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番外編 8

「…説明してくれ」


「お前の家族を襲った盗賊団は水族の戦闘集団で構成されていた」

「で、あのカッパは盗賊団のボスの娘だ」


「…そうか」


「案外、驚かないんだな」


「会った時から違和感は感じていた」

「俺の両親の血で全身を染め、耳まで裂けるほどの笑みだった奴の顔をカッパを見ると思い出しちまう…」

「それの原因が今、解っただけだ」


「…カッパに罪はない」

「盗賊団のボスは捕まってるし、娘が居たという記録もない」

「…捨てられたんだろう」

「水族の長が拾って育てた…、という所だな」


「…盗賊団のボスを捕まえたのは、お前か?」


「残念ながら違う」

「北東部で奇襲をかけ、多数の犠牲を出しながらも捕まえたそうだ」


「…そうだったのか」


「すまないな…」

「泣くのを必死でこらえて、両親の死に正面から向き合ってたガキに約束したのに…」

「「あの盗賊団は俺が捕まえる」と」


「元からアテにしてねぇ」

「…それに、未練がましく両親の事を思ってるわけでもねぇ」

「随分、昔の話だしな」


「…あの時、お前をメタルと金田に任せて正解だったな」

「良い奴に育ってくれた」


「「昔の話」って言ってんだろ」

「何百年前だよ」


「アハハハハ!そうだったな…」

「で、だ」


「…カッパについて調べてきたのは、そんな事じゃないだろ?」


「ああ、勿論だ」

「カッパは残り少ない水族の中でも、さらに希少」

「戦闘能力を兼ね備えた水族だ」


「「戦闘能力を…」」


「確かに普通の水族でも鍛えれば強いさ」

「だが、生まれついて天賦の才を持ってる水族は戦闘に特化した水族だけだ」


「それがカッパか」


「そうだ」

「最後…、じゃないかも知れないがな」

「何者かがカッパを狙ってるのに変わりはない」


「それが誰か…」


「かなり大きな組織と見て間違いない」

「殆どの情報が無くなっていた」


「隠滅か…、スパイか…」


「どちらかは解らない」

「上のお偉いさん方も手出しはしたくないみたいだしな」


「…世話になった」


立ち上がるガルス


「行くのか?」


「行くさ」

「これ以上、迷惑はかけられない」


「だったら初めから俺の家に来るなよ…」


「お前しか頼る人間が居なかったんだよ」


「嘘だろ」


「…流石に解るか」

「カッパ!!」


ギィ…


「…何?」


台所からカッパが出てくる


「行くぞ」


「うん…」


「どうした?ヤケに暗いな」


「色々、失敗…」


「?」

「じゃぁな、センリによろしく」


「おう」


バタン


家から出て行くガルスとカッパ


「センリ、どうした?」


「本望なり…」


台所で倒れているセンリ


「センリ!?」

「どうした!?」


「料理が下手なドジ属性…」

「コレが萌か…」


ゴスッ!!


センリの顔面に鋭い一発



東の港


「これから、どうするの?」


「とりあえず、喫茶店には帰らない」


「え?」


「これ以上、被害は増やしたくないんでな」

「西に向かう」


「西?」


「西に知り合いが居る」

「ただ…、老人だ」


「それが、どうかしたの?」


「奴なら、どんな問題を抱えていようと匿ってくれる」


「そんなに良い人なの!?」


「…耐えてくれよ」


「え?」


「…いや、何でもない」

「おい!波吉ナミキチ!!」


「お!ガルス兄さんやないの!!」

「メタル兄さんと金田兄さんは?」


「2人は居ない」

「で、船を貸して欲しいんだが」


「ええで!ガルス兄さんの頼みなら!!」

「彼女さんはどうすんの?」


「彼女じゃない」


「ありゃ-!そら失敬!!」

「って事は、ワテにもチャンスは有るかいな!?」


「無い」


「ほんま、キッパリ言うなぁ…」

「まぁ、船に乗るんならワテに任せとき!!」


「ああ、頼む」

「ただ…、コレだぞ」


中指を立てるガルス


「…そうでっか」

「ほな!すぐに戻ってくるけぇな!!」


走っていく波吉


「誰?あの人…」


「昔の依頼人だ」

「時々、顔を合わす」


「最後のは?」

「中指、立てたヤツ」


「危険度だ」

「コレは関係ない」


「…?」


「ガルス兄さん!待たせたなぁ!!」


走ってくる波吉


「対、危険度SSSの船!用意、出来たで!!」


「そうか」


「今、「危険度SSS」って…」


「Sすごく、Sサイキックな、Sスキ-場、という意味だ」


「絶対、違うでしょ!!」


「…ばれたか」

「行くぞ」


「もうちょっとマシな船はないの!?」


「おいおい、コレが最もマシな船だ」

「戦艦を相手にしても沈まない」


「それって…!!」


「即ち、お前を狙ってる奴達の危険度を表してる」


「…ッ!!」


「貴様が狙われている理由は解らない…」


「…嘘でしょ」


「あ?」


「喫茶店で話してくれたの!嘘でしょ!?」

「今、言ったのも!!」


「…何を」


「ガルス兄さん!船が出航するで-!!」

「急ぎやぁ---!!」


「…出航の時間だ」

「行くぞ」


「…」


黙ってガルスの手を握るカッパ


「…世話の焼ける娘だ」


「ラブラブでんなぁ-」


「うるさい、黙れ」


「心配しなくても、ワテも船に同乗するけいな」

「安心してや-」


「安心できない」


スッパリと答えるガルス


「何でんな-、傷付くわぁ-」


「早く行くぞ」

「騒ぎを起こしたくないからな」


「…そうでんな」

読んでいただきありがとうございました

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