」
「確かに、そうすればリ-ラも未練はなくなりますね」
「…お礼を言うべきでしょうか?」
「礼など要りません」
「私がしているのは…、残虐非道な事なのですから」
「…はい」
「うぅ…」
「そろそろ目を覚ましますね」
「メタル、金田、来い」
「え?」
「何でだ?」
2人を引き寄せるガルス
ブン
「うぉ!?」
「!?」
湖に風が巻き起こる
「ガ、ガルス!?」
「何を…!!」
「…長さん、リ-ラに伝えてください」
「「すまない」…と」
フゥン…
「き、消えた…」
「一体、何処へ?」
「うぅ…」
「り、リ-ラ!!」
目を覚ますリ-ラ
「長…?何で皆、集まって…」
「…え?」
「俺、何で寝てるんだ?」
「何でだったかな…」
頭を掻くリ-ラ
「何も…、何も覚えてないのですか?」
「何か…、頭に引っかかってんですけど…」
「思い出せない…」
「お前は!ガルス殿が…!!」
「セルト!!」
「長…」
「…「ガルス」、何だか懐かしい響きだな」
「何だったけ…?」
「…リ-ラ、その人から伝言です」
「「すまない」…、と」
「?」
困惑するリ-ラ
「…それと、セルト」
「何です?長」
「リ-ラとの婚式の準備を」
「え!?」
「アナタはリ-ラを好いていたでしょう?」
「い、いえ、しかし…」
「お、俺は別に…」
頬を紅くするリ-ラ
「リ-ラ…」
「あの方が言っていたでしょう?」
「「お前には役目が有る」と」
「…はい」
「さぁ!婚式の準備です!!」
「急いでください!!」
「は、はい!!」
喫茶店
ダァン!!
「…殴るなよ」
「…今のはカッパ、いやリ-ラの一発だと思え」
「どうして!どうして記憶を消した!?」
「…俺達と居るより何倍も幸せだろう」
「お前…ッ!!」
「…金田、ガルスもバカじゃない」
「考えが有ったんだろ」
「それでも!水族ではなく俺達の記憶を消してまで…!!」
「…リ-ラが幸せなら、それで良い」
「俺は…」
「…ッ!!」
「勝手にしろ!!」
バタァン!!
喫茶店から出て行く金田
「…1人にしてくれ」
「…ああ」
バタン
メタルも喫茶店から出て行く
「…虚しいな」
「こんなにも…、虚しいのか…」
数日後
「…あれ?どうしたの?」
「どうかしましたか?お客様」
「金田ちゃんが居ないし…、この前の子も居ない」
「どうしたの?」
「…最近は不景気でね」
「カッパは帰りました」
「金田ちゃんは?」
「…休業中です」
「あ、そうなの」
「早く復帰してくれると良いね」
「…はい」
「金田は、すぐに復帰しますよ」
「カッパちゃんは?」
「彼女は…」
「…ま、聞かない方が良いか」
「それじゃ、お会計」
「…はい」
「520円です」
「どうも」
カラ-ン、カラ-ン…
「いらっしゃ…」
「セルト…!!」
「…お久しぶりです、ガルス殿」
「お元気で?」
「…ああ」
「誰?」
「知り合いですよ」
「積もる話がありますので」
「…じゃ、帰るよ」
「またのお越しを」
「はいはい」
カラン、カラン
「…リ-ラは元気か?」
「…御陰様で」
「そうか…」
「…1つ、お聞きしたい」
「何故、あの様な事を?」
「…リ-ラの為だ」
「…彼女の記憶からアナタ達は完全に消えてる」
「それで良かったのですか?」
「…ああ」
「お前も彼女を喫茶店に近づけないようにしてくれ」
「…解っています」
「頼んだぞ」
「…はい」
「ガルス殿!!」
「…何だ?」
「リ-ラを…!必ず幸せにして見せますので!!」
「…ああ」
「では!!」
カラ-ン、カラ-ン…
「…コレで良いんだな」
「コレで…」
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