番外編 11
「カッパ、シャワ-でも浴びてこい」
「ん、そうね」
「…」
ゼルフを睨むカッパ
「心配しなくても、俺が見張ってる」
「安心してシャワ-を浴びてこい」
「ありがと」
「シャワ-室は?」
「そこの部屋を曲がった先じゃ」
「解ったわ」
シャワ-室に歩いて行くカッパ
「…隠し話はしたくないんだが」
「…そうじゃな」
「カッパに出てる相は何だ?」
「お前が占いをしくじるとも思えない」
「…カッパには」
「ちょっと待ってくれ」
ガタン
席を立つガルス
「?」
バタン
「きゃぁ!!」
「シャワ-室に行け、と言ったはずだが?」
「どうせ…、隠し話してるんでしょ?」
「…まぁな」
「お前、聞きたいのか?」
「当たり前じゃない!!」
「どんな内容でも…、か?」
「…覚悟は出来てるわ」
「…頼む、ゼルフ」
「良いんじゃな?」
「…ああ」
「…カッパには何も出とらん」
「え?」
「出てるのは…、ガルス、お前じゃ」
「俺が?」
「結婚相?」
呟くカッパ
「違う」
「恋愛相?」
「違う」
「他には…」
「そんなに良い物じゃない…」
「そうだな?ゼルフ」
「…そうじゃ」
「出とる相は…」
言葉に詰まるゼルフ
「…死相じゃ」
「…え?」
「そんなに遠い未来じゃない」
「近く…、残酷な死じゃ」
「しょ、所詮は占いでしょ!?」
「当たるわけ…」
「当たるさ」
「コイツの占いは絶対だ」
「そんな…!!」
「…じゃが、メタルの時は外した」
「奴には無意味じゃったな…」
「じゃぁ!ガルスも…!!」
「俺は当たった」
「金田も…、な」
「…ッ!!」
「さらに残酷な事が有る」
「何だ?」
「コレは…」
「構うな」
「別に今更、死ぬ、死なない、など関係ない」
「…ガルスを殺す相手は」
「誰!?」
怒鳴るカッパ
「…お主じゃよ、カッパ」
「え?」
「ワシに見えたのは…」
「泣きながらガルスを刺しているカッパじゃ」
「その後、ガルスは地面に崩れ落ち…、死ぬ」
「嘘よ…!そんな…!!」
「…残念じゃが、真実じゃ」
「変えようのない…、真実じゃ」
「嘘よ!絶対!!」
「カッパ!!」
叫ぶガルス
「!!」
「…真実は真実だ」
「仕方がない」
「何でよ…!!」
「何で!そんなに簡単に諦められるの!?」
「諦めてなんか無い」
「考えてみろ、カッパ」
「俺が、お前程度に刺されて死ぬか?」
「…でも!!」
「大丈夫だ」
ポンッ
カッパの頭に手を置くガルス
「心配するな」
「お前は俺を殺したりしないさ」
「当たり前じゃない!!」
「そうだろう?だったら心配は要らない」
「シャワ-を浴びてこい」
「…うん」
パタン…
「…間違いないんだな?ゼルフ」
「ああ、間違いない」
「…そうか」
「…ワシが言うのも何じゃが」
「メタルは占いの結果を曲げた」
「お主も、もしかしたら…」
「そんな小確率にかける気は無い」
「それが運命とするのなら…、それで良いのかも知れん」
「んなワケ有るか!!」
ゴッ!!
「!?」
ドッドッド!!
吹っ飛ばされるガルス
「痛ッ…!!」
「捜したぞ!ガルス!!」
「金田…」
「お前、勝手に出て行きやがって…」
「長が偽物なら偽物って事ぐらい言いやがれ!!」
「…あの時は時間が無かった」
「まぁ、見破ったから良いけど」
「メタルは?」
「喫茶店で見張りしてるよ」
「そっちこそ、カッパは?」
「シャワ-浴びてる」
「そうか」
「で?何でゼルフの所に来た?」
「おかげで!辺り一帯、全部を捜すハメになったんだぞ!!」
「悪い…」
「だが、コイツに聞くのが手っ取り早い方法だと思ってな」
「…未来か」
「どうだった?」
「悲惨…、だな」
「死相か」
「…ああ」
「俺はカッパに刺されて死ぬらしい」
「随分と珍妙な未来だな」
「お前とカッパが敵対するのか?」
「…そうとは限らない」
「他にも可能性は幾らでも…」
「…ゼルフは?」
「あ?」
いつの間にかゼルフが居なくなっている
「…マズイ!!」
「カッパが!!」
「違う!ゼルフが、だ!!」
「死ぬぞ!!」
「…ああ、なるほど」
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