番外編 15
西の都
ゼルフの家
「ただいま-」
「金田か…」
「ゼルフ!?」
縄で縛られているゼルフ
「どうした!?」
「俺が出てる間に何が有った!?」
「カッパが…、攫われたのじゃ…!!」
「カッパが!?」
「妙な2人組が入ってきて…!!」
「その後、ワシは気絶させられ…」
「クソ…!!」
「じゃが、妙な事に…、カッパは抵抗せんかった…」
「は?」
「行き先と何かを告げられた後、頷いたのじゃ」
「そして、そのまま…」
「何処だ!?行き先は!!」
「北の孤島…、水族の住み処じゃ」
「何故かは解らん…!!」
「…ゼルフ、お前はイトウさんの研究所に行ってくれ」
「俺は北の孤島に向かう」
「解ったわい…」
ジャガン!!
銃を装填する金田
「ガルスの思いを無駄にするような事になったら…」
「俺は俺を許せねぇな…」
「金田…」
「だが、俺1人じゃキツいな…」
「あのバカを連れてくるか…」
北の孤島
水族の村
「…痛ェ」
木影に隠れ、ため息をつくガルス
(思ったより強いな…)
「何処に行った-?」
(能力を使うか…?)
(いや、ここじゃ水族を巻き込みかねないか…)
「私達の事は心配要りません」
「セルトか」
「この森に生き物が居ないのは、結界を張っているからなのです」
「「結界」?」
「水族の者、1人1人の体に結界を、ね」
「ですから能力系の技では傷つきません」
「しかし弾丸や剣では…」
「…解った」
「俺の属性は風だ」
「…安心です」
「やるぞ」
「少し壊してしまうかも知れないが…、良いな?」
「構いません」
「お願いします」
「ああ」
「見失ったな-…」
「派手にやり過ぎたかな?俺」
「それとも逃げたか?」
「逃げてないさ」
「あ!出てきた!!」
「残念だが…、手加減する必要がなくなった」
「覚悟しろ」
ゴォォォオオ…
ガルスが風を纏う
「安心しろ…」
「高速の風撃は斬られた事にも死んだ事にも気づけない」
「ジョ-クじゃないねぇ…」
「キッツイ冗談だ」
「行くぞ…」
「来ないで欲しいんだけど…」
「じゃ、来なくて良い様にするかねぇ」
バッ!!
手を挙げる男
「…何だ?」
「アレだよ、アレ」
「人質ってヤツ?」
「リ-ラ…!!」
男2人に抑えられているリ-ラ
「へ-、「リ-ラ」って言うんだ」
「良い名前だねぇ」
「うるさいわよ…」
「じゃ、どうする?」
「離してください!!」
「長!!」
大勢の男達に抑えられている水族の長と水族達
「なっ…!!」
「俺が1人で来ると思った?」
「依頼主の人がコレだけの人数を貸してくれたよ」
「人質も取ったし…」
「後はアンタを殺すだけだ」
「しまった…!!」
「さて、俺がやってみたい事が有るんだけど」
「リ-ラって言ったけ?来てくれる?」
「ッ…」
男の横に連れて行かれるリ-ラ
「あの男を殺せ」
「はい、コレで良いでしょ?」
ナイフを渡す男
「…!!」
「どうかした?」
「取引通りでしょ?」
「何だと…!?」
「どういう事!?リ-ラ!!」
叫ぶ長
「…私が攫われる代わりに皆を助ける、って」
「そしてガルスを殺せ…って」
「駄目です!リ-ラ!!」
「でも!長!!」
「私がやらなきゃ!皆が…!!」
「しかし…!!」
「安い物でしょ?」
「1人の命で皆が救われるんですから」
「…ッ!!」
「やれ」
「…」
静かにガルスに近づくリ-ラ
「運命…、なのかな?」
「ゼルフが見た未来なのかな…?」
「未来は未来だ」
「道は1つじゃない」
「でも…」
「皆を救え」
「俺1人の命より皆の命だ」
「そんな事…、言わないでよ…」
「私は…!殺したくない…!!」
「…仕方ないんだ」
「お-い、早くやってよ-」
「腕が疲れてきたんだけど」
「じゃぁ、離せ」
ドッ!!
「うぐぅ!?」
「セルト!?」
「ガルス殿、アナタは「二兎を追う者は一兎も獲ず」と言いました」
「しかし、それは1人の場合」
「私達、水族は、リ-ラは、アナタは…」
「1人じゃない!!」
「皆!リ-ラに頼るな!!」
「彼女を幸せにするんだろうが!!」
「おおおおおおおおおおお!!」
「お-…、こりゃ、ヤべぇ…」
「一致団結しちゃったな-…」
ゴッ!ゴッ!!
一気に暴れ出す水族達
「あ-、もう良いや」
「皆-!殺して良いよ-」
「了っかい…?」
ドタッ
1人の男が崩れ落ちる
「気持ち良く寝てたのに…」
「何?連れ出されてきてみれば戦場?」
「許す!!」
「本当に戦闘バカだな…」
「メタル…!金田…!!」
「間に合ったか…」
「自分を憎まなくて済んだよ」
「ガルス-!コ-ヒ-切れたぞ-」
「…また買わなきゃな」
苦笑するガルス
「行くぞ!!」
「アイアイサ-!!」
読んでいただきありがとうございました