番外編 16
「予想以上に…、ヤバイね…」
「もう少しだ!皆、頑張れ!!」
セルトやガルスの活躍もあり、戦場は水族が優勢
さらに敵の何でも屋も負傷している
「リ-ラ!大丈夫か!?」
「あ、ありがとう…、ガルス」
「ガルス殿!戦場は我々が優勢!!」
「勝てます!!」
「気を抜くな!!」
「相手は戦闘のエキスパ-トだ!!」
「はい!!」
「味方は居ないし…、傷も結構ヤバイ」
「覚悟、決めるかねぇ…」
ため息をつく男
「そこか!!」
「死ね!!」
「まぁ…」
ドッドッ!!
「あが…」
「ごふ…」
「たかが水族風情が勝てると思わないで欲しいんだけど…」
「貴様…!!」
「あ-、セルトだっけ?」
「安心してくれ」
「コイツ達は殺してないから」
「峰打ちってヤツ?」
「黙れ!!」
「あ-、駄目駄目」
「人の話は最後まで聞こうよ」
ゴッッ!!
「うぐ…!!」
「おがああああああ!!」
「あ、耐える?」
「良いね-、久々に見る良い目だ」
ドゴンッ!!
男の腹に鋭い蹴りを入れるセルト
「…」
しかし男の表情は曇らず、眉一つ動かさない
「な…!?」
「鉄板仕込みってヤツ、知らない?」
「腕、腹、胸、足、首に鉄板を仕込んでるんだよね」
「故に打撃は無意味なり-、ってね」
ドゴンッ!!
「ごはっ…!!」
セルトの腹部が大きく凹む
「はい、お返し-」
「5、6本は逝った?」
「こんな…!物…!!」
「お!凄いね-」
「普通なら悶絶物だよ?」
「貴様には…!負けられない…!!」
「リ-ラの為にも…!!」
「…あ-、無理無理」
「そう言う感動系に弱いんだよね-」
「愛ってヤツ?」
「俺、嫌いだから」
スッ…
男の手がセルトの顔に当てられる
ボボボボボ…
「自慢じゃないけど、炎の能力者なんだよね、俺」
「ランクもBだし-、純度も高い方だから」
「アンタの頭ぐらいなら吹っ飛ばせるんだよね-」
「しまっ…!!」
「セルト!!」
「吹っ飛べ」
ボゴォオオオオン!!
「そんな…!!」
地に膝を突くリ-ラ
「ガルス…!?」
「…」
バラッ…
「ガルス殿!?」
「…お前は死ぬな」
「役目が有るだろう…」
「!?」
「貴様…、死ぬ覚悟はあるな?」
「…人を殺そうとしておいて「死ぬ覚悟がない」なんて言えないでしょ?」
「有るよ」
「アンタも、ね」
「そうでしょ?」
「…ああ」
「メタル!金田!!」
「何だ!?」
「…喫茶店を頼んだ」
「ガルス!?」
「大嵐旋風」
ゴォオオオォォオオオオオオ!!
「何だ…!?」
「ガルス!やめろ!!」
「何なの!?金田!!」
「あの技は…!今のガルスには危険すぎる!!」
「え!?」
「あの技は自分諸共、敵を風で斬り刻む技だ」
「万全の状態なら、少しのダメ-ジで済むが、今のガルスには危険すぎる…!!」
「そんな…!!」
「どうすれば!?どうすれば止められるの!?」
カチャン
金田が地面に落ちているナイフを拾う
「…ゼルフが見た未来を実現させる」
「え!?」
「その役目は…、お前にしか務まらない」
「頼む、カッパ」
「嫌よ!絶対に!!」
「このまま!ガルスが死ぬのを待つか!?」
「それとも!未来を打ち破る可能性に賭けるか!?」
「どちらだ!?」
「…ッ!!」
「コレは…、風って言うか…」
「嵐?」
「そうだな…」
「白い嵐なんて初めて見たねぇ…」
「紅い嵐を見た事は有るか?」
「無いよ」
「そうか…、良かったじゃないか」
「もうすぐ見られるぞ」
「白き嵐を染めるのは俺の血か…」
「それとも…」
「…俺の血かも知れんな」
「逝くぞ」
「逝きますか」
ドスッ!!
「…!!」
「おいおい…!味方同士じゃなかったのかぁ!?」
「リ-ラァ…!!」
「ゴメン…、ガルス」
「アナタを見殺しになんて出来ない…!!」
ドサッ
地面に崩れ落ちるガルス
「…未来は変えられないか」
ドクドクドク…
「その出血量、その人、死ぬぞ?」
「解ってるわよ!!」
「私が死なせない!!」
シュゥウウウウウ…
「…回復系の技、使えたのか」
「そうよ!!」
ガッ
「やめておけ…」
ガルスがリ-ラの手を掴む
「もう…、間に合わない」
「エネルギ-の無駄だ」
「そんな事、ない!!」
「私に刺されても死なないんでしょ!?」
「…そうだったな」
苦笑するガルス
「…どうしようかな」
「この場面、邪魔するのは気が引けるし…」
カチン
男の首筋に白刃が当てられる
「じゃ、俺が相手してやるよ」
「メタル…、だっけ」
「悪名高いね、アンタ」
「褒めてんのか?」
「貶してるんだよ」
「そうか」
「お前に死んで貰っちゃ困る」
「…情報、吐けって?」
「それ以外に何が有る?」
「その前に彼が死んじゃうけど?」
「死なないさ」
「未来だの運命だの、そんな下らん物に縛られてる奴じゃない」
「そんな物に縛られてる奴なら、とっくに死んでる」
「…良い仲間だね」
「褒めてんのか?」
「貶してるんだよ」
「…そうか?」
「そうだよ」
「…金田!どうする!?」
「捕まえろ」
「他の奴達は逃げた」
「ありゃ-、見事に見捨てられたね」
「傷つくわ-」
「残念だったな」
「お前も何でも屋なんだって?」
「そ、北の小さな街でね」
「家の修理とかが多いんだけど」
「雇ったのは?」
「残念ながら解らないよ」
「変な髭のオッサンだったねぇ」
「…名前は?」
「解らないって」
「金田!ガルスが…!!」
「どうした!?」
「息…!してない…!!」
「…死んじゃった?」
「…血の塊が気管にでも詰まったか」
「まだ死んでないさ」
ドゴッ!!
「がはっ…!!」
ガルスの口から黒い血の塊が出てくる
「コレで一時的に大丈夫だろうが…」
「とりあえず、治療に専念したい」
「おい、お前」
「何だ?」
「これ以上、敵部隊はあるのか?」
「聞いてはないね」
「…そうか」
「下がるぞ!!」
「お、おう」
読んでいただきありがとうございました